こんにちは、サバイバル・アンナです。

 

 

5月17日にCenter for Independent Studies(オーストラリア)がアップしたミアシャイマー教授の講演から、22:25までの前半部分を切り抜き要約しました。

カッコ内は個人的に加えた補足です。

 

 

<切り抜き要約始まり>

 

私が「大イスラエル」と呼ぶ領域は、3つのエリアから構成されている。1967年紛争以前の当初の境界線である「グリーンライン・イスラエル」と、ガザ、そしてヨルダン川西岸地区だ。重要な点は、大イスラエルには約730万人のパレスチナ人と、約730万人のイスラエル系ユダヤ人がいるということ。両者の人口はほぼ同等であるため、大イスラエルの今後をめぐっては、4つの選択肢がある。

 

一つは、民主的な大イスラエルを作ることだ。しかし、これは実現性が低い。なぜなら、このような国は、(イスラエルが望む)ユダヤ人国家ではなくなるからだ。人口動態を見ると分かるように、パレスチナ人はイスラエル人より多くの子供を産むことからも、この選択は起こりえない。

 

二つ目は、二国家解決策だ。だれもが、この二国家解決を語りたがるのは承知だが、10月7日(ハマスの襲撃)以降、いや、実際にはそれ以前から、二国家解決も実現性は低いと言わざるを得ない。ベンヤミン・ネタニヤフとイスラエルのエリートたちは、全くもって、二国家解決には興味がないからだ。

 

三つ目は、アパルトヘイト(人種隔離政策)だ。基本的に、現在の状況はアパルトヘイト国家だと言えるだろう。アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチ、B’Tselem(イスラエルの人権団体)の膨大なレポートがアパルトヘイトの証拠を示している。

 

そして4つ目の選択肢が、民族浄化だ。ガザとヨルダン川西岸地区に住むパレスチナ人を追い出し、イスラエル系ユダヤ人が人口的に圧倒的優勢な大イスラエルを築くことを意味する。

 

 

ここで、10月7日以前の状況を話しておこう。

 

 

西岸地区パレスチナ自治政府のアッバス議長は二国家解決を支持していたが、ネタニヤフは断固として反対していた。ネタニヤフの観点からすればアッバス議長の存在は脅威であるため、(ガザ地区を支配する)ハマスを資金援助した。ハマスも二国家解決に反対していたからだ。西岸地区のパレスチナ解放機構とガザ地区のハマスを拮抗させることにより、(パレスチナ人の抑え込みは)うまくいっているように見えた。

 

イスラエルは数年に一度「芝刈り」を行ってきた。「芝刈り」とは、パレスチナ人との紛争をおこし、数千とまでは行かない数百人規模で殺害し、建物を破壊し、「統治しているのは我々だ」という明確なメッセージを示すことであった。

 

 

では現在、イスラエルにとっての着地点は何なのだろうか。

 

 

西側の主要メディアで語られることは、イスラエルの目標は第一にハマスをせん滅させること、第二にイスラエル人の人質奪還である。しかし、主要メディアでは語られない本当の目的がある。それは、ガザを民族浄化することだ。民族浄化は、アパルトヘイト国家という状況から抜け出す唯一の手段であり、ガザから全てのパレスチナ人を追い出せば同時にハマスをも追い出すことができ、アパルトヘイトとハマスという二つの問題が解決するのだ。

 

しかし、民族浄化をやるためには第一に、膨大な数のパレスチナ人を殺害しなくてはならない。ハマスではなく、罪のないパレスチナ人を多く殺害することで、彼らがガザから出て行くよう仕向けなくてはならない。そして第二に、ガザを住めない状況にしなくてはならない。まさにこれが、現在イスラエルが行っていることだ。

 

当初私は公の場で、イスラエルは大量虐殺を行っていないと発言していたが、12月以降は意見を変え、大量虐殺を行っていると考えている。

 

 

現状を見ると、イスラエルはいまだにハマスを倒せていない。倒せないのではないかとイスラエルの多くのメディアも報道しているように、ハマスをせん滅させることはできないのである。そして、人質も奪還できていないし、ガザの民族浄化もできないでいる。イスラエルが現在ガザで苦境に陥っていることが分かるだろう。

 

ガザの問題に加え、イスラエル北部からハマスをサポートするヒズボラとの大きな問題もある。ヒズボラは北部に爆撃を続けており、6万から10万人のイスラエル人が中央部に一時退避を余儀なくされている。さらに、フーシ派のミサイル一発が初めてイスラエル内に着弾したことは、さらなる問題の予兆と言えるだろう。

 

<終わり>