離檀料』の解決案 宗教法人法からの視点

個々の問題で悩むのでなく、問題を宗教法人法の視点から見たら?

文化庁宗教法人運営のガイドブック、5宗教法人の事務運営の独断専行は

許されません』から

 

はじめに、『離檀料』は各寺院内の事なので

的確なアドバイスがないのが現状です。

ましてや私は法律に明るくないので

専門的な事は書士の先生方に

ご相談されるのも一つだと思います。

 

私の開催する終活相談会で一番多い相談が、

離断料』についてです。

 

私自身、何もアドバイスが出来なく、

意気消沈して寂しい後ろ姿で

帰って行く方々を見送る度、

何か自分に出来ないかと、本日筆をとってみました。

 

<現状>

まず、江戸幕府の檀家制度を踏襲している理由は、

幕府から政府に変わり、寺領を国へ返したからです。

そのため、各寺院の運営は、お寺を存続させる為、

檀家から護持会費、葬儀供養料などで運営しています。

 

なので単純に

 

離檀されると運営難になる💦

 

となるので寺院も檀家を辞めるなら、

それなりに離檀料を納めて出ていってと

ある程度の金額を請求するのだと思います。

 

寺院の短所をいち早く理解している住職は、

檀家に頼らない運営に切り替えているので、

離檀料の問題はないかと思いますが、

多くの寺院は打開策がないので、

思い付く『離檀料』に頼らざるを得ないと思います。

 

ネットや週刊誌なのどのコラムで、

離檀料』についての解決策を調べても、

住職と妥協して話を進める様なアドバイスばかりで、

納得出来る解決策と言えるものはありません。

 

個人的離檀料の解決策を見出すのは、

住職との話し合いが必要なので難しい傾向です。

 

費用が掛ますが、弁護士や書士を雇わない限り、

個人的に解決を見出そうとすると、

お互い感情的なぶつかり合いになる傾向があり、

解決が難しいのが現状です。

 

<問題>

さて、寄せられる問題の例をあげてみますと、

 

・高額な離檀料を請求される

・無理な離檀条件を提示する

・檀家を辞めてほしくないと言われ墓じまいの話が進まない。

・墓じまいの話しをすると、全く取り次いでくれない。

 

などです。

 

後継者がなく、今のうちに円満に墓じまい等の

お話を進めたいと思う家族に対して、

びっくりする離檀料や条件を提示するらしいのです。

 

<危険なこと>

ネットなどで、『離檀料は法的なものでないから払う必要ない』と

提案されている方がいますが、確かに法律ではそうでしょうが、

私の経験からすると、より一層寺院と揉める事になりかねないので

やめた方がいいと思います。

弁護士、書士の方々の意見であれば間違い無いかと思いますが、

宗教法人法や各寺院の事情を知らない、終活アドバイザー、葬儀社の

話を鵜呑みにして、寺院出入り禁止になった方もいらっしゃいます。

慎重に事を進める事をお勧めいたします。

 

 

<宗教法人法からのアプローチ>

今回提案する方法は、離檀料をどうにかするという視点ではなく、

宗教法人の根本である、宗教法人法から解決策を見出したら?

という提案です。

 

離檀料』は、寺院の宗教活動の一環と言われたら、

他の寺院の運営に対しとやかく言えないのですが、

あえて、公平に異論をとなえるとすれば、

宗教法人法の『宗教法人の事務』から、

アプローチしてみたら、

活路があるのではないかと私は思います。

 

なぜなら、宗教法人の事務(布施、供養料、離檀料等)は、

代表役員(住職)が独断で決めては

いけないことになっているからです。

参照文化庁:

https://www.bunka.go.jp/seisaku/shukyohojin/kanri/pdf/h22_shukyohojin_unei_guidebook.pdf

 

まず、寺院は宗教法人であるので、何かを決める時、

必ず役員会議開き議事録を残します。

もし、属する寺院から法外な離檀料を請求されたら

離檀料に付いての内訳や役員会議議事録があるはずです。

 

また、ほとんどの住職は、公的な書類申請とかの世界から無縁なので、

宗教法人の議事録の大切さを知っている人は少なく、

離檀料についての議事録はほとんどないかと思われますので、

議事録がなければ、檀家総会にて多数決で決めれるのではないでしょうか?

