昨年、「R4年度私立医学部受験終了」のご報告を投稿したのは、4月に入ってからでしたが、今年度の報告がこの時期にできるということは、そうです。

 A太郎、4月から、医大生になることになったのです。

「ええええええええ~~~~~~~~~っっっっ!!」

 

 このブログを今まで読んでくださっている皆様の中には、驚きのあまり、いすから転がり落ちた方もいらっしゃるかと思います。

 本人も、合格発表サイトで自分の番号を一度見て信じられず、二度見て、「これはおかしい」と思い、最終的には、友達に確認してもらったくらいですから。

 ちなみに、この流れからしてもお分かりの様に、二次試験まで合格し、合格証明書を頂いたのはたったの一校。

 よって、no choiceの一択で、入学する大学は悩むことなく即座に決定致しました。

 

 しかし、ご承知の通り、現役時の1回目+3浪+仮面浪人1回の、

「合計で、なんと!! 5回、5回目での合格なんです~!!」

とチャレンジデーのジャパネットたかたのCM風になってしまうくらいの受験回数ですから、手放しで、親戚一同、万歳三唱とはいかず、ひっそりとした感じです。

 

 私も初め聞いた時、「あ~、そう。」と自分でも意外に冷静な反応で、うれし涙も出ず、普通に洗濯物をたたんでいました。

 というか、もう長すぎて、「アレ」に振り回される「熱いモノ」は心の中に残ってなく、胃から血がしたたる音が聞こえた瞬間から、これはもう限界!!と、途中、気持ちを切り替え、冷静に自分自身の生活を一番に考えるように心掛けたからかもしれません。

 

 引き続き昨年の彼の浪人時代はというと、成績は少しは上がったものの、模擬試験での判定は毎回微妙で、予備校の先生、本人も含め、誰もどこにも合格するとは思っていませんでしたが、今までと、今回と何が違ったかについて、この私立医学部受験に関わってきた大人の一人として、自分なりに検証してみました。

 

①このブログを始めました。

②年末、家の玄関の大掃除をし、窓ガラスをピカピカにしました。

③テレビの裏でホコリと化した、マレーシアの「三本足のカエルのお守り」を救出し、何も見えなくなっていた真っ白な「お目目」をきれいにし、全体のほこりを取りました。

※後で調べたら、これは「財力」のお守りでした。

④私自身、「熱い気持ち」を捨て、受験生A太郎と距離を置くようにしました。

⑤1~4は、結果を導いた原因としては確証のない事実ですが、5番目にあげることは、「ほんとうにたしかなこと」です。

 それは、「息子と父親の関係が改善したこと」。

 これは、勉強が大嫌いな、がしかし私立医学部を目指す、ぐうたらポンコツ息子くんにとって、合格に近づく最善の方策です。

 

 小さい頃からずっと、A太郎と父親の関係は悪く、父親も仕事が忙しいからと、ほとんど話す機会も、顔を合わせる機会も少なく、普段の生活には興味がないわりに、成績が悪いとなると叱り倒す。

 以前、「受験生とお父さん」というタイトルで投稿した記事でも紹介したエピソードですが、A太郎は「torture(~を拷問にかける、苦痛を与える)」という英単語を覚える際、「父ちゃん(トウチャー)を拷問にかける」と、刃の様なするどい目つきで暗記ノートにメモしていました。

 二年ほど前までは、まだそんな親子関係でしたが、今回、浪人することを許した父親が自分にも責任を感じたのか、よく面倒をみるようになり、LINEでのやり取りも多く、体調が悪い時にはこまめに連絡を取り合い、受験校の決定の際も男同士、二人でよく話し合ったようです。

 

 今では、A太郎も何かあると父親に必ず相談し、自分にとって遠い存在だった父親を近くに感じ、頼れる存在としてみています。

 先日、私が「torture(トーチャー)」の話を振った際、

「あ~、苦痛を与えるって単語ねっ。」

と、「拷問」から「苦痛」に変わっていたことと、はにかみながら、優しい表情で答えたことが印象的で、そこに、父親への感情の変化を感じました。

 この子に欠けてたのは、これだったんだなぁと。

 

