私にとって2012年以来の「オペラ座の怪人」

観ることができるのなら音楽はテープでもいいと思っていましたが、KAAT劇場は音響がよく、生オケの「オペラ座の怪人」は、重厚でとても素晴らしいものでした。

 

やっぱり生オケはいい!

チケット代を上げることなく生オケで上演してくれた劇団四季に心から感謝です。

 

清水大星さんは美女と野獣で何回も拝見しているけれど、やはり美女と野獣は歌う場面が少ないので、今思えば十分そのよさがわかっていませんでした。

今回初めて大星ファントムを観て、こちらの方が何倍もすてき、これぞ当たり役だと感じました。

 

とにかく大星さんの歌唱力に圧倒されました。

私にとってファントムにハマるかどうかのポイントは第一声の「わ〜たしの〜たか〜らものに手を出すやつ〜🎵」の「わ〜たしの〜」なんだけれど、ここがちょっと予想より高めの声でしたが声量があり、一瞬で引き込まれました。

 

自分が愛しプリマドンナにまで育てあげたクリスティーヌ。

それなのに彼女は自分と正反対の見目麗しいラウルと心通わせてしまう。

あんな若造に彼女を取られてたまるかと狂気にかられるファントム

 

どうしてもそうなっちゃうよねと、高齢の自分も共感。

 

ポイント・オブ・ノーリターンでドンファンのふりをして切々とクリスティーヌに愛を伝えるファントム。

これぞ一番ゾクゾクする一つのクライマックス。

あまりにも哀れで、ついファントムの応援をしていました。

それなのにそこでドンファンのマスクを剥いでファントムの素顔をさらしてしまうクリスティーヌ。

まあ、これはドンファンの正体をあばくために仕方なかったけれど。

隠れ家でもクリスティーヌが好奇心からファントムのマスクを取ることがあり、私は今回の公演で(今まで何十回も観ているけれど)クリスティーヌってあまり好きじゃないとはっきり思いました。

それくらい大星ファントムびいきになっていました。

 

指輪を返しに来たクリスティーヌに、そうとは知らず、ひょっとしてという思いで、心からの「アイ ラヴ ユー🎵」と絞り出すように歌うファントム。

ここは一番難しいところですよね。

公演を重ねるうちに、これからもここはますます深化していきそうです。

 

藤原クリスティーヌは初めて拝見しましたが、私のイメージのクリスティーヌより可愛らしいお声でした。

墓場にての歌が素晴らしかったです。

でも最後のラウルをかばってファントムに許しを乞う場面のやり取りは、以前の私の記憶といくつか違っていたように感じました。

演出が変わったのでしょうか。

あの場面は以前のバージョンの方が好きです。

もっとも「女のこ〜こ〜ろ〜♪」よりも今の「私のこ〜こ〜ろ〜♪」の方が断然好きですけどね。

 

宇都宮ラウルは今日がデビューして2回目の公演というのが信じられないくらい、堂々としたすてきなラウルでした。

今までで一番若いラウル俳優さんでは。

臆することなくスタスタ歩き、歌い、姿勢がまたいい。

歌声がラウルぴったりで声量があり大満足。

 

支配人ズの増田守人さんと佐藤圭一さんはさすがベテラン、笑わせる場面あり、オペラのような朗々とした歌声。

増田さんはアラジンでサルタン王だったものね。

笑わせるテンポはお手のものでしょうか。

 

カルロッタの河村彩さんは可愛らしさのあるカルロッタで憎めない。

 

松尾優さんメグジリーの叫び声にはびっくり。

セリフの言い方がなんとなく元気な現代っ子ぽいなと感じました。

 

アンサンブルで「ウイキッド」でエルファバをやった小林美沙希さんが出ていて、最初のカルロッタを囲んでの場面では思わず注目して、オペラグラスでずっと観てしまいました。

表情が周囲のセリフひとつひとつに反応していて面白かったです。

 

カーテンコールがまた感動。

「オペラ座の怪人」の名曲が流れる中、出演者一同手をつないで何度も観客に応えていて、シンプルで、なんてぜいたくなカーテンコールだと胸が熱くなりました。

観客の拍手の圧も大きく、流れる生オケの音も大きいので、感動を伝えたくて思わずみんな(私も)気持ちが高ぶり「わー!」と歓声を上げ、大いに盛り上がりました。