奈良の興福寺がいま大規模修繕をしているそうですが、そこで使われている柱がアフリカのカメルーンから輸入したものであることを初めて知りました。
いま、日本のどこを探しても、神社仏閣を改修するひのきが存在しないということをみなさんご存知でしたか。
それを聞いてショックを受けました。
神社仏閣の柱になる木はだいたい直径1メートル50程度で、大経木と呼ばれるそうですが、この木が育つのに最低でも500年から1000年かかるそうです。
500年から1000年・・・
気が遠くなる年月です・・・
あらためてどれだけ私たち人間の「時間」が自然のそれとは大きく異なるかと思い知らされました。
いまさらですが、開発という名の自然破壊で私たちはこの時間感覚のずれを全く無視してきた結果、もう大経木がどこにも存在しないという現実に至ってしまったこと、これは重く受け止めないとなりませんね。
興福寺の修繕にあたっている宮大工の方がおっしゃっていた話が耳に痛かったです。
「我々は、すぐ結果を出そうとする。
すぐ、というと、数ヶ月、数日、数時間。
それが人の時間。
しかし、木の時間は500年、1000年。
(木を植えるだけではなく)人間の側に精神力も植えつけないといけない。」
私たちはいつからこんなに時間の亡者になってしまったのでしょう。
時間がお金に換算されたあたりからでしょうか。
ミヒャエル・エンデのモモに出てくる時間泥棒がすっかり私たちから大切なものを奪っていってしまいました。
大経木もそのひとつでしょう・・・
なお、いま、故立松和平さんの発案で、ひのきを育てるという「古事の森」が、全国に数十箇所あるそうです。
木を植えに行きたい、と思いました。