日々生活していると、とにかく税金やら公共料金やら何とか保険料とかでやたらとお金を取られ、かと言って、収入は年々下がっている気がする。
 何が悪いのか?

 これについて、テレビや新聞などのマスコミ、さらにネットのニュースサイトや掲示板などを見ていると、以下のようなことが考え付く(極小★~極大★★★★★の5段階程度で評価)

(1)国が無駄遣いしているから(財政無駄論、公務員無駄論)
 国がとにかく税金を取る一方で生活に関係ないところでバンバン使ってしまっているせい。
 もっと具体的には、官僚の高級や天下り、大企業への減税や補助金などによって、一般庶民の暮らしにしわ寄せが来ている。

→可能性小【★★】
 公務員の平均給与が少ないとは言いますが、実際のところ中央官庁も地方自治体も非正規化をすごい勢いで進めており人件費も同様に削られています。特に地方などは教員や保母などの非正規化が激しいようです。官民の給与格差などの問題についてもよく見ると、公務員の給与を決定する人事院は正規職同士、非正規職同士で同額になるように調整しています。報道されているような官民格差の状況を見ると、公務員の給与は正規職員だけ、民間の給与はパートやアルバイトまで含めたベースになっており、余りにもバランスがよろしく無いかと思われます。
 また、そのため、残った正規職員だけで平均を取ると比較的高給に見えます。OECD平均から公務員の給与が倍になっていたりしますが、公務員の給与総額がむしろ少なかったりするのは、未だに欧米などは公共機関や観光施設などの職員などが公務員であったりするケースも多いですが、日本ではほぼ民営化されているなどの事情によります。
 また、財政面でいうと、高齢化が進んで、健康保険や介護保険などの財政が悪化しているために、保険料が上げられたりしていますが、それだけでは足りずに税金から補填されていたりして、その額が毎年1兆円以上増えているため、国の財政が年々ひどいことになっています。
 消費税などは、低所得者も食料品など生活必需品にも負担が平等に生じる逆進負担だとかいう話もありますが、高所得者はそれなりにいいものを食べたりして支出額も多いので、逆進性については限定的ですが、年金保険料、健康保険料、介護保険料などは定額であり、貧乏人でも金持ちでも同額がかかるので逆進性は比べ物になりません。ですが、消費増税は政治的抵抗が大きいので、各種保険料や公共料金などの値上げなどによって補填されています。
 低所得者ほど消費増税に反対するというのは、どうも皮肉な感じがします。

(2)企業が儲けているから(企業収益主義原因論)
 企業が海外との競争や株価対策などのために、とにかく収益を上げなければならない圧力が上昇し続けているために、内部留保、株式配当、海外投資などを名目として労働者の賃金を抑え込んでいる。

→可能性小【★★】

 これは、国内だけ見ればその通りなのですが、現在は貿易が自由化しているため、商品やサービスの値段が国際的に収束している状況にあります。そのため、海外企業と同じ会計方式を統一ルールとして採用せざるを得ないため、ある程度収益を重視せざるを得ませんし、人件費も海外レベルに近づける必要があります。
 それも原因としてありますが、日本は画期的なイノベーション(創造性)により発展してきたというよりは、欧米のイノベーションに追従して生産効率をアップすることにより発展を遂げてきている状況にありますが、近年、そのような破壊的イノベーションが無いために、日本だけでなく先進国全体が行き詰っている現状にあります。欧米では金融によって成長を図っていましたが、金融はバブルが避けられず、リーマンショックによってバブルが崩壊し、次の成長要因を模索しているところです。
 一方、今までは教育水準が低く生産国に向いていなかったような国も教育水準が向上し、日本より1桁低い人件費で同様の製品が作れるようになっています。というよりは、先進国がお金を出して途上国で製品を生産しているため、1桁人件費が高いからといって10倍の生産性を得られるわけも無いために成長の鈍化や賃金の低下は先進国で共通の悩みです。

(3)貧富の格差が広がっているから(格差拡大論)
 お金があるところには沢山あり、そのお金を転がしてより金持ちになっている。一方で、そもそもの財産が無い人はそのようなチャンスが無いために格差がどんどん広がっている。

