『ちりとてちん』が無事にクランクアップを迎えたのは、2008年2月22日のこと。
約9ヶ月にも渡る長期間の撮影だったが、最後を飾るシーンをしほりんが撮り終えたのは、その日の午後5時頃。
モニターチェックが済んで、スタッフから「以上でヒロイン、貫地谷しほりさんがオールアップです!」と声が掛かると、さすがにほっとしたのか、しほりんは大きな伸びをしながら笑みを浮かべた。

くす玉が割られて紙吹雪が舞う中、先に撮影を終えた共演者の皆さんから次々に花束が贈られ、抱き合って感動を分かち合うしほりんの瞳からは、大粒の涙が次々と溢れ出た。

その後に和久井映見さんと青木崇高さんも出席して行われた取材会で、しほりんは感想を次の様に語っている。

> 最初は長く感じたんですけど、でも実際に始まってみたら、あと半年か、あと3か月かと言っているうちに今日がきてしまって。本当にありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。
> 撮影中は、キャストのみなさんがすごく支えてくれて、本当に家族みたいな現場でした。キャスト、スタッフ、それに作品にかかわる全ての人がとにかく仲が良かったですね。それがいちばんの活力源でした。

また、しほりんは2月24日のブログに、次のような気持ちを綴っている。

> 昨年の6月から『ちりとてちん』漬けだった毎日も2008年2月22日をもってオールアップする事が出来ました。
> 本当に泣いたり笑ったり激しい毎日でした。
  (中略)
> ぎょうさん笑うっていうのは毎日いっぱい笑うって事ではなくて、いつか来る幸せな時に思いっきり、ぎょうさん笑う為の試練なんだなと思う今日この頃です。

> 昨年の今頃はちょうどオーディションを受けてる頃でした。
  (中略)
> 絶対にこの役をやりたいって心から思っていたので受かった時、本当に嬉しかったのを覚えています。

> 本当に奇跡の連続でした。

> ヒロインに選ばれ、素敵な脚本、素敵なスタッフ、素敵なキャストに恵まれて。

> 正直、途中たくさん辛い事もありました。
> その度励ましてくれた、みんな、本当にありがとう。
> 一年前の私より強くなったんじゃないかと思います。

> みんなのお陰です。

> 本当に本当にありがとうございました。


いつか「ぎょうさん笑う」ためには、乗り越えなくてはならない試練が、人生にはたくさんあることだろう。
喜代美ちゃんには、「研いでも研いでも後悔ばかりのお箸」にならないように頑張れと、励まされてきた。

しほりんがヒロインになれたのは、奇跡なんかではなくて、「絶対に喜代美ちゃんの役をやりたい!」と、他の誰よりも強く思い続けることができたから。
喜代美ちゃんと一緒に成長しながら塗り重ねてきたものが、これからのしほりんの人生の中で、綺麗な模様となって出てきたらいいなと思う。

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ちりとてちん 第20週「立つ鳥あとを笑わす」

喜代美ちゃんと草若師匠との師弟落語会は残念ながら実現しませんでしたが、爽やかな水色の着物姿で登場した「草若 弟子の会」で見せた徒然亭若狭としての成長ぶりには、感慨深いものがありました。

開演時刻が迫る中、草若師匠が危篤だという知らせを聞いて、重苦しい空気が漂う楽屋。
「師匠の事を心配しながら演じてるて分かったら、お客さん笑えへんようになる。そやから絶対に、悟られるな。 ええな!」
「はいっ!」
草原兄さんが掛けた言葉に、涙ぐみながらも力強く返事をし、溢れる涙を必死にこらえようとする喜代美ちゃん。

緊張した面持ちで舞台の袖に立ったのも束の間、草履を脱いで「草若 弟子の会」と書かれた額に目をやった後、一転して満面の笑顔を浮かべて高座に上がり、天狗座のホールを埋める大勢の観客に向かって堂々と語り始めるさまは圧巻でしたね。
枕では意表を突いて草若師匠の病気をネタに軽く笑いを取り、そのまま本題の創作落語へと入って行く鮮やかさ。
さすがに喜代美ちゃんが自信作だと言うだけのことはあって、草若師匠に弟子入りした経緯が面白可笑しく語られていて、ぐいぐいと引き込まれました。
無事に演じ切って高座を下りた喜代美ちゃんが、出迎えた兄弟子たちの姿を見てほっとしたのか、泣きそうになりながら見せた笑顔が素敵でした。

