抽選でようやく1枚だけ取れたチケット。

自由劇場でジーザスなんて、本当にぜいたく。

すぐ目の前で演じられる105分の舞台だけど30分くらいにしか感じられない、あっという間のひとときでした。

帰宅後も頭の中はジーザスを讃える群衆とその歌声がこびりついています。

 

神永さんジーザス

神々しいジーザスというのがぴったり。

容貌はじめ所作など、ジーザスはおそらくこんなだったのではないかと思わせます。

聴かせどころの「ゲッセマネ」のラストはいったいどこまで続くの?!というくらい長くて力強かったです。

でも見せ場はもちろんそこだけではなく、すがってくる群衆や商人に対する叫びなど、いらだつ様子も切羽詰まっていて、ジーザスの人間らしさが感じられました。

十字架を背負ってヨロヨロと歩く姿は哀れで、十字架に磔られた姿はよく絵画で見る姿そのもの。

 

佐久間さんユダ。

最初はよくわからないけれど、お声がちょっとかすれているような気もしました。

でもそれも次第に消え、とにかく歌のうまさ、のどの強さに感心するばかり。

あんなにシャウトしては声がかれちゃうよ!と心配になるくらい。

すごいの一言。

「スーパースター」なんて、あの劇中で演じているからこその歌声であって、コンサートなどでは絶対に出せない迫力だと思います。

素晴らしいものを観せていただきました。

 

守山さんマリア

お顔を拝見した時はお顔がマリアにしては若いのではないかと思いましたが、歌声がとてもきれいで、とにかく癒されるお声。

ああ、このマリア好きだなぁと思いました。

「私はイエスがわからない」はジーザスに対する愛情がひしひしと伝わってきました。

 

カヤパ、アンナス、司祭3人のみなさまの低音はゾクゾクしたし、スパイとなる司祭さんの動きをつい目で追ってしまいました。

 

目で追うといえばジーザスを鞭打ちするシーンの鞭打ち男性、すごい狂気を感じさせる目で、あれだけバシッバシッとたたくと体力がいる役でしょうに、その上にあの目!

まさに悪人の目。

目が離せませんでした。

これもステージ間近で舞台を観たからでしょう。

 

ヘロデ王のシーンは楽しかったけれど、だんだんジーザスに対してイライラしてくる感じが出てくるともっとよくなるのではと思いました。

 

ピラトの田島さんはバケモノの子の猪王山役でよく拝見しており、またバケモノの子の宴で楽しませていただいたので、とても親しみを感じている俳優さんです。

堂々としたピラトで、殺したくない、でも自分が殺さねばならぬのかと悩む苦しみが伝わってきました。

実生活でこれと同じように、やりたくない選択をしなければならない立場の人もいて、ピラトには共感する人もけっこう多いのではないでしょうか。

 

後半ジーザスを殺せ殺せと群衆が迫るシーンで、どなたかわからないのですが、ものすごい眼力の女性がいて、忘れられません。

 

観客は普段の四季舞台よりも若い女性、それもお一人でいらしていた方が多かったような気がしました。