保育士になるためには、保育実習は避けては通れない。保育士を目指す私もその1人だった。
大学や専門学校によっても違いはあるだろうが、うちの大学では母園での実習が方針だった。そのため、あの地獄のような実家に帰り、実習を行うことになった。
実家に帰ると、祖母が嫌な笑顔を向けながらこちらに近づいてきた。
「穀潰しが帰ってきたわ!」
「こんなアバズレに世話される子どもが可哀想や」
「こんなんが保育園行っても、子どもが穢れるだけや」
聞きたくもない言葉を帰宅早々聞かされる。祖母は私が俯いた姿を見て笑いながら自室へと戻っていった。
そんなことを言われたとしても、実習は始まる。そして、この実習には実習日誌という実習の記録をまとめたものを毎朝提出しなければいけない。私はヘトヘトで実家に返ってくると、早急にお風呂と夕飯を済ませ、実習日誌に取り掛かった。しかし、初めての実習ということもあり、書けども書けども終わらず、どんどん時間が過ぎていく。
すると、バンッ!とドアが開いたかと思うと深夜にも関わらず祖母が怒鳴り込んできた。
「この電気泥棒が!」
「金食い虫!!」
「お前なんて保育士になれん!」
「アバズレに保育士されるなんて、子どもが可愛そうや!実習を止めろ!」
「猿でもできることに実習なんかいらん!周りから見られたら、家の恥になるやろ!」
「このノートも字が汚い!こんな字しか書けんのか!」
「女の癖に字が汚いとか、終わっとるな!」
「はよ、大学やめろ!恥晒し!」
実習は全てで10日間。毎日毎日深夜に罵声浴びながら日誌を書き続け、実習に行き続けた。
どうにか実習を終え、他の実習も終わり私は無事、保育士資格と幼稚園教諭免許を取ることができた。
現在は保育士として働いているが、保育士が誰でもできる仕事だなんて思ったことはない。猿でもできるなんて思ったことない。
私は今、私の仕事に誇りを持って仕事をしている。