 

離檀料』に納得出来ないのであれば、

住職に議事録の開示をお願いしてみてはいかがでしょうか?

 

法律に素人な私でも、住職になるときの研修会で、

宗教法人法のガイドブック的なものをもらい読みましたが、

代表役員が宗教法人の事務を独断に決断してはならない』項目があります。

議事録にないことを勝手にやったり、檀家への年一の会計報告の際に

離檀料を計上し公示しないのは法人として筋が通らないかと思います。

仮に寺院維持の為の『離檀料』なら尚更、役員会議にて決まったことを

公示しなくてはいけません。

 

<準備として>

まずは住職と直接話すのではなく、

寺の責任役員さんに相談するのも手です。

また、責任役員さんの中には年功序列で名誉役員さん

を務めていらっしゃる方もいますので、

話がわかる役員さんに相談することをお勧めいたします。

 

離檀料の件に対し役員さんが即答できれば、

なんらかの形で代表役員(住職)と話が通っていますし、

なければ住職の独断と考えられます。

住職の独断であれば、役員会議にて今後の寺院の将来について

話し合ってもらうのも一つの手だと思います。

 

これが解決案のベストではありませんが、

幾多の手段の一つとして皆様の参考になればと思います。

 

<補足>

特に離檀料の問題が多い田舎の寺院の役員は、

年功序列で就任されている方が多い傾向があり、

強い発言力を持っている方がいないのも現状です。

ワンマン住職だとなかなか話がうまくいかない傾向があるので、

地域の考え方、役員の方向性、住職の考え方などを考慮して、

話し合いに臨むことをお勧めします。

 

 

あとがき

<寺院のあり方と、これから>

 

お寺は住職や寺族の個人的な所有物ではありません。

住職は基本、役員さんから任命され

一寺院を管理してる役員にすぎません。

 

明治より寺院後継者の獲得が難しくなった為、

日本の法律で僧侶の妻帯が

許され現在に至ります。

 

また本来寺院は世襲ではなく、

優れた弟子へ継いでいくものですが、

弟子の確保に困難なので、

妻帯し家族を弟子の対象とする現在、

良いも悪いも寺院維持の為の家族が、

色々難しい問題を生む原因の一つなのかもしれません。

 

これだけ情報化社会の中で色々問われる時代です、

一昔前の住職の采配で色々できた時代を見直す時期に来ているんだと思います。

今、寺院関係内で、檀家離れ、仏教離れを心配されておりますが、

そんな事よりも、今後、良い寺院運営に適してない代表役員(住職)は、

今後の運営、寺の信頼に響きますので、

役員から解任、更迭される可能性が増えていくような気がします。

 

寺院界では、『寺院経営難で潰れる寺が今後出てくる』という話題に

頭を抱える住職がいますが、私はそれよりも、役員から満場一致で住職を

解任される方が増えてしまうのでは?と思っております。

 

また、寺院もゆくゆくは各地方の神社のように、

近隣地域の方々が4年周期で代表役員を

当番制で務める時代が来るのかもしれません。

 

お寺があって宗教活動があるのではなく、衆生があってこその

仏教であり僧侶だと私は習いました。僧侶の本分である

衆生を救うことを忘れ、今までお世話になった檀家様から、

新たに離檀料を請求するのは、増々檀家離れ、

 

仏教に対する不満が増し衰退の原因になるのは明らかです。

 

各家の先祖が寺院存続の為に今まで尽くしてきたから今があるのに、

離檀料や今までの供養料として高額な寄付を要求するのはどうかと思いますし、

本来ならば、住職が離檀する家族に対し、

『今までお世話になりありがとうございました』と、

お礼をいうのが筋だと私は習いました。

 

日本は宗教の自由が許されております。

より良い供養が身近にあることを願うばかりです。

 

他により良い方法がありましたら、是非コメント欄に

ご教授いただきたいと思いますのでよろしくお願いします。

 

ご拝読ありがとうございました。

合掌