「ずっと、つづく」

 

 

小学2年生のある日の夜、

 

私たち親子は一緒にお風呂に入って湯船につかりながら話をしていました。

 

「病院に行った理由はね……」

 

「アスペルガー症候群っていう障害がね………」

 

母は言葉を選びながらゆっくり話していたし、私は落ち着いて聞いていました。

 

「私の病気は治るの?」

 

「治らない。一生上手に付き合っていくものだよ。お母さんも協力する」

 

そのころには、2人とも涙があふれていたと思います。

忘れられない、私の原点です。

 

 

 

 

長文になります。

こちらから全文が読めます

 

 

 

NHK選評

この作品を読んでいると、障害を受け入れることに、いかに長い歳月と心の葛藤が必要であるかがわかる。

作者は最初の段落で

「これは、私の障害受容の変化の記録です」

と宣言し、小中高校そして大学と各段階での自分の障害受容の意味を客観的に分析している。

その分析力は本質に迫るものがある。

作者は迷いながらも常に前向きだ。

その原点は小学2年生のある日の夜の母親のことばであろう。

「治らない。一生上手に付き合っていくものだよ。お母さんも協力する」

なんと誠実で愛情にあふれた言葉だろうか。

(鈴木 賢一)

以上