最後のセーフティネット“生活保護”の衝撃
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幸福実現党
江夏正敏の闘魂メルマガ vol.36
2015年3月17日発行
より転載
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江夏正敏 幸福実現党
政務調査会長のオフィシャルブログhttp://enatsu-masatoshi.com/
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1、江夏正敏の「闘魂一喝!」
「最後のセーフティネット“生活保護”の衝撃」
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国民の皆様にとって、社会保障は身近でありながら、わかりにくいと思われている方も多いと思います。今回は「生活保護」についてです。
生活保護について調べながら「自分も無職になって生活保護を受けることもあり得る。しかし、現行制度だと、生活保護を半年間、受給したら、
もしかしたら抜け出せなくなるかもしれない」と感じました。実態を知れば知るほど、恐ろしい。
●生活保護とは。
生活保護を定義するならば、専門家の言葉を借りると「憲法25条で保障された健康で文化的な最低限度の生活を守るための『最後のセーフティネット』であり、
国民が様々な理由から貧困に陥って、まさに万策尽きた場合、その理由の如何にかかわらず、最低水準の生活費が行政から支給される」となります。
●生活保護を受けるには。
では、実際に生活保護を受けるにはどのような仕組みになっているのでしょう。
まずは最寄りの市区町村の福祉事務所に行って相談します。そこで、必要であれば生活保護申請ができます。
ケースワーカーと呼ばれる職員がその申請を審査し、受給が認められれば、その後の生活相談・自立指導を担当します。
支給される金額は世帯構成や居住地によって異なります。
例えば2013年の東京23区では、夫婦二人子供一人の場合、生活費・住宅費等を合計して約24万円。単身高齢者の場合、約13万円。母子家庭(子供二人)の場合、約26万円。
このほか、子供に対する教育費等も別途支給されるほか、医療費や介護費はすべて生活保護で賄われるため、自己負担はゼロです。
●生活保護費受給の条件。
条件は原則以下の4点です。
(1)援助してくれる身内・親類がいない。(2)まったく資産を持っていない。(3)働けない状態。(4)月の収入が最低生活費を下回っている。
そして、その内容は[生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助]の8種類あり、
ひとたび受給者になれば8種類すべて与えられる「ワンセット主義」と呼ばれる施策をとってきました。
全て与えられるか、全く無しかのオール・オア・ナッシングに近いです。
●生活保護制度の問題点。
現行制度の問題点を結論から言うと「現在の生活保護制度は、貧困対策としてはかなり非効率な制度であり、効率化する余地は大きい」ということ。
そして、最大の問題は「受給者が自立して生活保護から抜け出そうとする気力を失わせるような仕組みになっている」ことです。これを“貧困の罠”と言います。
●生活保護受給者の急増。
さて、最近の動向はどうなっているのでしょうか。
戦後は高度経済成長を経て、バブル崩壊までの間は、失業率が低く、国民の所得も高まり、生活保護受給者数は順調に減っていました。
しかし、バブル崩壊以後は増加しており、特に2008年のリーマンショック以降は急増しています。
ついに200万人を超え、終戦直後の大混乱時よりも多くなり、戦後最大が続いています。
例えば、大阪市にいたっては、18人に1人が生活保護を受けているという惨憺たる状況です。
少し古いですが、2011年の決算ベースで国の生活保護費は約3兆8000億円と巨額になってしまいました。
●リーマンショック以後の急増の原因。
リーマンショック後に急増した原因は、2008年末に東京日比谷の「年越し派遣村」をマスコミが大々的に報道したことにあります。
ただ、「年越し派遣村」に並んだ人々の大半は、派遣切りにあった労働者ではなく、野宿を続けていたホームレスの人々であったというのは「公然の秘密」のようです。