草若師匠の言葉を胸にそれぞれの『地獄八景亡者戯』を演じる兄弟子たちを、舞台の袖から見守る喜代美ちゃん。
笑いながらも涙する姿からは、草若師匠に対する思いの強さが伝わってきました。
草原兄さんが演じ終えた後の割れんばかりの拍手や歓声は、「ファン感謝祭」で採録されたものですね。
「ちりとてちん」の世界の一端に加わることができたような気分になって、なんとも嬉しい限りです。

そんな弟子たちの高座を見届けて安心したかのように、穏やかな表情で息を引き取った草若師匠。
「寝床」からくすねた徳利とお猪口を手に、笑顔で楽屋を訪れた草若師匠に会った喜代美ちゃんでしたが、出掛けに振り向くと、そこにはただ、彼の黒い羽織が掛かっているだけ・・・。
草若師匠がもうこの世にはいないことを悟って涙を流す、鏡に映った喜代美ちゃんの姿がとても印象的でした。


さて、今週は喜代美ちゃんの涙が強く印象に残るものの、しほりんは相変わらず多彩な表情を見せてくれましたね。

病室で草若師匠から稽古をつけてもらう兄弟子たちが羨ましくて仕方がない喜代美ちゃんが、『地獄八景亡者戯』を見よう見まねで覚えようとする場面は、途中で間違えて慌てたりするところもあったりして面白かったです。
草若師匠に呼ばれて大喜びで駆け寄ったのに、飲み物が欲しいという期待外れの言葉にがっかりして照れ笑いする場面は、喜代美ちゃんの表情の変化が楽しかったですね。

「でも、しょうがないですよね。私が一番、師匠との付き合い、短いんやでぇ。」
一生懸命に稽古する草々兄さんに対して聞えよがしに不満を言い、やかましいと怒鳴られてうろたえてしまう喜代美ちゃんも可笑しかったです。

「びっくりした~! いつからおったんですか!?」
「さっきからや。」
思い出話に浸っているうちに、いつの間にか3人の兄弟子たちが背後に立っているなんて、喜代美ちゃんならずとも驚いてしまいましたよね。笑

「きっと、笑てはると思うで。おじいさん、天国で。かわらけ投げが叶えてくれたんやない。お前が師匠という人を見つけて、自分の道見つけて、歩いていってるからや。」
草々兄さんの言葉を心の中で噛みしめて微笑む喜代美ちゃんの表情が、とても素敵でした。

「師匠! 私も『地獄八景』やったらあきませんか? 私かて、もっと師匠に教えてもらいたいんです。兄さんらだけずるい。ずるい! ずるい! ずるい!」
喜代美ちゃんったら、この期に及んで、まだそんなわがまま言って・・・。
「お前も、いつか、この四人に、教えてもらえ。そないして、俺の落語を受け継いでいってくれ。」
「はい!」
頭を撫でてもらった喜代美ちゃんが、草若師匠とにっこり微笑み合う姿がなんとも可愛かったです。

「草若 弟子の会」の前夜、外出許可をもらった草若師匠を囲んで、賑やかに食事をする徒然亭一門。
お酒に見立てたお白湯を草若師匠のお猪口に注ごうとした喜代美ちゃんが、粗相をしてしまいペロッと舌を出すあたりは、相も変わらずといったところ。

「ぐじ、ぐじ~! ぐじです!」
越前そばと共に食卓を飾ったぐじは、お母ちゃんが小浜から持ってきたものでしょうか。
「一人一匹ですよ! 一匹! もう!」
ぐじを取り合う兄弟子たちの大人気無い姿に、喜代美ちゃんもあきれ顔でしたね。

「おおきに、ありがとう。 ほんまに、ありがとう。」
弟子たちに感謝の言葉を述べる草若師匠の姿を見て涙がこぼれ落ち、それを見せまいとして俯く喜代美ちゃん。
翌朝、出発前にお母ちゃんに切り火をしてもらった後、万感胸に迫る思いを満面の笑みで包み、草若師匠に深く頭を下げてから出かけて行く姿が印象的でした。

それにしても、草若師匠が行ったあの世というのは、地獄と極楽を自由に行き来できるなど、かなり融通が利く楽しそうな所でしたね。
まさかおじいちゃんが出迎えてくれるとは思いもよらず、びっくりしました。
草若師匠も、これからはおかみさんと二人で楽しく高座を務める日々が続くのでしょうね。

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