本日も『 I f の 総 て 』で、

第13章「歴史は頑固親父か?」

第14章「2041年から来た野次馬」となります。

 

第13章後半、穂花が山本五十六への説得を失敗したことで、花村は、真珠湾攻撃の「前日のホノルル」へトリップし、米国側に日本の真珠湾奇襲作戦を伝え、日本の真珠湾奇襲作戦を失敗に終わらせる作戦に出ます。

 

それで、そこで語られる内容ですが、これまでと同じく、歴史的事項について、それなりの研究結果に基づいています。そこの点はフィクションではありません。巻末には参考文献の一覧40数点が記載されています。
 

大きな背景として、

      ・そもそも日米間には戦争によってしか解決できない問題などなかった。

      ・日米交渉の決裂が日米開戦に直結していたというわけでもない。

      ・中国問題は日米対立の争点ではあったが、アメリカの利益を著しく損なうわけ    でもなかった。

      ・日本の南進政策の方が問題だったが、アメリカの関心は東南アジアよりも大西             洋に向けられており、日米対立は二の次のはずだった。

 

そして、軍事的には、

      ・真珠湾は難航不落の要塞であるとアメリカ人は自負していた。戦略上これ以上     の立地はなく、また最高の防備力を誇り、補給体制も万全だから、日本からの     攻撃は不可能と断じていた。その過信が米軍の油断を招き、連合艦隊による奇       襲の成功率を高めた

と、語られ。

 

そして、真珠湾奇襲攻撃と云えば、話題となる、アメリカが日本の奇襲攻撃を「事前に知っていた説」に繋がりそうな点として、

 

先ずは、

      ・陸軍航空隊幹部の作戦研究では、「日本海軍は6隻の空母からなる艦隊を組織    し北方ルートで接近し、早朝に真珠湾攻撃を仕掛けてくる」との結果が出てい     た。しかし、太平洋艦隊司令長官にも報告が上げられたが、なぜか、航空哨戒       が強化されることはなかった。

 

 

そして、FBIに拘束された花村が、捜査官に奇襲攻撃を伝えるシーン。

 

  捜) 航空攻撃の可能性があることは、すでに陸海軍の幕僚に伝わっている。

  花) 攻撃の可能性を把握しているのなら、なぜ迎撃態勢を取らないんだ?  

  捜) それはおまえが心配することではない。

  花) 事前通告を故意に無視するつもりだな。政治的意図を感じる。あえて無防備に        奇襲を迎えようとしているだろう。

 

そして、地の文で、

「これは単なる慢心ではない、確信犯的な慢心、意図的な警告無視である。その目的     はただ一つ、アメリカの世論を一気に世界大戦参戦に誘導する為に違いない」

 と記していのです。

 

でも、この展開は、とても、とても、変です、不自然です。花村は歴史研究家でトリップする事前に、あらゆるデータを調べ上げて居るのです。この「アメリカ知っていた説」は、現代人の歴史好き、と、まではいかない、それなりの人でも、それなりに知っている、それなりに有名な説です。

 

花村がこの事をまったく知らないのは、とても、とても、変です、不自然です。攻撃側も止められず、攻撃されるアメリカ側は、知っていながら迎撃する意思なし。

 

どうする花村薫です! 

 

はい、ここから、第14章「2041年から来た野次馬」になります。

 

花村を留置所から助け出す男、これからの展開に関わる、中国人歴史学者のトニー・チャンの登場です。実はこの男、2041年から、100年前の1941年12月7日ハワイに、特に目的もなく、単なる歴史観光でトリップして来たのです。

 

二人りのやり取り、

花) もしかして、君は私の協力者なのか?

男) いいえ、私は傍観するだけです。

花) 歴史の書き換えを手伝ってくれるんじゃないのか?

