マニュフェストを掲げて2009年に政権交代を実現した民主党ですが、その政策は子ども手当ての半額支給を除けば、ほぼ全く実現できてはいません。
それというのも、マニュフェストの実現には毎年16.8兆円の費用が必要で、それは特別会計を中心とする税金の無駄遣いの是正と埋蔵金の発掘による確保を想定していましたが、事業仕分けなどでもほとんど財源を捻出することができていないためです。
特別会計というのは、特定の用途の予算については、一般会計予算から分離して別の計算にするという仕組みのことです。
この方式にはメリットとデメリットがあります。
まず、メリットとしては、一般会計というどんぶりに入れてしまうと、個別の予算が足りているのか不足しているのかがまさにどんぶり勘定でよくわからなくなってしまうので、特定の用途に関しては、収支を一般会計から分離するということです。
もう一点は、マスコミなどでは一切語られていませんが、その特別会計の用途に関する税収の確保がしやすくなることです。
これは、一般会計は、所得税・法人税・消費税という3つの税で大半が占められていますが、これらの税は非常に大勢の人から徴収していますので、誰しも税金を払うのはイヤなので、増税には非常に大きな「政治的」困難を伴います。
嫌な思いをする人が多いほど、広範囲に選挙の得票に影響が出ますから、いくら予算が不足するからといってなかなか増税はできませんので、その特別会計の支出の受益者から徴収するのが手っ取り早いわけです。
具体的には、自動車の重量税やガソリン税などは道路整備に使われることになっていますし、電力に課される税金はエネルギー特別会計で原子力発電所など電源の開発に使われることになっています。
これは、利益を受ける人に対して負担を求める受益者負担については、例えば「道路を作りたいので、ガソリンに税金をかけたい」などと言えば比較的理解が得られやすいのと、前記した一般会計の税金が増税しにくいのと逆に負担者の数が少ないので、政治的には比較的容易なせいです。
デメリットとしては、そのような特定の用途で税を徴収した場合には税の使い道を変更が難しいために、無駄が生じやすいことです。
これは、税というのは、毎年同じだけ税収があるわけではなく、景気や社会情勢などによって税収も支出も変る一方で、政策というのは、1年で執行するわけではなく数年かけて執行します。
よって、ある程度の継続性は必要ですので、予算が足りないから途中でこの政策は打ち切りですなどという話では困ります。
5年かけて作る施設を4年目や5年目で終了してしまっては、それまでかけたお金が無駄になるだけではなく撤去するのにもお金が必要なため、一般的に特別会計では税収に対して支出は多めになっており、残った額は足りない時のために準備金として積み立てておきます。
しかし、税収に対して支出が多めなので、放っておくとどんどん準備金が積み上がってしまいます。
ここで、本来であれば、税率を下げて積立を取り崩す「埋蔵金の発掘」により準備金を調整すればいいのですが、税率を変更するのには法律改正が必要ですので、官僚サイドは税率の変更はなるべく避けようとします。
その代わりに、「今年はまだ要らないけど先々必要となるから買っておこう」とか「ちょっと高いけどもっと性能のいいものを買おう」などという感じで財布の紐が緩んでいくことになるわけです。
こういう仕組みで、税収が潤沢な特別会計はどんどん贅沢になり、これをたとえて塩川元財務大臣は「母屋(一般会計)ではおかゆをすすっているが、はなれ(特別会計)ではすき焼きを食べている」と表現して話題になりました。
このような事情で、民主党は「無駄を撲滅するには特別会計改革は必要だ!」とマニュフェストに掲げ、「特別会計の予算は一般会計に統合してどんどん絞ればいいんだから、特別会計を一般会計に統合していけばいい。」という理屈で特別法人改革を主張していました。
具体的には、特別会計予算の合計は約200兆円なので、1割支出を削減すれば約20兆円の余裕ができます。これは、消費税を増税するとすると10%弱にあたります
ところが、そんなに話は上手くいくわけがありません。
特別会計は重複などを除くと平成22年度で169兆円あります。
この中で、国債の元利を償還する(所有者に返済する)ものが79.5兆円、財政投融資といって国からお金を貸し出して投資するために発行した財投債の償還に9.5兆円、社会保障費(年金積立、医療、雇用)に52.6兆円、地方交付税交付金(地方自治体への財政調整のための支出)が17.8兆円などは必須の項目つまり素通りしているだけの額ですので、それを除くと約10兆円ほどしか残りません。
さらに、この10兆円の出元を見てみると、約1/3は一般会計から特別会計に繰り入れられています。。
