人は傷つくと

 

自分の心の傷にめいっぱいで

 

相手の傷まで見えないことが多い

 

世界の悲劇を一身に背負ったような顔をするけれど

 

相手から差し出された優しい手は 

 

涙に濡れた視界の外だから

 

全然、見えなかったりする

 

今日は大雨で

 

濡れた空色の傘を干しておいたけど

 

きっとそんなことに気が付く余裕なんてないだろう

 

間断なく響く雨音はどこか子守歌に似ていて

 

せめて君の耳に優しく響けばいいと思うけど

 

君にとっては涙の音で

 

それ以上でもそれ以下でもないんだろう

 

明日になったら、傘は乾くから

 

晴れた空の色になるよ

 

別に全然、気が付かなくていいけれど

 

君の目を楽しませてくれればいいと思う

 

せめて

 

 

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