🍀
      
     人生でたった一度でいい、
     変化を起こすんだ
     変わること、
     それはきっと気分がいいものさ
                                                           🍀

                          これは私のGW中の、
                        ある日のレポートである。



                                                          
「いらっしゃいませぇ〜。」
カランコロンから〜ん、
と、地下一階にあるその店の扉は開いた。
私は店内を進む。
椅子やテーブルを拭うように、
狭い店を前かがみで進むながら、
なんとか空いているスペースを見つけた。
「ここ、いいですか?」

時間ギリギリに入ったので、すぐに電気が消え、挨拶も早々に、
バンドの演奏が始まろうとしていた。
私は単なる客であるのに、
緊張して胸がドキドキしている。
ライブハウスなどに来たのは、
何年ぶりの事であろう…。
🍀

……残念ながらここで少し、
読者諸君にお断りせねばならない。
本来なら、ライブの模様を、
その日のバンドの人達の写真でも載せて、
ライブハウスの飲み物や食べ物も載せて、良い雰囲気を出して、
コメントを書いてお伝えすれば、
お店やバンドさんの宣伝にもなり、感謝もされるかもしれない。
しかし、
このブログの性質上そんな事をしても、
「逆に迷惑でした。」
と言われかねないと考えるのである。
ここは、私も大人である。
詳細を省く事を、読者諸君にお許しいただきたいと思う………                             
                                      🍀
素晴らしいバンドだった。
頬に、涙が流れているのに気づいた。
それだけは伝えておきたいと思う。

アンコールの曲が終わっても、
私は立ち上がらなかった。
電気がつく前に、カバンからハンカチを出して素早く顔を拭った。
それは、緑色のハンカチだった。
カバンは黄色。ズボンも黄色。
靴は白地に赤い線が入っていて、
オレンジ色の斜線の入った長袖ティーシャツの上に濃い緑色のパーカーを着た私は、
となりの青年に話しかけた。

「今日のライブの、
    曲のリストってないのでしょうか?」

青年は、聞いてみればいいよと、
バンドの人達を指さした。
いやぁ、それはちょっと聞けないなぁ…。
と、私は思ったが。

「ありがとう」
私は立ち上がり、店を出ようと歩いた。
しばらく歩くと…、
「あの、ちょっと!」
と誰かが、後ろから私の肩を捕まえた。
振り向くと、そこにいたのは、
なんとバンドのボーカルの人である。
私はおどろいた。

「曲のリストの事だけど、
    ステージの上にある自分ので良かった
    ら、持って帰っていいから。」


なんとも粋な、はからいである。
そんな曲のリストは、
世界にひとつしかないのだから。

私は、
アンコールの曲が何かを知りたかった。

マイケルジャクソンのManInTheMirror
をアレンジした演奏も良かった。
歌い手さんのくれた、
マジックペンに手書きのリストを開いてみる。encore〜「lean on me」


それは、こんな歌だった。


🐛
         lean on me    弱気な時
         教えてよ  ここにいるよ
         いつもさぁ  明日は来る
         信じて  傷ついても

         道は振り向いた瞬間を越え
         続いている
         今も気がつけば
         夕闇に落ちる夕陽

         誰でも同じさ  歩いていく
         つまづき笑い  悲しみ
         私でよければ  真夜中でも
         考えてばかりいないで

         lean on me  弱気な時
         話してよ   ココにいるよ
         いつもさぁ   明日は来る
         信じて
         傷ついても……
                                               

        

それは、ほんの少しの間かもしれない。
歌が終わるとき、
そこにいた私と、歌い手さんやギターやベースやピアノやドラムの人たちや、
バーテンさんや、照明さんやスタッフさんや、飲んだり体を揺らしたりしながら、
音楽に包まれたみんなが、
気がついたコトがあると思う。

わかっている。本当は、
今さら頼ることなんてできない。
でも、気がついたんだ。
なんだかあったかくて心地よい、
そのわけを…。

歌が終わり、
私は、緑色のハンカチをしまい込んだ。
電気がついて、
斜め前に座っていた人と、
目と目があった。
その人の頬は、ひっそりと濡れていた。
私たちは、黙ったまま言葉をかわした。
「ありがとう」とか、
「またいつか」とか、…
そんな何かだ。

私は知っていた。
目と目が合ったその人は、
ライブのはじめに、入口からずっと、
私の事を、
睨みつけていた人だったこと。
その同じ人が、
今は、私に微笑んでいること。

ありがとう。またいつか…。
私は、なんだかうれしくなった。

それがたとえ、ほんの少しの間のこと
だったとしても。





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                 引用:ManInTheMirror訳詞
                         (YouTubeより)
                         lean on me訳詞
                         (金子マリ)