suzu-airさんのブログ

suzu-airさんのブログ

ご訪問ありがとうございます*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
時間の許す限りゆっくりしていってください
「お題目」というタイトルのものは「腐」適切な内容ですので、取り扱いご注意くださいねσ(^_^;)

Amebaでブログを始めよう!

願い事~二羽目の兎~

夕暮れの境内、僕はひとけの少ない境内で兎を探す。
学校帰り、海原に誘われ僕は昨日の神社に来ていた。


「野神は何を願うの?」
傍で海原は僕に問う。
「…なんだろう…」
僕は言えるはずもなく、曖昧に返す。
僕の願いはなんだろう?
こうやって海原といられる事が嬉しくて見つからないといいとさえ思える。

「…人に聞かれると願いが叶わなくなるってあるしね」
海原はニコリと微笑んでこう続けた。
「…俺はさ、言葉には力があると思ってる。言葉に出さないと叶わない気がする」
有言実行を行動で示す海原らしい言葉に僕は素直に頷く。

海原は両目を閉じてこう言った。
「二羽めの兎よ出て来い!」
パッと開眼し海原は満足気に笑った。
「ほら、あそこ」
指差したそこに二羽目の兎がいた。

「本当だ」
僕はうまく笑えただろうか。
同時に僕は三羽目の兎を見つけてしまった。
海原との時間が終りをむかえるのだと淋しくなった。

「暗くなったし、また今度にしよう。最後の一羽は自分で見つけないと効き目がないらしいよ」
海原はそんな僕に気づかず、そう言った。

「そうなんだ?」
僕は海原に嘘をつかないでいい事に安堵した。
これで海原とまた入れる。そんな風に思いながら…

…つづく…




iPhoneからの投稿
願い事~一羽目の兎~

「もし、兎が三羽見つけられたら願いが叶うらしいよ」
夏休み前の喧騒に満ちた教室で同級生の雑談が僕の耳に入ってきた。

学校の裏手にある大きな神社には兎が住んでいて、その兎を見つけられたら願いが叶うという言い伝えがあるらしい。
「もしも願いが叶うなら…」
僕は一瞬描いた願望を即座に打ち消した。

….願うくらいは許されるんじゃないか…僕の足は帰り道、自然と兎がいるという神社に向かっていた。
境内は緑に抱かれ静寂に包まれていた。
確かに、これだけ自然があれば兎くらいいるかもしれないけど、三羽も見つけられるだろうか…
自嘲気味なため息をついて、僕は境内を後にしようかと思った時、不意に聞き慣れた声がした。
「野神も願い事?」
見ると同級生の海原が立っていた。
僕は動揺を隠すよう、俯いた。
人気があって誰からも一目おかれる海原。眩しくて、僕は彼に密かに憧れていた。
「…涼みにきただけだよ…」
声が掠れている。海原はそれに人懐こい笑みを浮かべ僕を見る。
「確かに涼しいもんな~。俺は兎を探しに」
臆する事なくいう海原は眩しくて困ってしまう。
「もし、時間があったら一緒に探してくれよ。一羽は見つけたんだ。ほらあそこ」
海原は建物の上部に施された彫り物を指差した。
確かに、ひっそりと目立たぬように兎がそこに施されていた。
「野神はわかる?」
兎とは、彫刻だったのかと、自分の誤認を知り脱力ししゃがみ込んでしまった。
「どうした?野神、大丈夫?」
海原は心配そうに僕をのぞきこむ。
「大丈夫!!」
僕は動揺を悟られたくなくて立ち上がり、汗ばんだメガネを外し、ハンカチで拭く。僕の緊張した時の癖だ。
「野神、睫毛長いのな。色も白いし、体も細いし。女の子みたい」
僕の腕を無造作に掴み、悪びれもなく海原は言った。
僕は返す言葉が見つからず俯いた。
日に焼けると、火傷のようになってしまう僕は夏でも長袖を着ていた。
「気を悪くしたらごめんな」
「いいよ、別に」
僕は俯き加減に海原を見る。
ワイシャツの袖から日に焼けた筋肉質の腕がのぞいている。
自分にかけているものを彼に認める度にかれてしまう自分に戸惑う。
「日が暮れる…帰ろうか…」
海原は僕に言った。
またとないこの時間が終わってしまう事が僕には残念で仕方なかった。
「また、来よう。二羽めの兎を探しに」

二羽めの兎が僕に幸福を運んできてくれたような気がした。

…つづく…



言霊

言葉には魂が宿るという
迷信かもしれないけど、怖くて言葉に出来ない自分がいる
言葉の重みが失われ、価値観が変化し、笑顔で禁句を口にする
言葉は時に刃になる
言葉は時に真綿になる
それを忘れたくない

叶えたい願いは声にのせて、届けばいいな…


iPhoneからの投稿