
『意味不明の間違い電話』でぐったりしていると
「こんにちは~~」
家のチャイムも鳴らさずに元気のいい声が響いてきた。
「は~~い」
新婚の新妻みたいに爽やかな返事をしながら玄関に行ってみると
妙に顔だけがてかてかしている中年の男性が立っていた。
「こんにちは。私、○売新聞の者ですけど現在どこの新聞をとっておられます?」
「は?なぜそんな事を聞くんですか??」
「実はですね、先月ボクの成績が悪かったんですよ。それでうちの新聞をとってもらおうとお伺いした所なんですけど…やっぱり地元紙をとってるんですか?ここで新聞をとってもらうとボクの成績になるんですけどねぇ…お願いしますよぉ」
「?????」
今時、セールスに「泣き落とし」を使うとは…
しかも「ボクの売上成績」なんて俺には関係ない。
どうして俺には変なのがくっついてくるのか?
朝から引っ切り無しに鳴いていたカラスの理由がわかった。
「あぁ、うちはいりませんから」とキッパリとお断りした。
「1ヶ月でも2ヶ月でもいいんですけど…今契約されるとこれをプレゼントしているんですが…それじゃですねここにお名前とハンコをいただけますか?」
系列球団の「バスタオル」と「マスコット人形」をチラつかせ勝手に話を進めている。
「はぁ?誰が契約すると言いました?いりませんようちは!」
朝から変な電話はかかってくるし、変なセールスは来るしいい加減ブチ切れそうだ。
「1ヶ月サービスしますんで…明日の朝からでいいですか?」
のセリフに俺の脳内で何かが切れる音がした。
「さっきから聞いていれば【ボクの成績が…】とか言ってますけど、おたくの成績と俺が何の関係があるんですか!?おたくの会社ではそういう契約の取り方してるんですか?今時ドリフでもそんなコントはやらないですよ!」
「せっかく遠くから来たんですけどね~」
『ブッチ!!』
「ははははははは!!!」
人間、怒りのレベルがある時点を越えると不思議と笑いが出てくる。
「いらないって言ってるだろ!じゃあ…」バタン!!
玄関のドアを閉めた途端、ドッと疲れが出てきた。
まだ一日の半分も過ぎていないのにすでに俺の中では今日という一日が終わっていた。
もう出ないと心に決めて部屋の奥に戻っていくのだが
およそ一時間後…
「こんにちは~信州の味噌屋で~す。味噌の販売にまいりましたぁ~!」
これは何かの「タタリ」か「まぼろし」か??
もう返事をする気力も無いと思いきやテレビで『よしもと新喜劇』見ながら大爆笑する笑い声が返事のかわりに家の外まで響き渡るのであった。