願い事~二羽目の兎~
夕暮れの境内、僕はひとけの少ない境内で兎を探す。
学校帰り、海原に誘われ僕は昨日の神社に来ていた。
「野神は何を願うの?」
傍で海原は僕に問う。
「…なんだろう…」
僕は言えるはずもなく、曖昧に返す。
僕の願いはなんだろう?
こうやって海原といられる事が嬉しくて見つからないといいとさえ思える。
「…人に聞かれると願いが叶わなくなるってあるしね」
海原はニコリと微笑んでこう続けた。
「…俺はさ、言葉には力があると思ってる。言葉に出さないと叶わない気がする」
有言実行を行動で示す海原らしい言葉に僕は素直に頷く。
海原は両目を閉じてこう言った。
「二羽めの兎よ出て来い!」
パッと開眼し海原は満足気に笑った。
「ほら、あそこ」
指差したそこに二羽目の兎がいた。
「本当だ」
僕はうまく笑えただろうか。
同時に僕は三羽目の兎を見つけてしまった。
海原との時間が終りをむかえるのだと淋しくなった。
「暗くなったし、また今度にしよう。最後の一羽は自分で見つけないと効き目がないらしいよ」
海原はそんな僕に気づかず、そう言った。
「そうなんだ?」
僕は海原に嘘をつかないでいい事に安堵した。
これで海原とまた入れる。そんな風に思いながら…
…つづく…
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