その日は、会社の人たちと京劇を見に行きました。京劇は京劇で

たまには古典文化に触れるのも悪くないな~と思い良かったわけ

ですが、その帰りに同僚が「ちょっと飲んで行こう」というので、

普通の居酒屋に行って、少し食べながら、焼酎を飲んでいました。

 

 

その時にティンティンからメールがあったので「今同僚と飲んでいる」

と返信したら、なにやら少し怒っている様子。どうもクラブで飲んで

いると勘違いしたようで。「違うよ、普通の日本料理屋さんで飲んで

いるだけだよ」と送ったらその後は、返信なしでした。

 

中国では一般の中華料理屋さんは、21時ぐらいには閉店します。

しかし日本料理屋に限っては、日本の習慣を受け継いでいるのか、

22時閉店がもっとも一般的ですが、なかには24時ぐらいまでやって

いる店も結構あります。またお客がいたら、エンドレスで対応して

くれる店も結構あります。

 

おそらくティンティンはその事を知らないのでしょう。23時ごろの

やり取りなので、普通の料理屋さんが開いているわけがないと

思ったのと、日本人はクラブが好きだと思い込んでいるので、

男同士が居酒屋でお酒を飲むなんて事はしないだろうと思い込んで

いるのかもしれません。私の同僚にはクラブがあまり好きではなく、

今回のようにちょっと店員や気の許せる同僚とおしゃべりしながら、

お酒を飲むのが好きという人もいます。

 

 

そして次の日は2人の友人と晩御飯を食べる約束をしていたので、

普通にご飯を食べていたわけですが、この後どうする?という話に

なってその友人が「飲みに行こう」という事になったので、商業街

まで行きました。

 

 

どこの店にするかで、ティンティンの店も候補には挙がったのですが、

各人で今お気に入りがいる店に電話をして、待機している小姐の

人数を確認し、私もティンティンに電話して確認したわけですが、

その結果、一番小姐が多かった店にしようと言うことで、結局は

他の店に行きました。

 

 

そこで、ひとしきり盛り上がり、それはそれで楽しかったのですが、

その最中にティンティンから電話があり、「ごめん、今別の店で飲んで

いる」というとまたしても怒ってしまい、「友人に付き合っているだけ

だよ。本当は貴女に会いたい。明日休みだから買い物に付き合ってよ」

というと「嘘つき。昨日と今日の小姐と行けば!」と言ってきました。

「昨日は、普通の日本料理屋に行ったって言ったでしょ?」と言っても

信じず、完全に疑っているようでした。

 

 

私は今回まったく嘘を付かず、そのまま正直に伝えていたわけです

が、どうにも信じてくれません。

 

 

その店から出てきて、友人の一人はお気に入りの小姐と一緒に

どこかへ消えてしまいました。もう一人の友人と「この後どうする?」

と相談していたのですが、その友人がティンティンの店に行った事が

なく、ちょっと興味があるというので、私もフォローしとこうかなと思い、

2人でティンティンの店に行く事になりました。

 

 

そこで彼女に電話して今から行く事を伝えようとしたのですが、電話に

出ません。さすがにちょっとむっとしました。2回掛けても電話に出ない

ので、行くのを止めようかとも思ったのですが、店の前に着いて

しまったので、どうにかなるかと思い、店内に入りました。

 

 

店内は相変わらず混んでいました。

 

ティンティンが来て、お酒を作りましたが表情が硬いです。友人は

初めてなので、私のところにママが来て、「いつも来てくれてありがとう

ございますね」といつもどおりの挨拶を受けて、友人を紹介しました。

 

 

新規の客を連れてくる事は小姐にとってもメンツの立つ話で、普通は

とても喜ばれる訳で、実際ママは喜んでいました。ちなみにここの

ママは物静かですが、雰囲気は悪い感じのする人ではありません。

 

 

さて、最初の乾杯が終わってもティンティンは、いっこうに私に話し

かけようともせず、少し距離を開けて向こうを向いて座っていました。

すねているつもりでしょうか?

「何でそんなに怒っているの?昨日の事は誤解しているし、

今日だってちゃんと会いに来たでしょ?」と言ったら、やっと彼女の

口が開き、吐いたセリフがこれでした。

 

 

「嘘つき」


 

そして、またそっぽを向いて私の方を見向きもしませんでした。

友人もさすがに怪訝そうにこちらの様子を伺っています。

 

 

ここまでされたら、私はそれほど温厚な人間ではないので、

切れました。

「ママ呼んできて。もう貴女は要らない。今日は他の子を指名する」

 

するとプイッと向こうに行ってしまいました。すぐにママが慌ててやって

きます。「ごめんなさいね、あの子、ちょっと酔っているみたいなの」と

フォローを入れますが、「いいから、今いる小姐を並ばせて」と言った

のですが、それでもママは少し粘りました。


 

私がこの件で今後店に来なくなるのをどうにか防ごうとしている感じ

でした。


 

この店は、他の友人が一番のお気に入りの店で最近その人とよく

一緒に飲むので、今後もこの店には来ることになると思います。

その辺を伝えて、また友人に失礼だから、早く収拾したいと言うと

ママも折れて、小姐を並ばせます。

 

今この店は本当に流行っているので、4人ほどしか居ませんで

したが、その中の一人をさっと選びました。その時、ティンティンが

横に戻ってきていました。なので、選んだ小姐は、ティンティンと

反対側の私の横に座ろうとしたので、それを制して、私と

ティンティンの間に座らせて、ティンティンに「いいから向こうに

行って」と言い、新たに選んだ小姐と会話を始めました。

 

 

さて、半ば適当に選んだこの小姐が、私の心にぐいっと入ってくる

存在になろうとは、この時は夢にも思いませんでした。