しかし、「年越し派遣村」に設置された生活保護窓口では、政治的判断とマスコミの注目によって、驚くべき早さと緩い基準で、次々に生活保護受給が認められてしまいました。
●厚生労働省の通達。
その後、2009年3月以降に、次々と厚労省が出した通達によって、今まで「水際作戦」と揶揄されながらも、
厳しく審査し、生活保護の申請すら難しかった「働くことが可能な人々」(稼働能力層)に対する基準が、大幅に緩和されました。
それまでは、65歳以上は生活保護、それ以下の人は野宿を続けるか、「自立支援センター」に入所というのが相場だったのですが、この厚労省の通達で状況は一変したのです。
その問題の通達は2009年3月18日、厚生労働省社会・援護局保護課長から、各都道府県、指定都市、中核都市の民政主管部長宛に出されたもの。
その通知には「単に稼働能力があることをもって保護の要件を欠くものではないが、…」という一文があり、
これが働く世代を生活保護に受け入れることを実質的に認めた文書だったのです。
●働ける人たちが生活保護受給者に。
そのため、普通に生活保護を受けていた今までの高齢者世帯、障害者世帯・傷病者世帯、母子世帯とは違う「その他の世帯」、
いわゆる「稼働能力層」といわれる働ける人の生活保護受給者が急増したのです。
これが絶対いけないのかというと、少し難しい問題があります。
この時期に急増した非正規労働者(派遣)の失業に、すぐさま対応できる支援制度が、生活保護以外になかったのが実情です。
雇用保険(失業保険)は正規労働者を対象とした保険であり、非正規労働者(派遣)に対して、生活保護を受ける手前のセーフティネットがないのです。
●恐ろしい副作用。
この生活保護で非正規労働者を助けることは、あくまでも急場しのぎにすべきだったのですが、働ける人への要件緩和を慢性的に続けることは、恐ろしい副作用をもたらしました。
もともと現在の生活保護制度は、「働ける人が受給することはない」という前提に立った制度であるため、受給者の自立を促す仕組みがほとんどないのです。
そのため、働ける人が、ひとたび生活保護を受給し始めると、そこから抜け出そうとせず、非効率に公費(税金)が浪費されていくことが永続的に行われてしまうのです。
●生活保護制度の最大の問題点「貧困の罠」。
ハッキリ言えば、今の生活保護制度は、自立を阻害する仕組みになっているのです。
その問題点は、働くとその分だけ生活保護費が減らされるという「働き損」の仕組みになっていることです。
さらに、生活保護を抜け出した場合でも、生活保護でいるよりもむしろ生活水準が下がってしまう可能性が高いのです。
生活保護制度は、ほとんどの生活費や必要経費をほぼ過不足なく支給してくれます。家賃以外に敷金・礼金も支払ってくれますし、医療費や介護費も無料です。
さらに生活保護に連動して無料となる各種サービスがあり、例えば、認可保育園の保育料の無料、NHKの受信料も無料です。
しかし、生活保護から脱すると、これらがすべて有料となって自己負担なります。それに加えて、税金も納めねばなりません。
したがって、「せっかく働いて自立した途端、生活保護よりも悲惨なワーキングプアになるぐらいなら、生活保護のままでよい」と誰しも思ってしまうのです。
最初は「働かねば」と思っている人も、半年を過ぎると、たいていその“ぬかるみ”にはまっていくそうです。
このような状態を“貧困の罠”と呼ばれています。
●貧困ビジネス。
さらに、「貧困ビジネス」という闇が濃くなりました。働ける人が生活保護費を受給できるようになって、制度を悪用して、金儲けをしようとする人たちが増えてきました。
そのような人たちを、別名「囲い屋」とも呼ばれています。
たとえば、「生活保護はいらんか」とホームレスなどに声を掛け、住むところを提供しつつ、生活保護の申請を行わせます。
申請が認められると、家賃や食費などの名目で、生活保護費のほとんどを「囲い屋」が吸い上げていくのです。
ホームレスたちは、住むところを提供され、また不正受給に加担したという罪の意識から、公にすることなく、ただただ生活保護費をピンハネされるがままになるそうです。
さらにギャンブルなどに誘われ、残った金も巻き上げられる事例もありました。
また、病院が絡むともっとひどいことになります。生活保護受給者を病院が囲い込んで、利益追求の道具にしていることもあります。