→可能性極小【★】

 上記(2)のような原因によって、世界中の賃金の底上げが進んでおり、むしろ世界的には貧富の格差は縮小傾向にあります。
 日本の低所得層の賃金が下がっているのは、日本国内での格差が下がっているのではなく、全体的に賃金が下がっているのです。
 もっとも、労働では無く金融所得で生活しているような超が付く高所得者は相変わらず儲けているとは思いますが、そもそもそういう人は数が物凄く少ないので全体に与える影響も知れたものだと思われます。

(4)日本にいる外国人が不当なメリットを受けているから(在日外国人不当利益論)
 戦時中からの在日朝鮮人や不法入国外国人などが不当な保護(生活保護、年金など)を受けている、あるいは不当な経済活動によって低所得者層の雇用が悪化している。

 そもそもの話として、在日朝鮮人などは毎年1万人程度減少しており、現在はざっくり60万人程度であって、多少の不公平があったとしても全体に影響を与えるほどではないかと思われます。
 もっとも、昔は在日外国人は年金に加入できなかったので、年金や生活保護費を保険料などの負担をそもそもせずに受け取っているような現状もありますが、在日の個人的な原因でもありませんので、負担は母国に請求するなり、帰国して貰うなりしてもいいのかも知れませんが。
 不法合法含めて大体200~300万人の外国人が日本にいるようです(大半は中国系です)が、研修名目だったり違法だったりして最低賃金が適用されていない場合が多いので、こういう人達が本当に不当な利益を得ているのかは怪しいと思われます。

(5)海外に不利益な貿易を押し付けられているから(対外圧力論)
 アメリカや中国が好き勝手言って不公平な貿易を押し付けてくるのに大して政治家は何の抵抗もできないため、安い輸入品などによって日本の雇用が奪われている。

→可能性中【★★★】

 日本は資源国家ではないので、ある程度は加工製品などを海外に輸出するなどが必要です。一方で、輸入は一切しないなどということはありえず、そもそも輸出して得られるのは外貨なので、輸入して外貨を得るだけだとどんどん円高が進んで輸入すら怪しいことになりますし、食料自給率は4割程度なので食品の輸入をやめるわけにもいかず、やはり安全保障などに配慮しつつも、ある程度輸出入平等な貿易をする必要はあるかと思われます。
 輸出依存度はせいぜい2割強なので平気という話もありますが、2割もGDPが落ちると大変なことになるので無理かと思われます。

(6)世代間格差が広がっているから(世代間格差拡大論)
 若いときには大した税金・年金を払っていなかった老人が年金、医療、介護を受けているのに大して、現役世代は負担ばかり押し付けられている。また、その割には高度成長を謳歌した老人は十分な蓄えがあり、裕福な老後を過ごしている。

→可能性大【★★★★】

 現在の日本政府の財政が悪化している理由の大半は、社会保障費の国費による補填(ほてん)です。そもそもの話として、政府予算支出92.3兆円のうち、国債費(国債の元本の返済と利子の支払)で20.6兆円、地方交付税交付金(地方財政の不足分への補填)が17.4兆円、社会保障費が27.2兆円で、その3つだけで7割を超えています。後は、防衛費4.7兆円、文教及び科学技術振興費5.5兆円とかで、残りの一般予算と公共事業で15兆円というところで、使い道を選べるのはここだけです。平成23年度はここを1割削って新しく付け替えるという感じです。
 その社会保障費というのも、健康保険料が不足している分について国税で負担しているもの約8兆円、年金の保険料の国の負担分10兆円、介護保険の国負担分2兆円の3つで20兆円に達しています。
 高齢化が進むので、医療、介護、年金の負担に金がかかるっていうことで、残りは生活保護と社会福祉と雇用対策で、こっちも削る余地はどうもなさそうです。
 ただ、ここまで説明したのは政府予算の分ですが、この社会保障費の分は丸々国債費の増発分に相当しますので、今のところは政府の借金(ツケ)が増えているだけで現在の我々の生活に影響しているということは無いと思われます。(先々は物凄く不安ですが)
 実際のところは、日本人の平均年齢は50歳弱位なので、壮年から老後を意識し始めた人達が先行きの不安から消費を控えている層がどんどん増えているので景気が悪くなっていると思われます。やれやれ。

