役者になんて、なるもんじゃないと思う。
高校生のとき、先生から聞いたことがある。
先生が夏休みに映画のロケに遭遇した。
ある役者さんが下駄履きで、炎天下を50m全力疾走していた。
何度走ってもNGだった。
監督さんは理由も言わず、走り終わるとすぐ「もう一回」とだけ言った。
それを何十回と繰り返し、50回目くらいでやっとOKが出た。
先生いわく。
OKになった1本とNGになった数十本の違いがさっぱりわからない。
わからないままやり直しさせられ続けるのはキツい。
役者なんかなるもんじゃない。
俺は教師で良かった。
役者さんというのは、華やかに見える一方で、とてもツライ仕事だと思う。
監督や演出家の意図に100%応えなければならないのは勿論、真逆の季節の撮影をしたりする。
真冬に真夏の撮影をするときには、息が白くならないように氷を口に入れると聞く。
夜中2時3時まで撮影し、数時間後には次の現場に6時入りなど普通らしい。
前後の繋がりがあるので、夜中だろうと寝不足だろうと、目のクマやむくみなどあってはならない。
そして台詞を覚え、感情を込めて演技をし、指示どおりのタイミングで涙を流したりする。
それでいて、殆んどの役者さんは出演料が安い。
安い出演料から工面して、どんな役がきてもいいように習い事をする。
本当に、役者なんてなるもんじゃない。