どこの家でも、第一子を育てる際、親は慎重になるのだと思います。

 全てが初めての経験での手探り状態で、丁寧に、大事に、ガラス細工のように子供を扱う。

 小包なら、「FRAGILE」、「割れ物注意」のステッカーを貼られる感じ。

 

 歩き始めの時、転びそうになると、パパママどちらかが、すぐに手を差し伸べ、第一子は失敗する機会が少ない。

シャボン玉で遊ぶ時は、シャボンの液を吸い込まないか、親に注意深く見守られる中、フーっと大きな泡が静かに空を舞う。

 そして、大喜びしたパパママの優しい笑顔に包まれる。

 

 下の子の場合。

 庭先で転んでも、

「たいちょーぷぅ?」

 と、のぞき込むのは小さな子供。

 そう、自分と年の近い、まだまだ小さいお兄ちゃん、お姉ちゃん。

 そして、ひざが擦りむいても、下の子は自分の力で手をついて立ち上がる。

 もちろん、そこにパパママはいない。

 下の子が転んで少しひざを擦りむくくらいの出来事は、重大インシデントに当てはまらず、パパママがかけつけるほどの案件ではないからだ。

 

 そして、下の子はシャボン玉の液が少しくらい、口に入っても気にすることなく、

 ぶくぶくぶくと、さわがしく音を立てながら、

 ブブブブブブブブブーッ!!

 と、どえらい勢いで無数のシャボン玉を連射する。

 虹色のシャボン玉に包まれ、

 「よっしゃーっ!!」

 とドヤ顔になるが、やはり、そこは、両親ともに不在。

 子供が初めてシャボン玉を飛ばした時の感動は、すでに第一子で経験済みだからだ。

 下の子を見て、

「ちゅごいね~。」

 とパチパチと手を叩いてくれるのは、両親の代理人である幼いお兄ちゃん、お姉ちゃんなのである。

 

 末っ子の私が幼い頃も、転んだ時に、短い足をパタパタさせて駆け寄ってくるのは小さな子供で、4頭身の私が初めて何かを成功させても、5頭身の子供が喜んでくれるだけでした。

「おーい!! おとなをよんでくれーい!!」

 私は、小さいながらも、当時、このVIP感の無さがとても不満だったことを覚えています。

 

 こうして、幼い頃から、第一子は下の子の面倒をみることによって、特有の責任感や使命感を持つようになり、親からも頼りにされるようになります。

「面倒見がいい人」のことを、「兄貴分」、「姉御肌」ということがありますが、お兄ちゃんお姉ちゃん独特の育った環境と関係があるのではないかと思います。

( -2- へつづきます)