 もちろん、世の中には、親子関係や周りの環境など関係なく、自分自身で高い志を掲げ、強い意志をもって努力を続け、目標を達成し、自信のある強く立派な大人に成長する子どもさんもいるかと思います。

 がしかし、そもそも、このブログの主人公の人物設定が違うので、こんな立派なお子さんたちとは比べられません。

 

 開業医の息子で、自分自身の夢など関係なく、小さい頃から「医者」になると決めつけられて育ってきた男の子。

 勉強が嫌いでも「あそこの家の子は勉強ができるに決まっている」、「将来はお医者様なんだから」という世間の目の中で育てられ、大好きなレゴで遊びたいし、お父さんお母さんと夕飯を一緒に食べたくても、お弁当を持たされ、夜まで塾で猛勉強。

 自分から「する」というよりも、「させられる」ことが多い子ども時代を過ごし、

「ん?この人生、なんかおかしいぞ。」

と感じた頃にはもう修正がきかない、がしかし、自分の道は決められている。

 なぜか?って、基!! それは、父親が開業医だから。

 しかし、そんな当の本人である父親はといったら、子どもに無関心、のわりには子どもが医学部にいけないとなると大激怒っ!!

 これでは、理不尽すぎます。

 

 健気な、子どもは、自分の夢じゃなくても、本当は親のために頑張れるんです。

 それは、お父さん、お母さんのことが大好きだから。

 でも、頑張る代わりに、いっぱい褒められたいし、大事にしてもらいたい、甘えたいし、何かあったらいつでも守ってくれる安全基地であってほしい。

 特に、お父さんは小さい頃から強くてかっこいい憧れの人。

 実際には、憧れられなくても、自分の中の一番のヒーローであってほしい人。

 だから、お父さんの愛情は男の子の人生にとって、とっても大切なんです。

 

 自分の家の息子がポンコツだな、と思ったら、まずお父さんとの関係を見直してみてください。

 受験も同じです。

 以前、家族の関係と受験について投稿したことがありますが、やはり男の子に必要なのはお父さんの愛情、力、支えです。

 ウルトラマンみたいでも仮面ライダーみたいでもなんでもいい、息子にとって、ヒーローであるお父さんがいつでも守ってくれるからその安心感の中で男の子はのびのびと育つのです。

 

 そして、あともう一つ、受験の合格に必要な要素。

「絶対、必ず、どうしても医学部に行く!!」という本人の強い執念、執着です。

  

 私たちが知っているA太郎は勉強が嫌い過ぎて、いつも寝るかゲームか、ゲーム以外のことしかしていませんでしたが、DNAに刷り込まれているのか、この意志はとても強いものでした。

 周りからしたら、とても不思議で、ほんと、あつかましいというか、ずうずうしいというか。

「そんなに医学部行きたいなら、寝てる間に単語一つでも覚えればいいのにねぇ。」

「何年も親のお金を散財して。とほほ…。」と。

 

 余談になりますが、費やしてきたお金、そして、私立医学部を卒業するまでにかかるであろう費用の話を、私が車好きの夫に話をすると、

「そうか~。ポルシェが1台、ポルシェが2台…。」

と毎回を空を見ながら指で数えています。

 

 長くなりましたが、今回でこのブログは終了、となります。

 掲載する写真は「満開に咲く桜」を、と初めは思いましたが、実際に桜がまだ満開でないことと、なにせ多浪ですから。

 毎年咲くはずの桜の木がどうにかなっちゃいそうなくらい長すぎましたから、コジンマリとした、しかし、暖かい春を感じる「すいせん」を選びました。

 

 A太郎が幼稚園の頃、遊園地のお花畑に植えてあった、咲く前のすいせんの葉を見て、

「わぁ~~!! ネギぃ~、ネギがいっぱ~い。」

と人目もはばからず、大きな声で叫びながら、喜んで走って行ったことを思い出します。

 やはり当時から、ちょっとユニークな子どもだったんですね♪

(おしまいです)