という感じで、どう削っても、20兆円どころか1兆円か2兆円もなかなか厳しそうです。
これがマクロな財務省が主張している事情で、これだけだと信じない方もかなりいらっしゃるかと思います。
財務省「特別会計のはなし(平成22年度版)」
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/tokkai2207.htm
個別の理由としては、無駄を削減することは可能でしょうが、そもそもの話として、削減の対象となる特別会計の収入は一般会計からのものは一部で、残りは用途を決めて徴収されている税金であるため、支出が減るのであれば、税率を下げるべきという主張です。
実際、マニュフェストには、ガソリン税の特別税率の撤廃が掲げられていましたが、道路特別会計は廃止されましたが、ガソリン税の税率は変わっておらず、道路への支出も多少抑えられた程度です。
地方からの道路整備の要求が強かったにも関わらず、ガソリン税を下げるのならば、道路を作る税が足りないという事情と、逆に道路を作る予算を減らすのならばガソリン税を下げるべきなどと党内の主張から断念したものと思われます。
そういった理由で、税金を創設するほどのニーズを持った政策に関しては、単に支出を削減したとしても、その財源を他の用途に使うことは難しいのです。
さらに、特別会計は黒字とは限らないことです。
例えば、林野特別会計は、1970年代以降は外国産の木材の輸入から国産の不振で赤字が継続している状況で、単純に一般会計に統合すると一般会計の赤字は増加する状況にあり、特別会計を対象とした政府の第三次事業仕分けで埋蔵借金として浮上しました。
無駄を削減して財政に余裕を持たせるのが目的ですので、これでは話があべこべです。
そんな感じで、民主党政権は、特別会計に手を付けようとしたもののほとんど手付かずに終わってしまったものと想像されます。
この構図は一般会計でもほとんど変わらず、既に誰もが無駄と思うような政策というのは全体から見ればごく一部で、事業仕分けは手間ばかりかかる割には実効性の無いパフォーマンスだと言われるゆえんです。
ここから先は、かなりの人が必要としている施策についても削減して、より重要度の高い政策にシフトしていくリーダーシップが求められますが、民主党のみならず、自民党でもこれまで実現できなかった話なのでなかなか難しいですね。
それというのも、マニュフェストの実現には毎年16.8兆円の費用が必要で、それは特別会計を中心とする税金の無駄遣いの是正と埋蔵金の発掘による確保を想定していましたが、事業仕分けなどでもほとんど財源を捻出することができていないためです。
特別会計というのは、特定の用途の予算については、一般会計予算から分離して別の計算にするという仕組みのことです。
この方式にはメリットとデメリットがあります。
まず、メリットとしては、一般会計というどんぶりに入れてしまうと、個別の予算が足りているのか不足しているのかがまさにどんぶり勘定でよくわからなくなってしまうので、特定の用途に関しては、収支を一般会計から分離するということです。
もう一点は、マスコミなどでは一切語られていませんが、その特別会計の用途に関する税収の確保がしやすくなることです。
これは、一般会計は、所得税・法人税・消費税という3つの税で大半が占められていますが、これらの税は非常に大勢の人から徴収していますので、誰しも税金を払うのはイヤなので、増税には非常に大きな「政治的」困難を伴います。
嫌な思いをする人が多いほど、広範囲に選挙の得票に影響が出ますから、いくら予算が不足するからといってなかなか増税はできませんので、その特別会計の支出の受益者から徴収するのが手っ取り早いわけです。
具体的には、自動車の重量税やガソリン税などは道路整備に使われることになっていますし、電力に課される税金はエネルギー特別会計で原子力発電所など電源の開発に使われることになっています。
これは、利益を受ける人に対して負担を求める受益者負担については、例えば「道路を作りたいので、ガソリンに税金をかけたい」などと言えば比較的理解が得られやすいのと、前記した一般会計の税金が増税しにくいのと逆に負担者の数が少ないので、政治的には比較的容易なせいです。
デメリットとしては、そのような特定の用途で税を徴収した場合には税の使い道を変更が難しいために、無駄が生じやすいことです。
これは、税というのは、毎年同じだけ税収があるわけではなく、景気や社会情勢などによって税収も支出も変る一方で、政策というのは、1年で執行するわけではなく数年かけて執行します。
