「あの日」、そう、それは忘れもしない、2007年3月14日のこと。
夜、たまたまNHKのニュースを見ていた私の耳に飛び込んで来た、大ニュース。

「連続テレビ小説『ちりとてちん』のヒロインに、貫地谷しほりさんが選ばれました。」

まさに青天の霹靂とはこのこと、思わずテレビの前に駆け寄りました。
画面には『風林火山』のミツの映像や、緊張気味の表情で会見に臨むしほりんの姿が。
その瞬間、自分でも驚くほど、涙が止め処なく溢れ出てきました。

しほりんがついにドラマ初主演、それも朝ドラのヒロインになるなんて!
ようやくここまで来た、10月からは毎日しほりんのお芝居が見られる、夢のような日々がやって来る!
そう思ったら、もう、嬉しくて嬉しくて…。

居ても立ってもいられず、しほりんのブログにお祝いのメッセージを書き込みました。
「もう、嬉しくて嬉しくて、涙が止まりません!」


2009年の春に発売されたしほりんのフォトブック『カンジヤノハナシ』に掲載されたインタビュー。
その中の『ちりとてちん』の項に、次の文章がありました。

> (オーディションに)受かったと聞いた時は本当に嬉しかった。そして、本当に念願だった朝ドラヒロインの決定が発表された時、私のブログにファンの方からたくさんの書き込みがありました。
> 「嬉しくて涙が出ました」
> ファンの方が自分のことのように嬉しくて泣いてくれている。
> 私はこの人たちが喜んでくれるようなお芝居をしたいと思いました。そんな気持ちになったのも、この時が初めてです。


あれからもう3年以上が過ぎましたが、朝ドラヒロインに決定した喜びをしほりんと共有した「あの日」の出来事は、私にとって忘れられない思い出です。
だからこそ、あの時しほりんがそういう気持ちになってくれたことを、嬉しく思うのです。

しほりすとで行こう! border=


ちりとてちん 第2週「身から出た鯖」

今週もまた泣けましたね。
関連番組で何度も見た、あの「お母ちゃ~ん!」のシーンに向けて物語が展開していくのだろうと予想はしていたものの、涙腺がそこまで持ちませんでしたよ。笑

エーコの存在を意識し過ぎるあまり、本当の気持ちを嘘の笑顔でごまかしながら生きる喜代美ちゃんの切ない表情には、ホロリときてしまいます。
化石と交換したエーコのきらきら石を海に投げ捨て、家族の前で学園祭のステージに出ると宣言した時の表情は、本当にきらきらと輝いて素敵だったのですが…。

三味線でエーコにお手本を示して得意になり、ステージで脚光を浴びる妄想に浸っていたのも束の間、すぐに追い抜かれ、練習すれども追い付けず、畳に突っ伏して涙を流し…。
順ちゃんたち新メンバーにまで遅れをとり、最後までやり遂げる自信を失ってついに三味線ガールズから脱落し、沈んだ表情を浮かべ…。
屈折した気持ちから学園祭の照明係を引受けたものの、薄暗い場所でエーコにスポットライトを当てながら、心中複雑な思いが渦巻き…。
毎回これでもかと畳み掛けるかのように、最後は喜代美ちゃんの切ない表情で終わって思わず涙してしまう展開が続くのは、さすがに辛いですよね。

緒方さんとの出会いがきっかけとなって、小浜を出る決意を固めた喜代美ちゃんでしたが、友春さん乱入という予期せぬ展開に、最悪のタイミングで話を切り出す羽目になってしまいましたね。
「お母ちゃんみたいになりたくないの!」と母親に対して酷い言葉を吐いた後、一瞬しまったという表情をする喜代美ちゃんと、それを聞いて落ち込むお母ちゃん。
見兼ねたお父ちゃんに平手打ちされ、怒鳴られて、大粒の涙を流しながらも、決して謝らない彼女がお父ちゃんを見つめ返す、強い意志を窺わせるキッとした瞳。
私にも似たような経験があるだけに、両親に反抗する喜代美ちゃんの言動があまりにも痛々し過ぎて、しほりんの迫真の演技と相俟って涙がボロボロ流れました。

それから、喜代美ちゃんがお父ちゃんに「私、研いでも研いでも後悔ばっかりのお箸になりたくない。」と自分の決意を伝える場面や、小浜駅のホームで三味線を渡してくれたお祖母ちゃんとのやりとり、そして、娘が乗る列車を見つめて演奏終了後もサビの部分を歌い続けるお母ちゃんにもグッときました。
工房を出て娘を思うお父ちゃん、列車に向かって必死に大漁旗を振る叔父さんと弟、そして、家族全員の応援を背に故郷を離れる喜代美ちゃんの手には、あの黒猫のアップリケのお守り袋が。
第1回のエピソードがしっかりと伏線になっている作りにも感心しました。
しかしながら、朝ドラでこんなに泣ける日が来るなんて、放送前には予想だにしませんでしたよ。

それにしても、喜代美ちゃんは家族だけでなく友達にも恵まれていますね。
背中をポンと押したくなるくらいもどかしい彼女に対して、時には痛いまでの視線を浴びせ、愚痴を聞き、人生のど真ん中をドーンと歩けばいいと諭してくれる順ちゃん。
一方、自分に対して劣等感を抱く彼女を気遣って、少し離れた位置から見守り、卒業式の後には似顔絵入りのメモを手渡して大阪の住所を教えてくれたエーコ。
喜代美ちゃんって、本当に幸せ者だなと思いました。

とにかく、この「ちりとてちん」、15分間が本当にあっという間に過ぎてしまいます。
しほりんの登場でより一層面白くなったと感じるのは、贔屓目に見ているからでしょうか?笑

しほりんのお芝居は、表情の変化がとっても魅力的なんですよね。
原さんとの絡みで見せた表情は初々しくて可愛らしく、エーコが「ちりとてちん」と弾けた時の驚いた表情は「スウィングガールズ」を思い出すくらいコミカルで、お父ちゃんがお店の再開を決意した時に見せた満面の笑みはとっても印象的。
また、「えっ、まさか。こんな私が、こんな緒方さんと・・・。」と言う際に見せたオーバーな身振り手振りも、本当に面白い。
そして、今さら言うまでもない、泣きの演技の素晴らしさ!

来週以降も、しほりんが、彼女ならではの魅力に溢れた愛すべきヒロインの喜怒哀楽をコミカルに演じてくれそうで、本当に楽しみです!