男) 歴史を書き換えるなんて考えたこともありません。歴史には一切干渉しない主義     です。そう誓約しなければ、ヒストリー・シュミレーターのユーザーにはなれま    せん。

花) それはおかしい、シュミレーターの開発目的は「もしもあの時こうしていたら、      歴史はどう変わったか」を確かめることだったんだ。歴史に干渉して何が悪い。        戦争に負けなかった日本、アメリカに占領されなかった日本を夢見て何が悪い。

男) 夢を見るのは自由ですが、あなたは一度でも歴史の書き換えに成功した事があり       ますか? このアプリのユーザーズ・ガイドには「歴史を書き換えるのはほぼ不可         能である」と書いてあったと思うのですが。

 

それで、私も読んでいて、時々混乱するのです。「歴史に干渉」とか、「書き換え」とかの言葉が出てくるのですが、彼らが、トリップしているのは、あくまでも、あくまでも、仮想現実の世界であって、現実の世界ではありません。

 

仮想現実の世界での、干渉・書き換え実験であり、そこから導き出される答えを検証し、そこから、現実を、未来を、変える為の策を見出す。そう云う事なのでした。

 

それで、今回は、これでお終いなのですが、一応、わたし、もう、最終章まで読み終えています。

 

これから最終章までの展開は、かなり、かなり、ハチャメチャな展開となり、小説として、書き始めてみたものの、テーマが大きすぎて、終わらせ方にかなり悩んで書き上げたようにも、思えます。

 

因みに、この作品の初出は、雑誌「新潮」の2024年6月号、7月号、9月号、そして1年あいだが空いて、最後が2025年9月号となっています。

 

1年間の空白は悩んだ空白? それとも、他の仕事が忙しくての空白?  まあ、この業界の事情も、著者の事情も分かりませんが・・・一年間の空白には、それなりの事情があったような? なかったような?

 

因みに、島田雅彦の小説は、これまで、1冊も読んだことはありません。この作品を知ったのは、島田雅彦と政治学者の白井聡がホストのYouTubeチャンネル、「エアーレボリューション」での照会でした。

 

このところ、いろいろなYouTubeチャンネルで紹介される本を、Amazonでポチットしてしまい、手元には4・5冊積読状態です。

 

 話が逸れました。

 

本日の、インプット・アウトプットは、これにてお終い。

 

それでは、また。

 

 

本日も、引き続きまして『 I f の 総 て 』のお話です。

 

第12章・第13章のお話になります。

 

前回は第12章「神国が属国に?」の途中でした、いよいよ、連合艦隊司令長官の山本五十六との対決場面となります。場所は四谷の妾宅。この当時は、それなりに地位で、財力がある男は、フツウに堂々と妾の一人や二人、囲っていたのです。

 

今回トリップした人物は、主人公の若い女性アシスタント "芥川穂花" 身長175㎝で、テコンドーの使い手。そして、彼女は、売国奴の所業を暴こうとして東京湾に死体が浮かんだ新聞記者の娘。彼女にとっては復讐戦。


トリップしたのは、1941年11月25日、日本海軍空母機動部隊が真珠湾に向けて出港する前夜。

 

穂) 真珠湾を攻撃すると、後々日本はアメリカの属国になってしまうということを未    来から伝えにまいりました。

 

山) 戯言に付き合っている暇はない。

 

穂) 12月8日に戦闘開始ですよね。

 

山) 止めても無駄だ。戦争ありきで事が進んでしまったからだ・・・戦争がどういう       結果になるかを知っていたとしても・・・すでに大本営政府連絡会議においても

   帝国国策遂行要領が決議され、御前会議で決定済みだ・・・・空母機動部隊は択

     捉島の単冠湾に集結し、明日午前には出港する。

 

ホント、またしても遅いのです。いつも、いつも、遅いのです。では、いつだったら遅くないのか? のその疑問、とても、とても、難しく正解は無いと考えます。

 

多数の組織・機関、多数の人間が関り、決定がなされ、実行され、結果が生じ、その結果により、新たな決定がなされ、実行され、結果が生じる・・・この無限の繰り返しが歴史。一局面、一個人への働きかけでは歴史は変わらないのです。

 

まあ、それでも、広く知られているように、山本五十六は、それなりに説得可能に見えた人物でした。過去に何度も軍部の決定に反対・・・日独伊三国同盟の締結にも反対・・・武官としてアメリカに何度も駐在、ハーバード大学にも学び・・・アメリカの歴史、地理、エネルギー・自動車や航空産業など、多方面の情報を集めていた。

 

日本とアメリカの国力の差を充分認識し、対米戦争に勝ち目は無いと分かっていても、開戦派に抗し切れなかったのです。

 

 

いつの時代も、データに基ずく冷静な判断が、勇ましい、精神論に、根性論に、強硬論に、押し切られるのです。

 

事実に基ずく冷静な判断を、静かに理性に語り掛けるよりも、残念ながら、自己に都合の良い思い込みを、勇ましく、短く、解り易く、感情に訴える言葉で、大声で繰り返し叫ぶ、これが、人の心を動かすのです。嘘も百回言えば真実になる。これは、真実です。

