さっき観ていたテレビ番組に、愛新覚羅溥傑のお嬢さんが出ていた。
つまり、清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の姪である。
私が「生きて日本にいるんだ、すごい!」と感激すると、
何をどう聞き間違えたのか、母が「日本の技術は素晴らしいから元どおりになるよ」と言った。
母は難聴なので、聞き間違えはよくあるが、まともに聞き取っても的はずれな事を言うので話にならない。
ちょうどそこへ歴史好きの父が来たので、テレビに映っている婦人を示して愛新覚羅溥傑の娘だと伝えてみた。
父は俄に興味を抱いた。
そこで、うろ覚えだった知識を確認してみた。
「天城山で心中したのも溥傑の娘だったかな?」
「そうだよ、天城心中事件」
続けて言った。
「溥傑の娘さんが持ってきた犬の置物は、100年前、義和団事件のときにドイツ皇帝から貰ったものなんだって」
「ほぅ!」
「しかもね、失敗作なんだよ。失敗作を贈ったんだよ」
修復師によると、その犬の置物は、窯から出した時点で歪んで割れていたと考えられるらしい。
割れたものを石膏で修復した、今で言うところのB級品であるらしい。
持ち主と置物の状態に、歴史の背景が浮かび上がる。
感慨深げな父の表情に私は満足した。
こういうとき、いつも思う。
結婚するなら父のような人でないとダメだと。
その点において、前の旦那さんは理想的だった。
日本史の教員免許を持っているうえに日本史オタクだったので、質問すると何でも答えてくれた。
質問した以上の興味深い話もしてくれた。
残念ながら別れてしまったけれども…
また、そういう人に出逢えたらいいな。