「中国のインフラ銀行(AIIB)に日本は乗り遅れたのか!?」
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幸福実現党  
江夏正敏の闘魂メルマガ vol.37
2015年4月7日発行
より転載
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江夏正敏 幸福実現党
政務調査会長のオフィシャルブログ
http://enatsu-masatoshi.com/

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1、江夏正敏の「闘魂一喝!」
「中国のインフラ銀行(AIIB)に日本は乗り遅れたのか!?」

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中国によるアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、イギリスやドイツなどの欧州勢が参加を表明し、日米が取り残されたような報道がなされています。
何か嫌な感じですね。日本は参加すべきだったのでしょうか。
いろいろと論評が出ていますが、現時点での感想を述べてみたいと思います。

●アジアでは資金が必要。
そもそもAIIBのような機関がなぜ必要とされているのでしょうか。
それは、アジアの経済が発展しているのですが、道路、鉄道、ダム、電力、空港などのインフラが整っておらず、早く整備したいという各国の需要があるからです。
そのための資金は、毎年7500億ドル、日本円で約90兆円とも言われています。
今までは、日米主導のアジア開発銀行(ADB)、世界銀行、日本の国際協力銀行、各国の政府系金融機関、民間銀行などが融資していました。
しかし、それだけでは足りない現状があったのです。そこで中国がAIIBを提唱し始めたのです(表向きの理由ですが)。

●中国のAIIB設立の意図―「一帯一路」。
しかし、中国の真意はどこにあるのでしょうか。これが極めて怪しいものなのです。
中国は「一帯一路」というものを提唱しています。「一帯」とは「シルクロード経済帯」、「一路」とは「二十一世紀海上シルクロード」です。
中国内陸部から中東にかけて産業を興し経済を発展させようとするのが「一帯」、
南シナ海からマラッカ海峡、インド洋、そして中東に至る海上ルートを確保しようとするのが「一路」。
両方とも中東を目指しています。
ということは、答えは簡単です。エネルギー確保が狙いです。
この中国の野望がAIIBの裏にあります。

●中国のAIIB設立の意図―「過剰生産力のはけ口」。
また、中国の経済成長が鈍り、あり余る生産能力をどうするかが中国の課題です。
中国の賃金が上がり、他国との競争力が低下しています。さらに中国の内需も不振を極めており、下手をすると暴動が起きてしまいます。
この中国の過剰生産力(鉄鋼、セメント、家電、衣料など)、過剰労働力のはけ口をAIIBでカモフラージュしつつ、アジア各国に押し込みたいのです。

●中国のAIIB設立の意図―「意外な外貨不足対策」。
さらに、中国は輸出で得た外貨(ドル)を3兆8000億ドル近く保有しています。このドルが人民元発行の原資になっています。
簡単に言うと、大量のドルを持っているので、人民元が暴落せずに発行できているのです。
ですから、この外貨準備のドルが減ると、中国経済は貧血を起こし、大変なことが起きてしまいます。
実はこの中国の外貨が、中国経済の低迷、不動産の暴落、そして共産党幹部による資産の海外逃避などで、急激な勢いで減ってきているのです。
人民元金融システムを維持するために、意外や意外、なんと中国はロンドンなどの国債金融市場から借金をしているのです。
欧州諸国などは、「世界一の外貨資産」という見せ金に騙されて、中国が喉から手が出るほど欲しい外貨をノーテンキに提供してしまうことになるのです。

●中国主導の運営体制。
では、AIIBはどのような仕組みで運営されていくのでしょうか。
普通の国際金融機関では、加盟国から理事が派遣され、常設の理事会で融資が公平になされるようなメカニズムがあり、公平性、中立性が担保されています。
しかし、AIIBでは中国が出資金の50%出資を表明しており、参加国がいくら増えても40%以上のシェアは確保するとしています。
初代トップは中国人に決定しています。本部は北京におき、言語も中国語です。
しかも、加盟国からの理事は置かないとのこと。トップダウンによる即断即決方式を示唆しています。
つまり、参加国からお金は出させるけれど、そのお金をどのように使うかは、ほぼ中国が決めるという体制なのです。
(これでよくイギリスやドイツ、フランスは参加したものです)
簡単に言うと、AIIBは中国共産党の下部機関であり、中国は参加国のお金を自由自在に自国の戦略に沿ったプロジェクトに融資するでしょう。

