突然だが、私は4人きょうだいの長子で長女だ。
何故か、私の家では長女を軽視し、長男を優遇する傾向があった。その差が明らかに出るのは、体調を崩した時だった。

私がゴホゴホと咳き込むと祖母は目くじらを立て、「この雑菌が!」
「うちの可愛い孫たちに感染ったらどうしてくれるんな!」
「病気が感染る!!近づくな!」
このように散々喚き散らすのだ。また、症状が重くなり病院に行った暁には、「自業自得のくせに!」、「嘘つき野郎の、かまってちゃんが帰ってきたわ〜」、「またお前のせいでいらん金を使う羽目になった!貧乏になったらお前のせいや!」と枕元で怒鳴り続けられる。
一方で、弟が咳を1つすれば「可哀想に!」、「今すぐお医者さんのところに行こな!」、「すぐ病院に連れて行ってあげるけんな!」、「救急車呼ぼか?」、「弟が咳することになったんは、あの碌でもない姉のせいや‥‥可哀想に、可哀想に」
そうやって、異常なまでに心配をする。他の2人の妹たちも弟までではないが、祖母に気に入られるために努力していたこともあり、心配してもらえていた。
こうして文章に起こして見ると祖母の滑稽さが見えてくるが、当時の私にはキツく、辛いものがあった。

祖母は体調が悪い時にきょうだいで差をつけるが、それは両親も同じだった。
妹や弟が鼻水などの症状が出た際は、すぐに病院へ連れて行っていた。しかし、私の場合は違った。
「また、鼻水垂らして!私の言うこと聞かんけんこうなるんよ!自業自得!」
「何で名前はそんなに弱いかなぁ‥‥劣勢遺伝子?」
「名前が風邪引くと私がババァに怒られるよ!また風邪引いたせいで私が怒られたやんか!ホンマ最悪!!!風邪ひかんといてくれん!?」
「ちょっと気温差で鼻水が出るような弱体でどうするんな!社会で捨てられるぞ!」
「なんですぐ体調崩すかなぁ〜ホンマ嫌なんやけど」
両親でさえも、私の体調不良を嫌がり、ベッドで寝ている私に嫌な顔を向ける。

この影響もあり、私の体調不良への認識は歪んでいった。体調不良イコール犯罪を犯すことと同じぐらいいけないことだと思うようになっていった。
だからだろうか、未だに体調を崩すと体調の悪さではなく、大罪を犯してしまったような感覚に襲われ、涙が止まらなくなるのだ。