皆さん、こんばんは。本日は天皇誕生日に更新します。
大分県臼杵市唐人町、陶山歯科医院院長の陶山直昭です。


一昨日(21日)PM 4:00から、大分市トキハ会館において
大鶴歯科医師会学術講演会が開催されたので出席しました。
今回はUCLA歯学部先端補綴学講座ウイントロープセンター
終身教授である小川隆広先生を、お招きしての講演会でした。

小川先生は、世界的に現在最も注目されている研究者の一人で
よくこんな著明な先生を、大分市に招聘することが出来たなあと
驚いた次第ですが…大鶴歯科医師会学術委員会の先生方の
強い意気込みと努力によって、実現したと後から知りました。
このような貴重な講演を生で聴けたことに、感謝しております。

「すべては光機能化へ:インプラントの適応の拡大、治癒の短縮、
 辺縁組織のマネジメントの革新、再生療法の新しい常識
など、時代は大きなパラダイムの転換へ」
…という講演でしたが
かなり衝撃的で、目から鱗が出るような内容で驚いた次第です。

3年前にインプラントチタンエイジング(生物学的老化)の話を
初めて聞いた時は、正直言ってショックを受けたものでした。
なんか自分がこれまでに、患者さんに埋入したインプラント
決して最良なものだとは言えないことを、知ったからなんです。
(3年前の講演会の関連記事は、コチラをご参照下さい)

小川隆広先生
(まだ若い先生ですが、世界を股に活躍されています。)

簡単に言うと…工場で作られた直後のチタン製インプラント
表面が親水性プラス電荷を帯びていますが、時間の経つと
表面が疎水性となり、マイナス電荷を帯び、炭素が付着して
だんだんと表面の性状が、数日、数週間、数ヶ月、数年…と
経時的に劣化していくことが、最近になって分かったんです。

もちろん患者さんに、工場から出荷されたばかりの製品を
使用出来れば良いのですが、現在の流通過程から考えますと
それは不可能な話で、これまで我々は必然的に表面劣化した
インプラント体を使用することを、余儀なくされていたんです。
それでも現在のインプラントの成功率は、向上していますが
我々はハンディを背負ったまま、治療していたと言えます。

小川先生は、劣化したインプラント紫外線照射することで
表面性状を親水性に回復させることを、発見されたんですが
これによりインプラント骨(歯槽骨)への接着能力が上がり
治療成績適応症の拡大安全性が飛躍的に高くなります。
一昨日の講演でも、数々のデータを示していただけましたが
紫外線を照射するだけで、こんなに違うのかと驚愕しました。

3年前にはショッキングな話に思えて、愕然としたものですが
小川先生の話を聴き、逆に明るいが見えてきた気がします。

紫外線照射器はまだ高額で、誠にハードルは高いんですが…
数年後にはきっと、光照射して表面性状の劣化が回復された
インプラント体が、普通に患者さんに提供されることでしょう。
このような技術を、日本人である小川先生が開発したことは
歯科界の未来に、大きな可能性を感じた次第であります。