友人に誘われて、カンボジアに行って来た。
正直今までカンボジアにあんまり興味はなかったんだけど、行ってみると色々と思うところがあったよ。

アンコールワットとかオールドマーケットとかの観光地を回って、食事もツアーに含まれている食事だから、外国人向けのお店。
だから、全体的にカンボジアの物価とか相場っていうのがよく分からなかった。

ガイドさんは、カンボジアの月収は100ドルくらいだと言っていた。
カンボジアで見た日本語の雑誌には、「最低賃金170ドルを目指して」という記事が載っていた。
日本の月収の20分の1くらいなのかな。

でも、ツアーで組み込まれているレストランのメニューを見ると、ドリンク代はジュースで2ドルくらい。
日本の感覚で見ているから、「200円くらいなら、良心的な値段だな」と思うんだけど、カンボジアの月収から考えたら相当高い。
絶対に現地の人は来ないような、高級店なんだなと思う。
お土産物屋さんもツアーで組み込まれているけど、これまたお菓子20個入り10ドルとか、リップクリームが5ドルとか。
日本と大して変わらないような価格設定だなと思うから、皆なんとも思わず買っていたけど。
オールドマーケットも値段交渉をして負けて貰って買うんだけど、「まあそれでも高いんだろうな」って思った。
お店の人は百戦錬磨の強者だから、我々観光客がちょっとやそっと値引きしてもらったところで、損をするようなやわな商売はしていないのだ。
それでも、日本で買うよりは安く買えるからいいんだけどね。

街中はそうでもないけど、少し郊外に出ると、道路も舗装されていないし、非常に簡素な造りの家や店が多くなる。
観光地では、小学校低学年くらいの小さな子供が「絵はがき、5枚で1ドル。安いよ」と日本語で物を売りに来る。

1箱10ドルのお土産を買いながら、ふと思う。
「カンボジアの人たちは、自分たちの月収の何割かの買い物を簡単にしていく私たちをどう思っているんだろう」
ただの自意識過剰だ。
現地の人たちからしたら、ぽんぽんとお金を落としていって貰った方がいいのだろうから。
でも、なんだか心が咎めた。

彼らと私の違いは、と言えば、ただ単に私は日本で生まれたというだけなのだ。
私だって日本では裕福ではないし、所得は少ない方だ。
でも、贅沢をしなければこうして海外にも行けるし、日々の食べ物にも困らないし、好きなものをそこそこ買うこともできる。
それは世界の中では恵まれている方なんだとつくづく思った。

私はのうのうと、自己啓発に励むこともなく日々を過ごしてしまっている。
もし、カンボジアで豊かになりたいと願うなら、商売の才覚か、もしくは地道な勉強をして秀でたスキルを身に着けなければならないだろう。
私より優れた人はたくさんいるだろう。
ただ、私は日本人だというだけのこと。
江戸っ子は裕福な人を見ても、「あの人はよっぽど前世で功徳を積んだんだろうさ」とやり過ごしたのだという。
世の中は、決して公平ではない。

ああ、なんていうか、色々と考えさせられた。
日本に住んでいても日々の悩みも不満もあるし、カンボジアとは物価も違うし、彼らと私のどちらが幸福かなんて、一概には言えない。
あくせくと昼食もろくに食べずに12時間働いている私よりも、のんびりとハンモックで午睡を楽しむ彼らの方が幸福感は大きいかもしれないしね。

それでも、自分は恵まれてるんだなって思ったよ。
その幸運に感謝して、もっと真摯に人生を生きなければいけないね。