The Liberty Web
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より転載

超電導を未来産業に 通常の電車を超電導で走らせる
2014.07.06

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電力がほとんど失われない「超電導ケーブル」を300メートル敷設して電気を通し、電車を走らせる実験に成功したと、鉄道総合技術研究所がこのほど発表した。電力の損失が少なく、電力消費量が従来に比べ5%ほど減る。大幅な省エネにつながると見て、4~5年後の実用化を目指すという。
 
今回の実験では、液体窒素が液化する摂氏-196℃で電気抵抗がなくなる超電導金属をケーブルにし、その内側に液体窒素を循環させて冷やすことでケーブルを超電導状態にして送電した。
 
電車は、その上にかかる架線から電力を供給される。鉄道総研は超電導ケーブルを線路の脇に並走させ、架線への電力供給に使った。これに必要な長さである300メートルを敷設し、柔らかい素材を使って線路をまたぐ部分や湾曲させる部分も作り、実用に耐える仕様で行った。2両編成の電車を時速45キロメートルで走行させたところ、不具合はなかったという。
 
ケーブルを冷却させる液体窒素を冷やすための電力が別途必要だが、その分を差し引いても5%の省エネとなる。通常の送電ケーブルでは電力の損失があるため変電所が5~10キロメートルごとに必要だが、超電導ケーブルなら電力ロスが少ない分、変電所の数を減らせるメリットもあるという。
 
JR東海は2027年の品川―名古屋間の超電導リニア開通を目指しているが、今回の超電導ケーブルは通常の電車に対応しており、利用できる範囲も広い。
 
楽しみなのは、電車の送電ケーブル以外にも、送電線など、超電導ケーブルの応用範囲が広がれば、世界中で需要が見込めることだ。日本全体の送電網で見ても、送電ロスは原発6基分にも上るという。日本がリードする超電導の実用化に成功すれば、世界に羽ばたく未来産業に育つかもしれない。(居)
 
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 http://ja.m.wikipedia.org/wiki/超伝導
より転載
超伝導(ちょうでんどう、superconductivity)とは、特定の金属や化合物などの物質を非常に低い温度へ冷却したときに、電気抵抗が急激にゼロになる現象。電気工学分野では「超電導」と表記されることもある。1911年、オランダの物理学者ヘイケ・カメルリング・オンネスにより発見された。この現象と同時に、マイスナー効果により外部からの磁力線が遮断されることから、電気抵抗の測定によらなくとも、超伝導状態が判別できる。この現象が現れるときの温度は超伝導転移温度と呼ばれ、この温度を室温程度に上昇させること(室温超伝導)は、現代物理学の重要な研究目標の一つ。