先月発売された超広角レンズ「LAOWA 9mm F5.6 W-Dreamer」の
紹介です。
未だZマウントの交換レンズは数が少ない中で
魅力的な選択肢が追加されたので書かせて頂きました。
「LAOWA」について
LAOWAは中国のVenus Optics社製のレンズブランドで、
全て電子接点抜きのMFレンズである代わりに、
AFのモーター等メカ部品が無い分光学部品を凝縮した
いわば「スチルレンズなのに光学系はシネレンズ仕様」の
個性的かつ高性能なレンズが複数発売されてます。
1本でどんな場面も対応できるような便利レンズはありませんが、
向いてる場面では世界一と言っても大げさで無いほど
ハマるレンズ群です。
多くのメーカーがまずスペックありきでレンズ開発している中で
LAOWAレンズは「こんな写真を撮りたい」というイメージが先にあって
そのイメージに合わせて各仕様を決めて作られている印象です。
昨今最も多く使われている撮影ツールは何かと考えた場合、
デジタル一眼レフでもミラーレス一眼でもコンパクトデジカメでもなく
スマートフォンである事が間違いありませんし、
LAOWAレンズはどのレンズ一本取っても
「スマホで撮るのとどう違うの?」に撮った写真を見せれば
答えになるような独創性を持っているので、
スマートフォンからミラーレスに移行した方等、
解りやすく違いを出したい方は製品リストに目を通して下さいな。
LAOWA 9mm F5.6 W-Dreamer作例と特徴
管理人が撮ったサンプルを何枚か並べておきます。
(使用カメラはニコンZ6です)
なんといっても超広角の撮影範囲と視覚的効果!
下から見上げるような間近からの撮影でも全体が写り、
こんな角度からの光をよくセンサーにあてられるなぁっとびっくりします。
遠近感の強調も段違いなので、奥行きを意識した撮影でも
表現の幅が広がります。
そして細部まできちんと表現する解像力。
曖昧さの無いビシッとした描写です。
使う人によっては欠点になるかなというポイントをあげると
9mmという超広角の性質上、周辺減光が目につくことがありました。
電子接点が無く、純製Zレンズの様にソフト補正がかからないので
気になる方はRAW現像時に調整しても良いかもしれません。
(管理人は逆に主題が引き立って良いと感じたので、
作例は全て周辺減光補正無しの画像です)
最短撮影距離も極めて短く、レンズ先5~6cmまで近づけます。
マクロレンズは中望遠~望遠になると「ただ大きく撮るためのレンズ」
になりがちで「小さく撮って後でトリミングすれば同じ」な事も
しばしばですが、このレンズは他のレンズに真似できないレベルの
遠近感を強調してデフォルメする表現も得意です
使い勝手について
9mmという焦点距離の為、近接撮影をを除いては
ピントはほぼ無限遠に合わせっぱなしでした。
近接撮影ではAFレンズでもMFでの撮影となるため
AFが効かない事がデメリットにならず、
MFである事が理に適っているレンズとも思いました。
ピントリングを遠い方に回しきったところに無限遠があり、
無限遠を通り過ぎてどこにもピントが合わない状態
(いわゆるオーバーインフ)にはならないのも
無限遠撮影の快適さアップに繋がってた思います。
レンズ本体が約350gと軽量なのもありがたく、手持ちはもちろん
スローシャッターでの撮影時等、三脚を着けての撮影も
ストレスなく行えました。
まとめ
今まで同じ焦点距離のレンズが一つもなく、
比較対象が存在しない特徴を持ったレンズなので
大半の撮影を実質ピント合わせ不要で撮れる快適さにも関わらず
使いこなしに多少時間がかかるレンズではありますが
それだけに飽きさせず常にワクワクしながら撮り歩けるレンズです。
過去に撮影した事もある被写体でも、このレンズで撮り直すと
全く別の写真に変わったりもします。
そしてなにより、写りが良い! 写りが良い!(大事な事なので二度)
どんな突き抜けた個性を持っていてもボヤけた写りでは
面白いけどすぐ飽きるイロモノレンズにしかなれません。
LAOWAレンズ全般に言える事ですが、確かな基本性能が
個性を実用性として成立させていると感じています。