よって、ある程度の継続性は必要ですので、予算が足りないから途中でこの政策は打ち切りですなどという話では困ります。
5年かけて作る施設を4年目や5年目で終了してしまっては、それまでかけたお金が無駄になるだけではなく撤去するのにもお金が必要なため、一般的に特別会計では税収に対して支出は多めになっており、残った額は足りない時のために準備金として積み立てておきます。
しかし、税収に対して支出が多めなので、放っておくとどんどん準備金が積み上がってしまいます。
ここで、本来であれば、税率を下げて積立を取り崩す「埋蔵金の発掘」により準備金を調整すればいいのですが、税率を変更するのには法律改正が必要ですので、官僚サイドは税率の変更はなるべく避けようとします。
その代わりに、「今年はまだ要らないけど先々必要となるから買っておこう」とか「ちょっと高いけどもっと性能のいいものを買おう」などという感じで財布の紐が緩んでいくことになるわけです。
こういう仕組みで、税収が潤沢な特別会計はどんどん贅沢になり、これをたとえて塩川元財務大臣は「母屋(一般会計)ではおかゆをすすっているが、はなれ(特別会計)ではすき焼きを食べている」と表現して話題になりました。
このような事情で、民主党は「無駄を撲滅するには特別会計改革は必要だ!」とマニュフェストに掲げ、「特別会計の予算は一般会計に統合してどんどん絞ればいいんだから、特別会計を一般会計に統合していけばいい。」という理屈で特別法人改革を主張していました。
具体的には、特別会計予算の合計は約200兆円なので、1割支出を削減すれば約20兆円の余裕ができます。これは、消費税を増税するとすると10%弱にあたります
ところが、そんなに話は上手くいくわけがありません。
特別会計は重複などを除くと平成22年度で169兆円あります。
この中で、国債の元利を償還する(所有者に返済する)ものが79.5兆円、財政投融資といって国からお金を貸し出して投資するために発行した財投債の償還に9.5兆円、社会保障費(年金積立、医療、雇用)に52.6兆円、地方交付税交付金(地方自治体への財政調整のための支出)が17.8兆円などは必須の項目つまり素通りしているだけの額ですので、それを除くと約10兆円ほどしか残りません。
さらに、この10兆円の出元を見てみると、約1/3は一般会計から特別会計に繰り入れられています。。
という感じで、どう削っても、20兆円どころか1兆円か2兆円もなかなか厳しそうです。
これがマクロな財務省が主張している事情で、これだけだと信じない方もかなりいらっしゃるかと思います。
財務省「特別会計のはなし(平成22年度版)」
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/tokkai2207.htm
個別の理由としては、無駄を削減することは可能でしょうが、そもそもの話として、削減の対象となる特別会計の収入は一般会計からのものは一部で、残りは用途を決めて徴収されている税金であるため、支出が減るのであれば、税率を下げるべきという主張です。
実際、マニュフェストには、ガソリン税の特別税率の撤廃が掲げられていましたが、道路特別会計は廃止されましたが、ガソリン税の税率は変わっておらず、道路への支出も多少抑えられた程度です。
地方からの道路整備の要求が強かったにも関わらず、ガソリン税を下げるのならば、道路を作る税が足りないという事情と、逆に道路を作る予算を減らすのならばガソリン税を下げるべきなどと党内の主張から断念したものと思われます。
そういった理由で、税金を創設するほどのニーズを持った政策に関しては、単に支出を削減したとしても、その財源を他の用途に使うことは難しいのです。
さらに、特別会計は黒字とは限らないことです。
例えば、林野特別会計は、1970年代以降は外国産の木材の輸入から国産の不振で赤字が継続している状況で、単純に一般会計に統合すると一般会計の赤字は増加する状況にあり、特別会計を対象とした政府の第三次事業仕分けで埋蔵借金として浮上しました。
無駄を削減して財政に余裕を持たせるのが目的ですので、これでは話があべこべです。
そんな感じで、民主党政権は、特別会計に手を付けようとしたもののほとんど手付かずに終わってしまったものと想像されます。
この構図は一般会計でもほとんど変わらず、既に誰もが無駄と思うような政策というのは全体から見ればごく一部で、事業仕分けは手間ばかりかかる割には実効性の無いパフォーマンスだと言われるゆえんです。
ここから先は、かなりの人が必要としている施策についても削減して、より重要度の高い政策にシフトしていくリーダーシップが求められますが、民主党のみならず、自民党でもこれまで実現できなかった話なのでなかなか難しいですね。