 

開国で、文明開化で、近代化で、日清・日露で勝利し、神の国で、世界の一等国で、挙国一致で、アジアのリーダーで、イケイケドンドンで、鬼畜米英で、対米戦争で、原爆に竹やりで挑んで、無条件降伏で、対米従属の日本。

 

穂花による、山本五十六への説得は、当然のごとく失敗に終わります。

 

 

第13章 「歴史は頑固親父か?」です。

冒頭、・・・どんな戦争にもいえることだが、始めるのは容易く、うまく終えられた人は皆無といっていい。出口を見失った戦争は悲惨な結果にしかならないという教訓が生かされた例はほとんどない。その愚かさ、決断の鈍さは古代人も現代人も差はない・・・。

 

ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエル・アメリカによるイランへの宣戦布告無き戦争突入も、まさに、まさに、出口を見失っています。

 

プーチンも、トランプも、短期戦を想定して戦争を始めました。ただし、イスラエル首相のネタニヤフだけは、当初より望みは長期戦だった考えます。

 

イランと長期戦に持ち込み、いつまでも、いつまでも、ダラダラとダラダラと戦う長期戦に引き込み、イランの国内政治・経済体制を弱体化し、イスラエルへの、攻撃力を、攻撃の意思を、削ぐ作戦。

 

それに加えて、いつまでも、いつまでも続く戦時体制は、ネタニヤフの政治的地位を延命させ、汚職疑惑の訴追から逃げ回ることを目的としている、と考えます。

 

プーチンもトランプも、情勢判断を見誤ったのです。どちらも裸の王様。家来たちは王様の喜ぶ情報しか上げてこないのです。

 

でも、しかし、トランプですが、自由とか、民主主義とか、世界のリーダーとか、そんなお題目とは関係なく、戦争も自分の周囲の金儲けを一番の優先順位として、政策決定をしている節が見受けられるのです。

 

イラン戦争の当初より、トランプの発言は、攻撃だァ! いや休戦だァ! と、日々、ブレまくっているのです。これは、トランプが無能なのではなく、シタタカな計算だと思います。

 

それは、トランプの発言により、株価が、原油価格が、債権が、金融市場が、激しく乱高下するのを狙っての策略。

 

4月から5月にかけて、海外及び国内の主要メディア、BBCも日経も、大統領のインサイダー取引疑惑を報じました。

 

トランプの発言の十数分前に、一部に発言を予測していたかのような取引が、市場でみられていたとの報道。これは、最高権力者がらみのインサイダー取引。報道ではこの間、数千億円の利益をトランプの周辺が手にした疑惑。

 

政治は "ディール" で、すべては、商売で、金儲けで、戦争で多数の命が犠牲になろうとも、世界がどうなろうとも、自分の金儲けがすべてに優先、トランプとはそんなオッサンなのです。

 

まあ、戦争は莫大な軍備と資金を必要とし、莫大な金が動く、金が動くと、そこに利益が生まれ、それを手にする組織個人を生み出す。本書でも触れていますが、いつの世でも、戦争の影に金融資本の存在と策略が存在するのです。

 

いつの頃からか、原因と結果が逆転し始めるのでした。

 

戦争が起これば金が儲かる、から、金が儲かるから戦争を起こす。こういう奴らが、蠢く世界になった今日この頃。

 

しかし、トランプような、大統領として、ここまで露骨に、戦争を利用して金儲けをする人物は過去に存在しません。ホント、とんでもない、けた外れの、大悪党のオッサンなのです。

 

何か、興奮して、言葉が走り過ぎました。ここは、アメリカ国民の、理性と、良心と、政治意識とを信じたいと思います。

 

本題から逸れましたが、本日の、インプット・アウトプットはここでお終い。

 

それでは、また。

 

 

 

 

 

 

本日も前回にひき続き『 I f の 総 て 』のお話です。

 

その前に、ここで、遅ればせながら、主要登場人物の説明です。Ifを可能にするメタ現実システムの、ハード担当 が天才エンジニア  "霧生善郎"、ソフト担当が歴史家 "花村薫" 、そして花村のアルバイトアシスタントの "芥川穂花" となっています。

 

それでは今回、第11章「歴史家は未来を変える夢を見る」、第12章「神国が属国に」のお話です。先ずは、とても、とても気になった記述。

 

