その日は、夜友人と飲んで遊んでいました。小芳にはあらかじめ

「遅くなる」と言っていたのですが、12時を回っても遊び続けた

ので、ちょっとメールの1本でも打っておくかと思い、「今日は

遅くなるから、先に寝ててね」とメールをしました。


するとすぐに返信が返ってきて「待ってるから早く帰ってきて!」と

来ました。


しかし、友人との付き合いも大事な訳で、「ごめん無理だよ~」と

メールしてさらに夜遊びに興じていた訳ですが、1時半ごろに

またメールが来て「もし、貴方が私の事を思っているのなら、

今すぐ帰ってきて!良い?」と来ました。


この様なメールはこの日が2回目でした。彼女として

「特別扱いをして欲しい」という思いのこもった強権メールです。

しかしまだ盛り上がっているので、ここで帰る訳にはいかないと

言うことで、「ごめん、今日は友達に付き合わないといけない

から、無理です。ホントにごめんね」と送ったら、「わかった。

もういい。私は二度と貴方を待ったりしない。」とお怒りモードです。


しかしどうしようもないので、そのままにして、結局3時過ぎ

まで遊んで帰ってきたのが3時半でした。


家に着くとリビングの明かりはついていましたが彼女は

そこにはいません。寝ているだろうな~と寝室を覗くと、

いつもの枕のある位置を反対にして、いつもはリビングに

あるクッションを抱きながら寝ていました。


起こしても仕方ないので、まずシャワーを浴びて着替えて、

彼女が寝ている横にころがりました。すると彼女も私の

存在に気が付いたのか、元々気が付いていたのか、

分かりませんが、こちらに寄ってきて「今何時ですか?」と

日本語で聞いてきました。


「4時ごろだね」と答えると、「馬鹿」と言って向こうを向いて

しまいました。「ごめんね」と言いながら彼女の顔覗き込むと

彼女も目を開けて、「何で私が帰って来てって言ったのか

分かってる?」と聞くので、本当は分かっていたのですが、

「なんで?」と聞いてみました。


「貴方がいないと怖い。水滴が落ちる音がずっとしてたんだよ」と

言いました。うちのシャワーは少し漏れがあって、使用してから

30分ぐらいポタポタと音を出しながら漏れるのです。


私が日本に帰っているときも、一人で寝るのが怖いといって

いました。今まで共同生活をしていた事もあり、家で一人で

寝ると言うことをした事がなかったようです。


だから、一人で寝なければ行けない時は、クッションを

抱いて寝ているのです。


寝ぼけているのかと思いきや、案外はっきりしていて

「お願いがあるの!」ときました。


「何?」と聞くと「これからは12時までには帰ってきて!」と

言うのです。ん~、それは流石にまったく約束できない

時間です。悩んでいると「聞いているの?」と畳み掛けてきて、

「ん~、じゃ1時にしよう」と譲歩を引きずり出そうとしたら

「分かった。じゃあ12時半ね」と向こうも譲歩して来ました。


「しまった。2時って言えば良かった」と思いましたが、

もう後の祭りです。お約束の指きりをして(何時も指きりを

するのです)、門限が12時半になってしまいました。