11月にもなると太陽が傾くのも早いもので
午後4時を過ぎると西の空がほんのり赤みが差してくる。
そんな中、何を思ったか家の裏を覗いて見る。
ここは隣の家が我が家との境界線に色々な植物を植えているので
ジャングルの如くうっそうとしている。
何気に上を見てみると木の枝に柑橘系の果実がたわわに実っていた。
まだ青々しているのでわからないがたぶん「ゆず」であろう。

あまりの重さに枝が折れんばかりにしなっている。
しかも境界線を越え、我が家の外壁ギリギリで実っているではないか。

「すすむくーん。その時が来たら私達を収穫してね!」
とゆずたちの叫びが聞こえてきそうだが本来うちのゆずではない。
ここでゆずたちの誘惑に負けて
「待ってろよ今行くよ~~!使い方わかんないけど」
などと調子にのって収穫したら最後、窃盗罪でお縄ちょうだいになる事であろう…
翌日の朝刊の見出しが目に浮かぶ。
『妄想好きの男、隣人宅のゆず盗みタイホされる!!』
本人談…「ゆずが話しかけてきたんで収穫しました」
連行される先が警察署ではなく病院に連れて行かれる事であろう。
たかがゆずごときでここまで妄想を膨らます人間もいないだろう…
ゆずの葉の間から射す小さな木漏れ日が暖かく感じだした裏庭の秋の午後であった。