 

・・・レボリューショナリ志望の"穂花"だが、その心意気を二十年後、三十年後も保てるか、それが問題だった。もっとも、自民党の二世、三世議員や資本家の子女たちが悪しき前例を踏襲する一方で、市井の親子の間でも革命の意思は遺伝する。「こんな国はいやだ」と云う人の数は思いのほか多く、その全員を投票行動に繋げたら、政権をひっくり返すことは統計的に充分可能・・・

 

と、十一章の最後を上記の "地の文" で締めくくるのです。

 

えっ! どういう事! 「二世、三世議員や資本家の子女たちが悪しき前例を踏襲する」のは、職業であり家業だからです。「家業・職業」と「革命の思想」を同列に論じるのはいささか暴論です。

 

そして、また、「革命の意思は遺伝する」ですが、そういう事例は、市井には見当たらないと考えます。職業・家業として「革命家・政治家」の家系では、それなりに当て嵌まる、の、かも、です。

 

でも、しかし、確かに「現状に対する不満」の数は思いのほか多く、存在すると思います。

 

先日、テレビで、最近増えている、「こんな国いやだ」との思いで日本を脱出し、海外で働く若者を採り上げていました。原因は円安で、海外で働いたほうが稼げるからです。

 

そんな中で、驚いたのは、海外で身体を売って稼ぐ若い女性が現れている事です。オーストラリアのある州は、売春が合法化されているようです。新たなる「からゆきさん」の時代?

 

そして、「その全員を投票行動に繋げたら、政権をひっくり返すことは統計的に充分可能」は、思い通りにならない現状に、思わずポロリとこぼれた作者の淡い願望な のでしょう。 まあ、それなりに理解できます。

 

はい、次は 第十二章「神国が属国に?」です。

 

今回トリップした人物は、主人公の若い女性アシスタント "芥川穂花" 身長175㎝で、テコンドーの使い手。そして、彼女は、売国奴の所業を暴こうとして東京湾に死体が浮かんだ新聞記者の娘。彼女にとっては復讐戦。
 

今回、トリップしたのは、1941年11月25日、日本海軍空母機動部隊が真珠湾に向けて出港する前夜の東京。

 

またしても、です。遅い! いつものお約束? 出港前夜です。これは、いくら何でも、歴史を変えるのは無理筋。

 

世の中は、歴史は、政治が、経済が、外交が、軍事が、思想が、宗教が、民族が、思惑が、打算が、計略が、謀略が、複雑に絡み合い動いているのです。たった一人の個人を説得したところで、とても、とても、歴史は変わらないのです。

 

いつも、いつも、トリップする時点が遅いのは、最終盤での意外な展開への布石?

それとも、フィクションで、ノンフィクションを描くことの困難さから?

 

まあ、安易に歴史を変えてしまったら、安っぽい、子供だましのSF小説です。もしも、もしも、フィクションで歴史を変えて、それが現実を、未来を変える、そんな "真夏の夜の夢" のような 展開が、この先に待っている? 期待してます島田さん。

 

はい、現実に? 本文に戻ります。1941年11月25日の東京は新聞記者の自宅。

 

段取りを付けたのが海軍担当の新聞記者。それが、何と、何と、芥川穂花の母方の曽祖父なのでした。殺された穂花の父も新聞記者、新聞記者の血筋・家系なのです。

 

記者と穂花のやり取り。

 

記) どんな目的で、この時代に来たのか、聞いておきたい。

 

穂) アメリカとの戦争を回避したら、歴史はどう変わるかを知りたいのです。

 

記) アメリカとの戦争だけは避けたいと考える人はこの時代にも少なからずいる。政    府ないにも、巷にもいるし、私もそのひとりだ。

 

穂) もう少し前の時代にくるべきでしたよね?

