
静粛な中にも鳥たちのさえずりが聞こえるすがすがしい雰囲気の中、
軽トラと供に手に手にほうきやスコップを持った集団が現れた。
おそらく一個小隊はいるであろうナゾの集団…
皆さん、真剣な表情でこちらに向かって来る。
「ナンダ、ナンダ?あのほうきで叩かれるのか?」
幼少の頃、近所にほうきですぐ叩くおじさんがいたので
いい歳こいた現在でもその時のトラウマかほうきを持っている集団を見ると
本能的に後ずさりしてしまう。
だがすぐにそのナゾは消え去った。
部隊は松の木の下に来るとせっせと落ち葉を集めだした。
皆さん一言も発する事も無く一心不乱に作業を続ける。
いつしか森の中は鳥たちのさえずりの変わりにほうきを掃く音だけが響いていた。
松の落ち葉ばかりを拾っているので他の木への堆肥にするのだろうか…?
こういう方達の地道な努力があってこそ小鳥も喜ぶ綺麗な森が保たれるのだろう。
感謝の敬意を込めて一枚シャッターを切るのだが部隊は直後に小休止の時間となった。
おばさん二人が頭巾をはずしながらこちらにやってくる。
また元の静寂が漂う森となったので遠くからでも二人の会話は聞こえてくる。
「○○さんはもちっとね~しっかりしないとね~」
「そうそう、下の者がたまらんわ」
どうやら上官の事であろうかしきりにボヤいている。
こんな十人ほどの小さな小隊だがいろいろと複雑な人間模様があるんだろう…
すれ違いざまに「お疲れ様です」と声をかけると
二人ともニッコリしながら「こんにちは~」と爽やかに返してきた。
これも『フラボノイド効果』か?
「森を守る特殊部隊」の一員としていつまでも根に持たないのが部隊訓なのであろうか?
再び森の中はほうきを掃く音だけが響き渡るのであったが、陰ながらも「嫌な事があっても頑張ってください…」と二人の背中を見つめながら心でつぶやく「小市民すすむ」であった。