


車を走らせていると稲刈りが終わった田んぼの間に白い花の絨毯を見つけた。
よく見ると蕎麦の花が見事に咲き誇っている。
「もうそんな季節か…」
カメラを持っていたのでパシャパシャやっていると後ろからおじさんの声がする。
「ここの蕎麦は小学生たちが種を蒔いたからねー。ムラがたくさんあるやろ?」
どうやら畑の地主さんらしい。
おじさんは逆に咲きかたにムラがあるのを自慢のようにニコニコと話した。
話を聞くと近くの小学生たちが授業の一環として蕎麦の種を蒔いたそうだ。
たしかによく見ると所々ムラはあるがかわいい蕎麦の花が一面咲き乱れている。
小さな手で蒔かれたここの蕎麦はさぞかしおいしいのであろう…
そのまま土まみれになりながらディーラーに行くのだが着くといきなり担当者から
「久しぶりにバカを付けている人を見ましたわー!ハハハ…」
なっ、何を~!!確かに俺はおかしいとよく言われるがお客さんに向かって
そんなダイレクトに言わなくても…
担当者が爆笑しながら俺の背中から何かを取った。
「どこに行って来たんですか?たくさん付いてますよ。」
手のひらに転がっている『バカ』とは『オナモミの実』の事であった。
たぶん、さっき蕎麦の花を撮っている時に付いてきたんだろう。
子供の頃、よく人や犬などに投げてくっつけて遊んだ通称『ばかの実』。
昔はよくあぜ道とかに生えていたが最近は田んぼや畑も宅地化が進んだせいかあまり見かけない。
思わぬ秋の知らせに喜ぶ担当者。
「バカ」と言われたのに照れくさい気分になった初めて体験する瞬間であった。