いくつかの病院では、医療上の必要性がないにもかかわらず、検査や診療、手術を繰り返し、病院が多額の診療報酬を受け取っていました。
受給者たちの体は、度重なる検査や投薬でボロボロになる人もいたのです。
これらは一例で、行政の対策チームといたちごっことなっており、手を替え品を替えて保護費を吸い上げるビジネスは続いているのが現状です。
●貧困ビジネスが流行る理由。
これらの貧困ビジネスは、2008年までは生活保護を受けるのに厳しい制限があったため、
基本的には高齢者、障害者・傷病者、母子家庭に限られ、利益を抜くことが難しかったのです。
しかし、厚労省の通達後、働ける人も生活保護を受けられるようになったため、受給者が急増し、貧困ビジネスも同時に多発し始めました。
仕事や資産を持っていない人は、理屈上、誰でも生活保護が受給できるようになり、
不正を営む貧困ビジネス業者から見ると、生活に困っている人を見つけ出し、受給者にするだけで、生活保護費を吸い上げることができるようになったのです。
業者自らが、生活保護受給者を「生み出す」ことができるようになりました。
●現状の総括。
セーフティネットは必要です。できるだけ富豪と呼ばれるお金持ちの人々に、ミッションとして慈善事業を行ってほしいのですが、
それでも手が回らないと思われるところは行政が乗り出さざるを得ません。
しかしながら、冒頭でも述べたように、現行制度は非効率で無駄が多く、さらに生活保護制度そのものが、人間の労働意欲を根源的なところから壊している面があるのです。
本当に生活ができない人を助けることは大切であり、愛の心を喚起させ、宗教心を培う尊い機会ではあります。
しかし、半年間、生活保護を受けると「働く意欲がなくなって、生活保護に安住してしまい、生活そのものが荒廃。再就職の意欲もなくなってしまう」という現状は、
人間の尊厳を大きく傷つけてしまいます。
●解決策。
このような問題を解決するためには、以下のような施策があります。
例えば、「働ける人」に対しては、原則、生活保護を認めず、有効的な「第二のセーフティネット」を構築すること。
すでに生活保護を受けている「働ける人」には、生活保護に期限を設けること。
そして、強制的に受ける「自立支援プログラム」をつくること。「凍結貯蓄制度」「就労収入積立制度」なども検討すべきでしょう。
また、意外かもしれませんが「最低賃金」をもっと低くする必要があります。
さらにワーキングプア層が生活保護受給者にならないように、「負の所得税」を導入することも考えるべきです。
生活保護を受給する際、本人の資産を一時的に所有権の移転をし、再起したときに返還するという制度も有効でしょう。
次回になるかわかりませんが、これらの生活保護の解決策をまとめたいと思います。
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2、編集後記
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生活保護は、行政にとって大切な施策です。
ただし、行き過ぎると人間性を破壊します。
本当の福祉は、国民に仕事があること。
ですから、景気がいいこと、経済成長は善です。
それを阻害する左翼の人たちは、矛盾だらけです。
経済成長を阻害する施策ばかり主張し、その反面、
弱者救済と言いつつ、税金をばら撒き、人間の尊厳を破壊する。
やはり左翼の人たちの根底の考え方に問題があります。
本当に国を良くするには、根本の考え方から正さなければなりません。
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◆ 江夏正敏(えなつまさとし)プロフィール
1967年10月20日生まれ。
福岡県出身。東筑高校、大阪大学工学部を経て、宗教法人幸福の科学に奉職。
広報局長、人事局長、未来ユートピア政治研究会代表、政務本部参謀総長、
HS政経塾・塾長等を歴任。
幸福実現党幹事長・総務会長を経て、現在、政務調査会長。
http://enatsu-masatoshi.com/profile
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◇本メルマガは自由に転送、転載いただいて結構です。
転送・転載の際は引用元の表示をお願い致します。
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◆ 発行元 ◆