 

記) どうですかね。日清、日露戦争以来、この国はずっと大陸で戦争しているし、南      方でも戦線を拡大している。アメリカとの戦争を避けるには、これまで日本が挙げ

   てきた戦果を擲たなければならない。満州を諦め、台湾、朝鮮を開放し・・・

 

そう云う事なのです。繰り返しにになりますが、歴史は連続しているのです、一局面で切り取ることは不可能。そして、そして、多数の組織、多数の人間、多数の思いが、絡まり合い、ぶつかり合い、歴史は動いているのです。

 

ある局面で、ある一個人への働きかけで、歴史は変わらないです。

 

でも、しかし、まあ、" それを言っちゃあ、おしめぇよッ! " です。それでは、この小説『 I f の 総 て 』は意味をなさなくなります。島田雅彦は、そんなことは " 百も承知、二百も合点 " でしょう。

 

" 百も承知、二百も合点 " の先に、どんな答えが、どんな仕掛けが、待っているのか期待したいと思います。

 

はい、これで、本日のインプット・アウトプットを終わります。

 

それでは、また。

 

※蛇足ですが、「それを言っちゃ~・百も承知~」は、寅さんの名セリフです。念の   ため。

 

 

 

 

      

はい、本日も『 I f の 総 て 』のお話です。

 

前回、第七章 『売国の使徒たち』の途中で終わっていました。今回はその後半と、第八章『我々は民主主義者だ』と、九章『国境を越える門閥』十章『神の本当の残酷さを思い知れ』のお話。

 

トリップしたのは、昭和32年(1957年)。

 

55年11月2日には、社会大衆党を中心として無産政党、労働運動組織、社会運動活動家らが結集して社会党を結成。

 

11月15日には、保守の自由党と民主党が合同して、自由民主党を結成。いわゆる、世にいう、55年体制が成立した年です。

 

ここで、ちょっとだけ、歴史のお勉強です。

 

1945年  8月15日   連合軍に無条件降伏

 

1946年  5月22日  ~  1947年  5月24日    自由党吉田政権

 

1947年  5月  3日       新憲法の施行  

 

1947年  5月24日  ~  1948年  3月10日    社会・民主・国協連立  片山政権

1948年  3月10日  ~  1948年10月15日      社会・民主・国協連立  芦田政権

 

1948年10月15日  ~  1949年  2月16日        自由党 吉田政権

1949年  2月16日  ~  1952年10月30日    民主・自由連立  吉田政権

 

     ※1950年  6月25日 朝鮮戦争勃発。アメリカの敵は軍国主義から、共産主            義に変わる。    

 

  ※1951年  9月  8日   平和条約・日米安保条約締結

  

 

  ※1952年  4月28日 条約発効 主権回復 

 

  ※1953年  7月27日 朝鮮戦争の休戦協定締結   

   

1952年10月30日  ~ 1954年12月10日  自由党単独 吉田政権

1954年12月10日  ~ 1955年  3月19日      民主党単独 鳩山政権

 
  ※1955年11月15日 自由党と民主党が合同し自由民主党を結成
 
1955年  3月19日  ~ 1956年12月23日    自由民主党 鳩山政権 
 
1956年12月23日  ~ 1957年  2月25日    自由民主党 石橋政権
 
1957年2月25日    ~ 1960年  7月19日      自由民主党  岸 政権

 

  ※日米安保条約の改定承認。アメリカの世界戦略に基ずく、日本の、半永続的、半    従属的な体制が完成。政治的混乱の責任をとり岸辞任。 

 

1960年 7月19日   ~ 1964年11月 9日  自由民主党 池田政権

 

時代は、政治の季節に終わりを告げ、池田政権誕生で、時代は経済の季節へ、そして、日本国民は、アメリカの従属下、金儲けに我を忘れ邁進、高度経済成長の時代へ突入します。

 

ちょっぴり長いお勉強でした。本題に戻ります。

 

それにしても、何故に、どうして、著者は、戦後政治体制が成立した後にトリップしたのか? 

 

著者は、前段で・・・未来の人類である私たちが過去の決定に対して、「もしもあの時にこうしていれば」と異議申し立てするなり、別の可能性を示したりするのは当然の権利である・・・。と、述べていたのです。

 

「別の可能性を示したりするのは当然の権利」ではあるが、もしも、「もしも」が実行可能な時点にトリップして、「もしも」を、実行したとしても、結果に大きな変化は期待できないと判断し、それゆえに、もしもがを実行できない時点に、トリップさせたのでしょう。

 

でも、しかし、それでも、「もしも」を追求し続けるのです。追及する義務がある、権利がある、欲求がある。

 

著者は、岸信介を売国奴として徹底的に断罪しています。戦前はアメリカに敵対する国粋主義者が、絞首台行きを免れ、資金援助を受け、新たな主人のお望み通りに変節する。その代表的な人物が、釈放後わずか8年と数か月で首相になった売国奴岸信介。

 