 以上の感じから原因を分析してみると、
・少子高齢化の進展
 年寄りばかりになると金を使う人が減っている。一方、老人に金がかかりすぎる。
・グローバル化による低スキル労働の低コスト化
 もっと働いているのに日本人以上に賃金の安い労働者が世界中に沢山いる。
・国の財政が悪化しており緊縮せざるを得ない状況
 成長が弱まっているのに同じような税体系も支出も同じような感じにやっちゃっているので金がもう無い。

 という様子が見えてきます。

 なので対策は、
・労働者人口の増加(女性の労働力としての活用、移民の受け入れなど)
・高齢者対策(所得ベースでは無く消費や資産ベースでの費用負担への移行)
・産業構造のグローバル化への対応(新興国で作れる安い物はあきらめて高いものだけに絞ろう)

 という感じになって、
 当面は、TPPへの参加、消費税への税シフトということでしょうか。
 なんか、ただ生きていくだけでもしんどそうだなーという感じですね。
 新年も明けてからしばらく経ってしまいました。なかなか新規エントリーを書けないのですが、よろしくお願いします。

 国民年金を払う人達の間では、国民年金への信頼感が非常に下がっている。
 そもそも、日本人のほとんどは厚生年金や共済年金の加入者とその扶養配偶者(国民年金に加入はしているが保険料の支払は不要)であり、国民年金に加入して保険料を支払う必要があるのはざっくり1割程度である。
 なので、その半分程度が国民年金を払わないからと言って、そもそも、年金に加入しなければ当然の話として年金は貰えないので、単純に言えば年金システム自体には影響は無い。

 ただし、働けなくなった高齢者には、憲法で生存が保障されているので、国としては生活保護しなくてはならないので、国の財政としてみた場合には無年金者の存在大問題ではありますが。

 国民年金の仕組みは、簡単に言うと、年金の保険料15,100円(平成22年4月1日現在)を20歳から60歳まで40年間支払った場合、65歳から年額792,000円の年金給付を受け取れるという仕組みである。免除を受けたり、払ってない期間がある場合は、それに応じて金額が減らされる。
 単純に計算すると、74歳まで生きれば元が取れる。

 不安感があるのが、保険料がもっと上がらないかと給付額これより下回らないかが保証されているのかどうかという辺りで、実際、今の保険料と給付額の比率が現在以上になる可能性は限りなく低いが、納付額の総額を著しく下回ることも考えにくい。
 これは、国民年金の仕組みは、国民年金の保険料を納付すると同時に国からも同額が負担されて(国庫負担金)、合算額が積み立てられ、この積立金を国が運用するため、運用益も積み立てに追加されるので、積み立て額は納付額の倍になるためである。
 単純に言って、国全体での納付額が支給額の倍になるまでは、何とか今の額がキープできる。民間生命保険会社の個人保険みたいな商品だと、現在の金利での運用環境では払った額が戻ってくれば上等という感じなので、多額の税金が投入される国民年金に加入しないという手は無いと思うがどうだろうか?
 まあ、国民年金には制度上色々問題もあるのだが、これはまた別な機会に説明しようと思う。

 そんな感じで、大体、今の制度設計上の年金額が支給されることを前提に老後を考えてみる。

 年金額は792,000円ということは、月に直すと66,000円(実際は1月置きに132,000円が振り込まれますが)となっており、夫婦で月に132,000円となる。
 この額というのは、持ち家があった上で夫婦で暮らしていてギリギリ生きていける位の水準で、世間で問題になっているように生活保護の水準を下回っているので、借家だったり単身だったりするとこれだけの収入では生きていくのは非常に辛い。

 月の生活費を20万円とすると、年金が66,000円なので、残りの132,000円が必要で、65歳までは何とか働くとして80歳まで15年生きるとして2,376万円が老後に必要な資金となる。
 それでも、全部自分で用意したら3,600万円必要なので、大抵の人は相当厳しいことになるのでは?さらに、もっと長生きした場合にはより悲惨な事態が待ち受けていそうな雰囲気がぷんぷん感じられる。