●中国主導の融資。
少し極論ですが、以下のような融資が可能となります。
東南アジアや南アジアで中国軍艦が寄港する港湾設備に融資。中東から中国に石油を送るパイプラインに融資。中国にすり寄るイスラム武装勢力に有利なプロジェクトに融資。
中国もバカではないので、対外的に普通にみえる融資もするでしょうが、大きな流れにおいて中国の国益に資する融資に誘導することは間違いありません。
本来、銀行業務とは、多くの人から借りたお金を原資として融通することです。そこには公明正大で社会的責任を果たそうとする高邁な精神が必要です。
しかし、今の中国共産党は汚職、腐敗にまみれています。その中国共産党の官僚がAIIBに出向して、社会的責任を果たし、公明正大、清廉潔白に仕事をするとは思えません。

●中国のための金融機関。
まあ、AIIBは中国による中国のための金融機関です。
中国の意図があまりにも鮮明なAIIBに、日本が参加することは難しいでしょう。
もし、日本が参加しても、日本国民の税金をAIIB内で影響力を発揮できるほど投入できるはずがありませんし、中国もそれを許さないでしょう(そういう体制になっていません)。
ということは、日本が参加しても発言権は得られるはずもなく、中国のなすがままに日本国民のお金が使われて、逆に日本の国防を危うくする可能性もあるのです。

●日本の取るべき道。
経済界からは「AIIBに参加して、アジアのインフラプロジェクトを受注できるようにしたい」という声が出てくると思いますが、
中国が仕切っている体制で、日本企業が指名される確率は低いと思います。
もし、中国が心を入れ替え、AIIBの運営体制や融資基準を公明正大、清廉潔白にし、アジアの発展に寄与するようになれば、
それは慶賀の至りと言うべきもので、日本や世界にとっては歓迎されることでしょう。そのようにはならないと思いますが。
欧州諸国は、いずれ中国の悪意に気付き、AIIBに参加したことを後悔するようになるのではないかと思います。
日本は、日米主導のアジア開発銀行で誠実な仕事を行い、王道を歩むべきだと考えます。
浮足立つことなく、アジア開発銀行を使いやすいようにイノベーションをし、世界銀行などと連携して、アジアのインフラを整えていくことが必要です。
他国を利用しようとする中国と、他国の発展を願う日本の違いを際立たせるために、日本は高邁な精神と、実学的な智慧で、アジアの発展に貢献してまいりましょう。

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2、編集後記
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今回の予定は「生活保護の解決策」だったのですが、
なぜか中国のアジアインフラ銀行(AIIB)が気になってしまいました。
AIIBのニュースを見ると、何か日本が中国に負けていくような暗い雰囲気があるので、
元気がなくなっていく感じがします。
そんなことはありません。日本が政治・経済で正しい選択をすれば、
日本は中国に負けることはないのです。
日本のポテンシャルを信じられないことが悔しくてなりません。
「幸福実現党に任せてくだされば」と思うのですが。

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◆ 江夏正敏(えなつまさとし)プロフィール 

1967年10月20日生まれ。

福岡県出身。東筑高校、大阪大学工学部を経て、宗教法人幸福の科学に奉職。

広報局長、人事局長、未来ユートピア政治研究会代表、政務本部参謀総長、
HS政経塾・塾長等を歴任。

幸福実現党幹事長・総務会長を経て、現在、政務調査会長。

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◆ 発行元 ◆
江夏正敏(幸福実現党・政務調査会長)

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