やはり、「人間、命があってなんぼ」ですから、主義主張は、それなりに脇に置いて命を助けてくれたお方に服従するのです、逆らえないのです。敗戦国の首相は、戦勝国に逆らえません。

 

・・・彼は金で買われた首相だ、日本の政党も官僚もメディアも企業もほとんどがCIAに買収され、アメリカの国益に奉仕するように仕向けられている。CIAは日本やナチの戦争犯罪人を支援し、共産主義と戦わせようとしている・・・。

 

岸と対峙し花村(著者の分身)は厳しく問います。

 

花) あなたは、誤った方向に舵を切ろうとしているので、止めに来ました・・・この先、地獄の門が開くことを伝えに来ました。引き返すなら、今しかありません。

 

岸) 何処に引き返すというんだのだ? もう戦争は懲り懲りだろう。戦前に戻りたがるバカはもういまい。ほかに選択肢はない。日本が共産化すれば、アジアに飛び火するリスクは高まる。ダレス国務長官もニクソン副大統領もアイゼンハワー大統領も、みんなそう考えている。そこに便乗し、付け入らない奴は政治家とはいえない。

 

まあ、それなりのリアリズムかな?

 

花) そのように開き直るしかないでしょうね。あなたは元々戦争犯罪人でしたが、戦後はアメリカに日本を売った占領犯罪人でもあるのです。

 

岸) 朝鮮戦争が始まり、日本の戦争戦略に狂いが生じ、戦争放棄と国際協調の理想は消え、軍国主義の駆逐から、共産主義の駆逐に変化、そのために日本を従属国に仕立てる必要が生じた。

 

花) 嬉々として、アメリカの占領政策に協力するヘタレしかいないから、そうなるんじゃないですか。こんな日本みたいな国は世界中何処を探してもない。

 

岸) 日本には古事記の時代からヘタレしかいない。日本ほど英雄と縁の薄い国はない。

 

これは、面白いやりとり、岸の口からこんなことを云わせる作者の意図は、それなりに、日本英雄不在説に同意している?

 

私的には、「日本英雄不在説」を肯定的に捉えています。英雄を必要としている国は、英雄が出現した国は、それなりの危機に直面し、それなりに不幸だと考えます。日本は英雄を必要としなかったのは、外部からの攻撃を受け難い島国だったことに、起因していると考えます。

 

そんな島国日本が、海を越えて、日露戦争、日清戦争で勝利し、世界の一等国で、欧米の帝国主義国家の仲間入りで、イケイケドンドンで、国力のかけ離れた米国に戦い挑む。

 

日米戦争で、初めて本土を攻撃され、敗北し、無条件降伏し、軍事占領され、主権を奪われ、自信喪失で、呆然自失で、アメリカに従属して活路を見出す展開は、まあ、それなりのリアリズムかと。

 

でも、もうそろそろ、従属的関係は見直しする時期かと、現在、アメリカ自身が、勢力範囲を南北アメリカに限定すると宣言しています。

 

日本は、米国との、政治、経済、軍事、外交等々、関係の見直しが迫られている今日この頃です。 そんな複雑怪奇なご時世に、ヘタレ高市早苗内閣では話になりません。

 

でも、しかし、残念なことに、だからと云って日本の舵取りを任せられるリーダーが見当たりません。

 

日本の存立的、歴史的危機です。「日本英雄不在説」は、終わりを告げる時代に足を踏み入れたのです。危機の時代には英雄が現れるか?

 

危機と認識する国民が、過半数を越えなければ、英雄の出現には至らない?

 

英雄ヅラしたトンデモな奴が、出現する可能性の方が高い、そんな気がする今日この頃。
 

はい、本日の認知機能対策の、インプット・アウトプットを終わります。

 

それでは、また。

 

※注記・・・本書に登場する人物は実名ではなく仮名となっています。解りにくいの        で実名で表記しました。一応、本書『 I f の 総 て 』に倣って。

 

『本文はフィクションです。登場する人物は、名前が似ていますが、全員架空の人物です』  以上。

 

 

はい、本日は前回の続きとなります。

 

島田雅彦の『 I f の 総て 』です。

 

第6章 「死ぬことすらできないのは誰のせい ?」です。以下をカオスジェネレーターに問います。

 

・・・なぜこれほど貧富の差が拡大したのか、なぜ日本企業の国際競争力が下がったのか、現状のシステムで誰が最も得をし、誰が最も損をしているのか・・・

 

そして、出た答えが、

 

