こんにちは、サバイバル・アンナです。

 

 

ミアシャイマー教授が台湾について語る動画は、進行中の戦争であるウクライナ・ガザ関連ほど多くはありません。いくつか視聴し、印象深い話だった一年前の動画をご紹介します。2023年4月28日にGita Wirjawan(インドネシア)がアップしたインタビューから、台湾関連だけを切り抜き要約します。(51: 36 – 58:18)

 

 

 

<切り抜き要約始まり>

 

 

台湾は中国にとって戦略上重要なだけでなく、彼らのナショナリズムに関わる尊い領域でもある。私がこれまで出会った中国人で、台湾を取り戻したいと強く願わない人物などは一人もいなかった。米国と中国の戦略競争が進む中、米国にとっての台湾はこれまでになく同盟国としての重要さを増している。台湾を自国の領土と考える中国側と、台湾・米国側で争いが勃発しうる状況は容易に想像できる。

 

しかし私は、当面の間、侵攻は起きないだろう見ている。主な理由は、台湾海峡を渡って進軍し占領するという水陸両用作戦の実行能力が、今の中国は十分ではないと考えるからだ。(サバイバル・アンナ注:他の動画では、ノルマンディー上陸作戦を水陸両用作戦の難しさの例にあげ、21世紀の今でも地理的に難度が高いと説明しています。また中国軍の実戦経験の少なさも指摘しています。)

 

今後中国は水陸両用作戦の能力を高めることに全力を尽くすと思うが、同時に米国も、同盟国である日本そしてオーストラリアの協力を得て反撃能力を高めて行くだろう。しかし、まだ侵攻能力が十分でない段階であっても、もし米国が台湾東部で中国を挑発することがあれば、彼らは間違いなく戦うだろう。

 

 

私がここで指摘したいのは、過去の事例からも分かるように、国家が強い政治的動機につき動かされた場合は、勝つ見込みがわずかであっても戦争を選ぶ、ということだ。代表的な例は、1941年12月の日本軍の真珠湾攻撃だ。当時の日本の政治家たちは一流の戦略家であり、米国との戦いが著しく不利なものであることを知っていた。GNPが米国の十分の一程度だった国が攻撃を決めたのは、政治的動機からだ。米国は日本への鉄スクラップや石油の輸出を禁止し、日本経済の首を絞めあげていた。戦争を避けるべく日本はあらゆる手を尽くしたが、最終的には国家存続の危機と理解し、戦いを選んだ。

 

ここから今の台湾問題を考えてみよう。仮に台湾が、米国の軍事協力を前提に独立を宣言したとしよう。中国は、自国側が甚大な損害を受けようとも短期的には負け戦になろうとも、台湾に侵攻することを選ぶだろう。戦争には軍事的な計算だけでなく、政治的動機が関わるため、極めてリスクの高い戦いに打って出た過去のケースはもっとある。米国が特に気を付けなければならないのは、台湾侵攻以外の選択肢はない、と考えるような状況に、我々が中国を追い込まないことである。

<終わり>