江夏正敏(幸福実現党・政務調査会長)
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江夏正敏の闘魂メルマガ vol.36
2015年3月17日発行
より転載
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江夏正敏 幸福実現党
政務調査会長のオフィシャルブログhttp://enatsu-masatoshi.com/
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1、江夏正敏の「闘魂一喝!」
「最後のセーフティネット“生活保護”の衝撃」
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国民の皆様にとって、社会保障は身近でありながら、わかりにくいと思われている方も多いと思います。今回は「生活保護」についてです。
生活保護について調べながら「自分も無職になって生活保護を受けることもあり得る。しかし、現行制度だと、生活保護を半年間、受給したら、
もしかしたら抜け出せなくなるかもしれない」と感じました。実態を知れば知るほど、恐ろしい。
●生活保護とは。
生活保護を定義するならば、専門家の言葉を借りると「憲法25条で保障された健康で文化的な最低限度の生活を守るための『最後のセーフティネット』であり、
国民が様々な理由から貧困に陥って、まさに万策尽きた場合、その理由の如何にかかわらず、最低水準の生活費が行政から支給される」となります。
●生活保護を受けるには。
では、実際に生活保護を受けるにはどのような仕組みになっているのでしょう。
まずは最寄りの市区町村の福祉事務所に行って相談します。そこで、必要であれば生活保護申請ができます。
ケースワーカーと呼ばれる職員がその申請を審査し、受給が認められれば、その後の生活相談・自立指導を担当します。
支給される金額は世帯構成や居住地によって異なります。
例えば2013年の東京23区では、夫婦二人子供一人の場合、生活費・住宅費等を合計して約24万円。単身高齢者の場合、約13万円。母子家庭(子供二人)の場合、約26万円。
このほか、子供に対する教育費等も別途支給されるほか、医療費や介護費はすべて生活保護で賄われるため、自己負担はゼロです。
●生活保護費受給の条件。
条件は原則以下の4点です。
(1)援助してくれる身内・親類がいない。(2)まったく資産を持っていない。(3)働けない状態。(4)月の収入が最低生活費を下回っている。
そして、その内容は[生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助]の8種類あり、
ひとたび受給者になれば8種類すべて与えられる「ワンセット主義」と呼ばれる施策をとってきました。
全て与えられるか、全く無しかのオール・オア・ナッシングに近いです。
●生活保護制度の問題点。
現行制度の問題点を結論から言うと「現在の生活保護制度は、貧困対策としてはかなり非効率な制度であり、効率化する余地は大きい」ということ。
そして、最大の問題は「受給者が自立して生活保護から抜け出そうとする気力を失わせるような仕組みになっている」ことです。これを“貧困の罠”と言います。
●生活保護受給者の急増。
さて、最近の動向はどうなっているのでしょうか。
戦後は高度経済成長を経て、バブル崩壊までの間は、失業率が低く、国民の所得も高まり、生活保護受給者数は順調に減っていました。
しかし、バブル崩壊以後は増加しており、特に2008年のリーマンショック以降は急増しています。
ついに200万人を超え、終戦直後の大混乱時よりも多くなり、戦後最大が続いています。
例えば、大阪市にいたっては、18人に1人が生活保護を受けているという惨憺たる状況です。
少し古いですが、2011年の決算ベースで国の生活保護費は約3兆8000億円と巨額になってしまいました。
●リーマンショック以後の急増の原因。
リーマンショック後に急増した原因は、2008年末に東京日比谷の「年越し派遣村」をマスコミが大々的に報道したことにあります。
ただ、「年越し派遣村」に並んだ人々の大半は、派遣切りにあった労働者ではなく、野宿を続けていたホームレスの人々であったというのは「公然の秘密」のようです。