竹永閉蔵 (竹中平蔵)、濃墨准一郎(小泉純一郎)、毛利与四郎(森喜朗)、の3名こそが、元凶と回答。※()内は私の想像です。

 

 

彼らの悪事を暴こうとして不審死した、証言者2名を召喚。一名が当時、民主党衆議院議員の石狩剛毅(石井紘基)、もう一名が、芥川祐と云う新聞記者。

 

"石井紘基衆議院議員刺殺事件" は衝撃的でしたので、ハッキリ記憶しています。事件は、2002年10月25日に起きました。今から、24年前の出来事です。24年前と云えば、私は52歳ですが、事件は、何故か、もっと、もっと、遠い昔に起きたような感覚があります。

 

石狩剛毅の証言として、

 

・・・一般会計の四倍にも相当する巨額の使途不明金がアメリカに流出、政府の国策企業の「整理回収機構」の不正・・・

 

・・・バブルの崩壊後、次から次へと金融不正疑惑が発覚・・・それをすっぱ抜こうとしていた、記者や監査役の不審死を遂げたり、冤罪に巻き込まれたり・・・

 

・・・そこに介入してきたのがアメリカの仕手筋、ある銀行を破綻寸前まで追い込み、株価を暴落させ、底値の株を大量に購入。その後に、当の銀行に公的資金を投入させ、金融不安を払拭し、株価の暴騰で大儲け・・・

 

・・・標的になったのが「らぞな銀行(りそな銀行)」、らぞな銀行と日本政府との仲介をしたのが、濃墨内閣の金融大臣に取り立てられた竹永閉蔵。私は、こいつの暗躍をすっぱ抜こうとしていた。

 

・・・竹永は金融大臣の地位を利用し、大銀行の破綻もあり得ると発言し、株を大暴落させ、しかる後にらぞな銀行へ公的資金投入を発表し、株価は急騰・・・

 

・・・竹永をのさばらせた為に、格差は拡大し、福祉は後退し、アメリカへの隷属も極まった。郵政民営化でも暗躍し郵便預金、農協貯金、年金の金をウォール街の国際金融資本に献上。その額は合計で一千百八十兆円・・・。

 

・・・さらに、竹永は外国資本のエージェントとして、日本企業の叩き売りに積極的関り・・・労働者派遣法の改正でも暗躍し、企業が派遣労働者を搾取し易くする環境を整えた。それにより労働者の非正規化が進み、ワーキングプアを生み出し、格差が拡大・・・。

 

・・・あいつが生きている限り、また、誰かがあいつを追放しない限り、この搾取の構造は踏襲されてゆく。これまでも奴の罪状を告発しょうとした者はいたが次々と消されていった。あいつのバックには金融業者のみならず、業者と癒着したCIA幹部もついていて、邪魔者を消すくらいの工作は随時依頼できるだろう。私を殺したのは下請けの末端・・・。

 

そして、邪魔者として消されたのが、東京湾で死体が上がった新聞記者の芥川祐です。この方が、実在の誰なのか? 調べてみたら、それらしき方が見つかりました。

 

朝日新聞の論説委員の鈴木啓一氏です。2006年12月17日に東京湾で浮かんでいるところを発見され、自殺として処理されたようです。 

 

彼は、リクルート事件のスクープとか、公的資金投入後、りそな銀行の自民党への融資残高が、10倍以上に膨れ上がったことを追求。

 

でも、しかし、これって、実際に起きた事件であり、政治家・企業の名前は変えているが、実在の人物・政治家・銀行名が、特定可能な表現になっているので、著者の島田雅彦も邪魔者として、消される可能性が無きにしも有らず?

 

まあ、消されないための? ささやかな保険? として、本文最後に、

 

『 本 作 は フィクションです。登 場 人 物 は 全 員 架 空 の 人 物 で す 』

 

との、一文を入れたのでしょう。でも、起きた事件は歴史上の事実で、登場人物も特定可能ですから、本書の読者は、

 

『 本 作 は ノンフィクション です。 登 場 人 物 は 実 在 の 人 物 です 』

 

として、理解する筈です。そしてまた著者も、ノンフィクションとして書き上げたのだと思います。

 

第七章 「売国の使徒たち」です。

そう云えば、これまで物語の主人公に触れていませんでした。主人公は花村薫(38才)で、タイムトラベルを生業としいる男です。

 

