昨日、慶應SFCの総合型選抜の書類審査で「不合格」を頂きました。



かなり本気で取り組んできたものであったため、まさか落ちるとはおもっておらず、未だに気持ちの整理が付いていません。



今回は不合格者体験記の一部として、提出した志望理由書を以下に載せておきます。



今後受験する後輩や指導者の方々に少しでも参考になればと思います。



※ 無断転載、複製等は控えるようお願い致します。



[慶應SFC 2021夏秋AO]


私は、飯盛研究会で「バウンダリー・パースペクティブ」を学び、神成淳司研究会でICTを活用した農業データプラットフォームを活用した実践を通して、故郷の福島で「100年後も住み続けられるまちづくり」を実現するために慶應義塾大学環境情報学部を志望する。


 10年前に福島県で東日本大震災を経験し、避難先でいじめを受けた。生徒からは「フクシマって住めないよね」と、先生からは「あなた一人のために黙祷なんてやってられない」と言われた。故郷は散々貶され、そして見捨てられた。所詮、被災者以外の人は他人事としか思っていない。自分の街は自分で創り、そして誰一人見捨てないと強く誓った。


 前述した「100年後も住み続けられるまちづくり」というのは持続可能な街づくりの個人的な解釈だ。このような街を創るためには水・食・エネルギーの確保が必要であると考えた。仮に輸入という選択を取れば、環境・経済コストがかかり、社会的公平性が保てず、持続的ではない。だからこそこれら資源の確保は必要であり、確保の仕方にも見直しが必要だ。


食を担うものとして農業が挙げられる。農業も幾つかの問題を抱え「絶滅危惧産業」と危機を煽られることもある。しかし、農業が日本の歴史や文化を形成し、日本全体に大きな影響を与えてきた。農業の再生こそが地域・日本の再生に繋がると考えている。


エネルギーも資源の1つであり生活に必要不可欠だが、一般的には重要視されていない。しかし、人類とエネルギーは共に進化していて、文明が発展する際には必ずと言って良いほど、そこにはエネルギーの発展があった。住み続けられる街をつくるためにはエネルギーも必要である。


水を除いた以上2つの資源をいかにして確保できるかというところが非常に重要である。


そこで、今回私が目を付けたのが「営農型太陽光発電」である。これは、農業をしながら同じ土地の上空部分で発電事業も行い、食・エネルギー生産の両立を図るものだ。この事業は食とエネルギーの生産を兼ねているため、土地の利用効率や生産性が高くなることはもちろん、SDGsのうち複数のゴールの改善を期待出来るという便益がある。具体的には「地球温暖化対策」「原発依存からの脱却」「農家所得の向上」「荒廃農地の再生」などが挙げられる。繰り返しになるが、日本の歴史・文化を形成してきた「農業」と日本の発展・開発に寄与してきた「エネルギー」を組み合わせるということが様々な社会課題の解決に繋がるということは容易に理解が出来ると思う。実際に、私がこの事業に興味を持ち始めたのは今年の3月で、先駆者である小山田大和社長との対談、視察、インターンシップを経験した。9月以降にはみんな電力株式会社、千葉エコエネルギー、会津電力等の視察等を控えている。


このように研究論文を読むだけでなく、実際に現場を見ていく中で、この事業の普及に向けた課題というものが見えてきた。それが担い手の確保である。実際に自分の圃場で実践しようと踏み込むまでにはハードルが高いのが現状だ。その原因は幾つか考えられるが、「農業従事者の負担の大きさ」「農業の価値の低さ」などが挙げられる。それらに対する解決策として、ICTの活用による生産効率の向上と、農業の高付加価値化を実践していこうと考えた。


そこで私は、地元での生産活動が効率的かつ持続的にできる仕組みを作り出すと同時に、海外も含めた地域外の人が目を引くようなブランド化をする。具体的には、地元の歴史・文化を生かした6次産業化によるブランド化に加えて、その価値を十分に生かしたい。地域内だけで完結させて、外への発信を全くしないで内と外の繋がりが無ければ、その価値は生かされない。そのため飯盛研究会において研究及び実践が進められている「バウンダリー・パースペクティブ」を学び「つながりと境界」に対する理解を深め、地域内外でのコラボレーションを実現していく中で「100年後も住み続けられるまち」をつくる。さらに、神成淳司研究会にて農業データプラットフォームWAGRIやアグリプラットフォームコンソーシアムなどの技術を活用しながら生産率の向上を図り、新規参入や農業に対する壁をなくすための実証実験をしていく。神成教授が開発したWAGRIは日本で唯一の農業データプラットフォームであり、これを最大限に活用できるのは貴学部しかないと考えた。

また、これらは環境・社会・経済など複数の分野を横断して考える必要があり、複数の分野で先進的な研究をされている貴学は、私にとって非常に魅力的であると感じた。


以上のように、「100年後も住み続けられるまちづくり」の実現に向けて、営農型太陽光発電におけるICTの活用による生産効率の向上と、農業の高付加価値化を実践するためには貴学の環境がもっとも望ましいと考えるため、私は貴学を強く志望する。


以上