comorosのブログ
 
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第一話-①

「もしかして、あなたが"コモロ"さん?」
表参道の交差点で、食事会のために待ち合わせに来た僕に、一人の女性が声をかけてきた。
「えっ・・・もしかしてあなたが"tenちゃん"?」僕は咄嗟にそう答えた。今日は4人でギリシャ料理を楽しむ予定が、僕の友人"潮"が突然行けなく なったので一人で向かったのだ。「なあ、オレいま社内の子と大事なところなんだよ。だから、な?おまえ一人でtenちゃんとemiさんに会ってこいよ」ずい ぶん勝手なものだ。ただ僕は、"潮"を差し置いてでも今日tenちゃんに会いたかったのだ。「いいよ。一人で行ってくる」僕はクールに答え、今日を迎えた。

「やっぱそうだ、へへ。なんとなくいつも読んでる文章と顔の感じが似てたから。」とtenちゃんは恥ずかしそうに笑った。tenちゃんは僕の想像して いた通りの姿で僕の前に現れた。妻の目の前にしてもtenちゃんのことばかり考えていた僕は、それが現実なのかどうかわからなかったくらいだ。ふわふわした 僕をよそにtenちゃんは続けた。「emiちゃんがね、今日突然来れなくなっちゃって、でも、せっかくだから、って待ち合わせ場所に来てみたの。あれ、"潮"さんは?」
僕が彼が来れなくなったことを告げると、tenちゃんはなんでもなさそうに「あら、残念。じゃ、2人で行きましょ。お腹空いちゃった。」と言い、店のほうに歩き出した。僕は多少面食らいながら、tenちゃんの後を追った。



そのギリシャ料理店は表参道の裏通りを入った場所にあった。白い壁がギリシャを連想させる建物だ。

「こ洒落たお店ね、クールって感じ?」tenちゃんはいった。
「まったくこ洒落たお店ですね。とってもクールだ」

そのとおり、人気のない道に佇むその白いビルはまったくもってクールなのだ。クールすぎるぐらいだとさえ思った。tenちゃんを前にどこか浮ついてた僕も、少しクールになってきたみたいだ。

店に入ると、ギリシャ彫刻並みに彫りの深い男性が迎えてくれた。名札を見ると、『ディミトレス』とある。やれやれ、本当にギリシャ人のようだ。確かこの店はtenちゃんが予約しているはずだったので、「7時半から予約の、え~と」と言いながらtenちゃんを向くと

「三宅です」と名前を名乗った。

           ・・
席につき、互いに本当の名前を自己紹介した後、せっかくだからお互い「tenちゃん」「コモロ」と呼び合うことにして、僕らは乾杯をした。