今回、"自主独立党" の党首 "白鳥宗近" に「日本の真の独立を実現する可能性が過去にあったか、そして、今後その可能性があるのか、教示してもらいたい」との依頼を花村は受けるのです。

 

この自主独立党ですが、5年前の衆議院選挙の直前に発足した新しい政党で、党首の白鳥宗近は、

 

・・・政治家の街頭演説は美辞麗句を並べただけの中身はスカスカのお題目に過ぎず、誰もまともに聞こうとしないと云われるが、「白鳥の演説は別だ」と聴衆に思わしめるのは、それ自体が漫談やダンスのようなエンターテインメントになっていたからだ・・・

 

と、花村に云わせています。

 

と、まあ、こう云う政党、こう云う党首ですが、当然、これはフィクションです。前段で、本作はノンフィクションと云ったすぐ後ですが、真実を語るには、フィクションも必要かと。

 

フィクションと云いつつ、その実、ノンフィクションで、そのなかにフィクションも織り込んだり。まあ、いろいろ、あるのです。

 

5年前の衆議院選挙とは、実際にあった "2021年衆議院選挙" だと思います。この時、自民党菅政権は支持率低迷で、岸田文雄にバトンタッチで即解散。

 

忘れてしまった遠い過去ですが、選挙結果は、

 

         自  民 276 → 261  -15 議席

         立  憲 110 →   96  -14 議席

         維  新   11   →     41  +30 議席

         公  明     29   →   32        +3 議席

             国  民       8   →     11        +3 議席

                   共  産     12   →     10        -2 議席

            れいわ       1   →       3      +2 議席

                          社   民     1   →     1        ±0 議席

 

自民、立憲のマイナス分を維新が頂戴した形です。現行の憲法下、初めて行われた任期満了後の総選挙だったそうです。

 

内閣総理大臣の岸田文雄は、未来選択解散、未来選択選挙とか、銘打って挑んだ選挙だったそうです。まったく記憶にありません。まあ、菅政権も、岸田政権も、なにを政策課題としたのか、まったく記憶にありません。

 

菅で負け、岸田で負け、石破で負け、そして、最後の手段で、窮地には女性の首班との呪文に従い、中身は問わず、兎に角、女性で、高市で、有権者は、国民は、素直に騙され、高市自民は大勝利。自民党、さすがに、国民を熟知しています。

 

そして、いまや、中身が問われて、高市人気は風前の灯。でも、しかし、任期は4年ですから、なんだ、かんだで、ウヤムヤで、乗り切る算段。成功しそうです。

 

話が逸れました。

 

兎に角、これから、白鳥宗近に「日本の真の独立を実現する可能性が過去にあったか、そして、今後その可能性があるのか、教示してもらいたい」との依頼が、どう展開されて行くのか?

 

次回は第八章 「我々は民主主義だ」のお話。どう展開するのかは、未だ読んでいませんので、どうなることやらです。

 

それで、話は戻りますが、架空の自主独立党、そして、党首の白鳥宗近でが、花村の言葉として、

 

・・・政治家の街頭演説は美辞麗句を並べただけの中身はスカスカのお題目に過ぎず、誰もまともに聞こうとしないと云われるが、「白鳥の演説は別だ」と聴衆に思わしめるのは、それ自体が漫談やダンスのようなエンターテインメントになっていたからだ・・・

 

との記述ですが、この「白鳥の演説」は、れいわの「山本太郎の演説」に似て居るのです。

 

著者は、それなりに、山本太郎をイメージしつつ、最近のれいわの空中分解を予見しつつ、キャラクターとして、政治的立ち位置として、架空の人物を想像したのでしょう。

 

事実として、島田雅彦は2012年の衆議院選に、2019年のれいわ祭りに、2021年の衆議院選に、2022年の参議院選に、れいわに応援メッセージを送っています。

 

読んだことはないのですが、2022年発表の小説『パンとサーカス』は、自身でハッキリ、山本太郎をモデルにしている、と云っています。

 

しかし、山本太郎ですが、疲れたと云うか、組織運営に、路線対立に、嫌気がさしたと云うか、自身の限界を感じたと云うか、まあ、もう、それなりにやり遂げたと云うか、バトンタッチの時期を察したと云うか、兎に角、ご苦労さんでした。

 

あなたは、もう、それなりに役割を終えました。

 

お身体を大切に、元気に、ノンビリ、お休みください。

 

はい、これで、本日の認知機能対策、インプット・アウトプットを終わります。

 

それでは、また。