困ったことになった。
ネットというのは恐ろしいものである。
二代目のことをもっと知りたいと検索した結果、気持ちが冷めてきてしまった。
二代目の店と私の勤務先は目と鼻の先である。
入社した3年前は、昼休みにフラッと店に入ったり、通りがかりにウインドウのディスプレイを眺めては楽しんでいた。
それが2年ほど前からだろうか。
大好きだったスタッフの子が隣町の支店に異動になり、なんとなく品揃えもパッとしなくなった。
BARのマスターによると、二代目は10年以上前から仕入れを担当しているらしい。
調べていくと、3年前はお父様がまだ社長をしていた。
恐らく仕入れに関しても意見をしていたはずである。
二代目のお父様と私の母は小学校と中学校の同級生である。
今年67歳なので、きっと2年前65歳で社長の座を退いて、二代目に店を譲り渡したのだろう。
譲ったからには仕入れなどに口出しせず、二代目の好きにさせているに違いない。
二代目は、お母様が担当していた支店を閉め、本店を改装した。
私は正直、改装前の店のほうが好きだった。
改装する必要などなかったと私は思っている。
今は、やたら白くなった落ち着きのない店内に、パッとしない商品が並ぶ。
ウインドウディスプレイも目を惹かない。
来月にはメインブランドの先行予約会をするという。
そんなイベント、先代のときには一度もなかった。
イベントを打たなくても、常連さんがコンスタントに店を訪れていたからだ。
二代目は、客商売というものを知らないのだ。
商店街でお父様お母様の顧客とすれ違っても挨拶をしない、一定水準以上のお金持ちしか相手にしないと言い切る。
当然、評判は悪い。
ランチに入った店では、かつての常連さんが「潰れてしまえばいいのに」とまで言っていた。
ある経営者さんは、トシを取ってから潰れるとダメージが大きいから、若い今のうちに潰れて頭を打ったほうがいい、と言っていた。
そんなこんなで、センスの悪い品揃えが二代目セレクトであることや、評判の悪さが半端ないことで、熱が冷めてきた。
付き合うだけならいいけど、そうもいかないだろう。
小さい町だ、付き合ってるなんてあっという間に広まる。
そうなったら最後、結婚せざるをえなくなる。
それだけは御免である。
私は二代目と心中する気はない。