しかし、「年越し派遣村」に設置された生活保護窓口では、政治的判断とマスコミの注目によって、驚くべき早さと緩い基準で、次々に生活保護受給が認められてしまいました。
●厚生労働省の通達。
その後、2009年3月以降に、次々と厚労省が出した通達によって、今まで「水際作戦」と揶揄されながらも、
厳しく審査し、生活保護の申請すら難しかった「働くことが可能な人々」(稼働能力層)に対する基準が、大幅に緩和されました。
それまでは、65歳以上は生活保護、それ以下の人は野宿を続けるか、「自立支援センター」に入所というのが相場だったのですが、この厚労省の通達で状況は一変したのです。
その問題の通達は2009年3月18日、厚生労働省社会・援護局保護課長から、各都道府県、指定都市、中核都市の民政主管部長宛に出されたもの。
その通知には「単に稼働能力があることをもって保護の要件を欠くものではないが、…」という一文があり、
これが働く世代を生活保護に受け入れることを実質的に認めた文書だったのです。
●働ける人たちが生活保護受給者に。
そのため、普通に生活保護を受けていた今までの高齢者世帯、障害者世帯・傷病者世帯、母子世帯とは違う「その他の世帯」、
いわゆる「稼働能力層」といわれる働ける人の生活保護受給者が急増したのです。
これが絶対いけないのかというと、少し難しい問題があります。
この時期に急増した非正規労働者(派遣)の失業に、すぐさま対応できる支援制度が、生活保護以外になかったのが実情です。
雇用保険(失業保険)は正規労働者を対象とした保険であり、非正規労働者(派遣)に対して、生活保護を受ける手前のセーフティネットがないのです。
●恐ろしい副作用。
この生活保護で非正規労働者を助けることは、あくまでも急場しのぎにすべきだったのですが、働ける人への要件緩和を慢性的に続けることは、恐ろしい副作用をもたらしました。
もともと現在の生活保護制度は、「働ける人が受給することはない」という前提に立った制度であるため、受給者の自立を促す仕組みがほとんどないのです。
そのため、働ける人が、ひとたび生活保護を受給し始めると、そこから抜け出そうとせず、非効率に公費(税金)が浪費されていくことが永続的に行われてしまうのです。
●生活保護制度の最大の問題点「貧困の罠」。
ハッキリ言えば、今の生活保護制度は、自立を阻害する仕組みになっているのです。
その問題点は、働くとその分だけ生活保護費が減らされるという「働き損」の仕組みになっていることです。
さらに、生活保護を抜け出した場合でも、生活保護でいるよりもむしろ生活水準が下がってしまう可能性が高いのです。
生活保護制度は、ほとんどの生活費や必要経費をほぼ過不足なく支給してくれます。家賃以外に敷金・礼金も支払ってくれますし、医療費や介護費も無料です。
さらに生活保護に連動して無料となる各種サービスがあり、例えば、認可保育園の保育料の無料、NHKの受信料も無料です。
しかし、生活保護から脱すると、これらがすべて有料となって自己負担なります。それに加えて、税金も納めねばなりません。
したがって、「せっかく働いて自立した途端、生活保護よりも悲惨なワーキングプアになるぐらいなら、生活保護のままでよい」と誰しも思ってしまうのです。
最初は「働かねば」と思っている人も、半年を過ぎると、たいていその“ぬかるみ”にはまっていくそうです。
このような状態を“貧困の罠”と呼ばれています。
●貧困ビジネス。
さらに、「貧困ビジネス」という闇が濃くなりました。働ける人が生活保護費を受給できるようになって、制度を悪用して、金儲けをしようとする人たちが増えてきました。
そのような人たちを、別名「囲い屋」とも呼ばれています。
たとえば、「生活保護はいらんか」とホームレスなどに声を掛け、住むところを提供しつつ、生活保護の申請を行わせます。
申請が認められると、家賃や食費などの名目で、生活保護費のほとんどを「囲い屋」が吸い上げていくのです。
ホームレスたちは、住むところを提供され、また不正受給に加担したという罪の意識から、公にすることなく、ただただ生活保護費をピンハネされるがままになるそうです。
さらにギャンブルなどに誘われ、残った金も巻き上げられる事例もありました。
また、病院が絡むともっとひどいことになります。生活保護受給者を病院が囲い込んで、利益追求の道具にしていることもあります。
