皆さん、こんばんは。本日も、診療終了後の更新です。
大分県臼杵市唐人町、陶山歯科医院院長の陶山直昭です。


前々回のブログで、フッ化物洗口によるムシ歯予防について
綴りましたが、言い足りないことがあるので追記いたします。

1歳6ヶ月と3歳児健診保育園歯科健診小学校歯科健診
年に何度か、私は子ども達の健診をする機会があるんですが
結果を大別すると、以下の4つに分けられるように思います。
(1) ムシ歯が全くない、全て健全歯の子ども
(2) 数本の初期ムシ歯があるが、放置されている子ども
(3) ムシ歯はあるが、歯科医院で治療されている子ども
(4) 多数歯に重度なムシ歯があり、放置されている子ども


つまり…家庭環境といった様々な理由があると考えられますが
子ども達の口の中の状態に、著明な格差が生じているんです。
特に(1)(4)の子ども達の間の格差は、歴然としておりまして
これは健診をした歯科医ならば、誰もが実感しているでしょう。

最近では(1)のように、全て健全歯の子どもも増えましたが…
今でも(4)のように、多数歯のムシ歯が存在する子どももいて
中には小学生で、永久歯に重度のムシ歯が進行していたり…
「いったい、この子は…きちんと食事が噛めているのか?」
目を覆いたくなるような、実に悲惨な子どももいたりします。

確かにムシ歯の数は、数年前に比べると減少していますが…
ここ最近は減り方が横ばい状態で、頭打ちになっていまして
それはこの格差が、未だに存在しているのが原因なんです。
大分県歯科医師会が、県下の保育園幼稚園学校等での
集団的フッ化物洗口事業を、一生懸命に推進している理由は
県内の子ども達の口の中の格差を、無くすためであります。

小学校でのフッ化物洗口
(佐賀県では全ての小学校で行なうようになりました。)

「私はフッ化物には頼りません。しっかり仕上げ磨きをしますし
 砂糖を使わない食事を与え、子どもにムシ歯を作りません。」

と考えている保護者の方もいるでしょうし、実際にそうやって
徹底的に管理して、子どものムシ歯ゼロであるお母さんも
私は知っていますが、本当に凄いなあと感心させられます。

しかし、残念ながらこんなお母さんは究めて稀だと言えます。
両親が共働きであったり、また保護者が病弱であったり等の
様々な理由があるんでしょうが、そこまで子どもの歯のことに
手が回らない保護者が多いことは、事実だと考えられます。

学校の中で、集団的に皆でフッ化物洗口を行なうことで
家庭では疎かになりがちな、ムシ歯予防を皆で実践出来るし
またフッ化物の効果で歯質が強化されることで、将来に渡り
ムシ歯になりにくい歯を、子ども達は獲得することが出来ます。

また幼少期に園内で、フッ化物洗口を行なっていたとしても…
乳歯から永久歯に生え変わる学童期に、それを止めてしまえば
永久歯ムシ歯は減少しませんし、格差も無くならないんです。
県内の小中学校での本事業の普及を、心から望む次第です。