 そんなわけで、今のうちは月15,100円を納付するのは非常にしんどいとは思うが、老後を考えれば年金保険料納付しておいた方が無難だろうなーと思うのである。
 ご無沙汰してます。なかなか文を書く暇がないというよりは、きちんとしたデータを載せようと思ったら無理っぽいので、ざっくりしたデータで行くことにしました。
 ネットやテレビなどのニュースで「官民の給与格差が100万以上になっている」という報道を見たことがある人は多いかと思います。
 これについては、 国の公務員の年収が660万円で地方公務員が728万円に対して、民間平均が434万円という感じの数字を見たことがある人は多いでしょうが、大体トレンドとしては変わりません。

 とりあえず、ここで引用した数字の出元は、年収ラボというサイト(http://nensyu-labo.com/2nd_koumu.htm)であり、「公務員 給与」で検索するとかなり上位に表示され、あちこちで使われているようです。ちなみに平成18年の数字だそうですが。

 それで、実際はどうあれ、公務員の給与というのは民間の平均を基準として決めることとなっているので、いくらなんでもおかしいんじゃないかと思うのは人の性(さが)という奴で。とりあえず、調べてみます。

 この年収の引用元を見ると、公務員については人事院の調査、民間に関しては国税庁の納税統計を使っています。

 つまり、国税庁のデータについては、「パート、アルバイトを含む」となっています。
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan/top.htm

 この調査結果について、よくよく分布を調べていくと、民間は100万円以下、200~300万円、500~600万円位のところにピークがあるようです。
 つまり、配偶者控除を受けるためのパートは100万円以下、派遣とか契約社員なんかの有期雇用は大体月収20万円位なので200~300万円、正規労働者は500~600万円のところに対応しているわけで、パート主婦が平均をがばっと引き下げているわけです。

 ちなみに、公務員については、地方公務員が3百数十万人のうち非常勤が50万人弱で、国家公務員は統計がなかったのでよくわかりませんがやはり1~2割が非常勤となっていますが、基本的に国家公務員の非常勤はパート雇用というのは余りありませんので、上記でいうところの有期雇用に対応しますので、それを統計に加えれば大体似たような数字になるようです。

 それでも若干公務員平均の方が高いのは事実なので、今度は公務員の方を分析してみます。

 国家公務員については、年収ラボで使われている、国家公務員給与実態調査を見てみます。
http://www.jinji.go.jp/kankoku/kokkou/20kokkoulink/20houkoku.pdf

 これの概要の2ページ目「職員数、平均年齢、平均経験年数及び平均給与月額」を見ていただくとわかると思いますが、全28万人のうち一般の事務職を示す行政職俸給表は16万人で58%を占めていますが、これは全体平均より月収ベースで、1万6千円ほど低くなっており、他の専門的な職種が平均を引き上げていることがわかります。
 蛇足ですが、この数字は諸手当を含む支給額ベースの数字と表に書いてあります。

 地方公務員についても、調べましたが、同じような感じで、むしろ地方では、教員がかなり平均を引き上げているようです。
http://www.soumu.go.jp/iken/pdf/02_1.pdf

 ついでに、独立行政法人なんかの給与についても年収ラボでは商会されていますが、独法は1/3位が研究機関で、残りも研究とか金融などを取り扱うものがほとんどなので、全産業平均と比較するのは酷に感じます。

 まとめに入ると、結論としては、
 (1)官民の格差は報道されている程ではない。
 (2)高給与を望むのなら、単に公務員では不十分で、常勤教師、医者、研究者を目指せ。
 ということになります。もっとも、(2)も採用されるのが非常に難しいですし、勤務時間が長い割には残業手当もほとんど付かないので、本当に目指して得かはわかりませんが。

 もっとも、この説明だけでは、民間世帯で主に家計を維持している人が有期雇用化しているという実態についてまではフォローしきれませんが、官民の比較という意味では悪意を感じます。