いくつかの病院では、医療上の必要性がないにもかかわらず、検査や診療、手術を繰り返し、病院が多額の診療報酬を受け取っていました。
受給者たちの体は、度重なる検査や投薬でボロボロになる人もいたのです。
これらは一例で、行政の対策チームといたちごっことなっており、手を替え品を替えて保護費を吸い上げるビジネスは続いているのが現状です。
●貧困ビジネスが流行る理由。
これらの貧困ビジネスは、2008年までは生活保護を受けるのに厳しい制限があったため、
基本的には高齢者、障害者・傷病者、母子家庭に限られ、利益を抜くことが難しかったのです。
しかし、厚労省の通達後、働ける人も生活保護を受けられるようになったため、受給者が急増し、貧困ビジネスも同時に多発し始めました。
仕事や資産を持っていない人は、理屈上、誰でも生活保護が受給できるようになり、
不正を営む貧困ビジネス業者から見ると、生活に困っている人を見つけ出し、受給者にするだけで、生活保護費を吸い上げることができるようになったのです。
業者自らが、生活保護受給者を「生み出す」ことができるようになりました。
●現状の総括。
セーフティネットは必要です。できるだけ富豪と呼ばれるお金持ちの人々に、ミッションとして慈善事業を行ってほしいのですが、
それでも手が回らないと思われるところは行政が乗り出さざるを得ません。
しかしながら、冒頭でも述べたように、現行制度は非効率で無駄が多く、さらに生活保護制度そのものが、人間の労働意欲を根源的なところから壊している面があるのです。
本当に生活ができない人を助けることは大切であり、愛の心を喚起させ、宗教心を培う尊い機会ではあります。
しかし、半年間、生活保護を受けると「働く意欲がなくなって、生活保護に安住してしまい、生活そのものが荒廃。再就職の意欲もなくなってしまう」という現状は、
人間の尊厳を大きく傷つけてしまいます。
●解決策。
このような問題を解決するためには、以下のような施策があります。
例えば、「働ける人」に対しては、原則、生活保護を認めず、有効的な「第二のセーフティネット」を構築すること。
すでに生活保護を受けている「働ける人」には、生活保護に期限を設けること。
そして、強制的に受ける「自立支援プログラム」をつくること。「凍結貯蓄制度」「就労収入積立制度」なども検討すべきでしょう。
また、意外かもしれませんが「最低賃金」をもっと低くする必要があります。
さらにワーキングプア層が生活保護受給者にならないように、「負の所得税」を導入することも考えるべきです。
生活保護を受給する際、本人の資産を一時的に所有権の移転をし、再起したときに返還するという制度も有効でしょう。
次回になるかわかりませんが、これらの生活保護の解決策をまとめたいと思います。
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2、編集後記
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生活保護は、行政にとって大切な施策です。
ただし、行き過ぎると人間性を破壊します。
本当の福祉は、国民に仕事があること。
ですから、景気がいいこと、経済成長は善です。
それを阻害する左翼の人たちは、矛盾だらけです。
経済成長を阻害する施策ばかり主張し、その反面、
弱者救済と言いつつ、税金をばら撒き、人間の尊厳を破壊する。
やはり左翼の人たちの根底の考え方に問題があります。
本当に国を良くするには、根本の考え方から正さなければなりません。
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◆ 江夏正敏(えなつまさとし)プロフィール
1967年10月20日生まれ。
福岡県出身。東筑高校、大阪大学工学部を経て、宗教法人幸福の科学に奉職。
広報局長、人事局長、未来ユートピア政治研究会代表、政務本部参謀総長、
HS政経塾・塾長等を歴任。
幸福実現党幹事長・総務会長を経て、現在、政務調査会長。
http://enatsu-masatoshi.com/profile
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◆ 発行元 ◆
江夏正敏(幸福実現党・政務調査会長)
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