我が家には塗り絵だけではなく、パズルにもルールがあった。

それは、パズルは周りから埋めていかなければならないというもの。例え、途中ではめるピースがわかったとしても、周りを埋めていなければ、そのピースをはめることは許されない。もし、はめようものなら、ひっくり返されて、また1からになってしまう。

「パズルは周りから埋めていくのが正解や!」

「周り以外からはめていくなんて効率が悪い!」

「何事も効率よく、早くできるようにならんと!」

など、パズル1つでここまで怒る父親なのだ。

母に助けを求めたとて、塗り絵同様「お父さんの言う事聞きな」と、助けてはくれない。


前回お話した塗り絵、そしてパズルのルールをまだ3歳、4歳だった私は世界共通ルールだと思いこんでいく。赤信号では止まる、人に暴力は振るわない、そんなルールや決まりと同列にあると思っていた。だからこそ、好きなようにパズルのピースをはめていくクラスメートを見ては、『ルールも守れない人』だと一線引き、「そんなの好きなようにやればいいやん!」という友だちには、「嘘つきだ」と怒りを露わにした。そんなやり取りを繰り返し、ようやく塗り絵にもパズルにもルールがないことを理解したのは20歳を越えていた。


私は今でもパズルが嫌いだ。