2021年3月名古屋地裁にて覚醒剤を使用したとして覚醒剤取締法違反の裁判に無罪判決が下されました。

被告は2019年12月、愛知県の自宅近くで逮捕された後、取り調べ中に警察官から紙コップに入ったお茶や水を提供され、約5時間で数十杯飲んだ。警察官は薬物捜査に従事しており、この際に覚醒剤を飲料に入れた可能性があるというのが無罪となった理由です。

公判で被告は「使った覚えがない。採尿前に出されたお茶がとても苦かった」と起訴内容を否認しています。

捜査にかかる採尿手続きですが、裁判長は「尿採取前の飲料提供時に異物混入を防ぐ手だてをしておらず、未開封のペットボトル入り飲料水を飲ませることを定めた要綱にも反する不適切なやり方で行われた」と指摘しています。

真実は被告が本当は覚醒剤を使用していたか、あるいは警察が本当にお茶に覚醒剤を混入させていたかのいずれかであり、後者を疑う要素があるのであれば第三者機関を立ち上げ、本当に警察がそのようなことをしていないか徹底的に検証する必要があると思いますが、おそらく裁判所の判断は『科学的証拠として採用がかなわない要素を含んだ結果』であるため推定無罪の原則にのっとり無罪とせざるを得なかったというのが本当のところだろうと思います。

 

薬物使用の証拠を尿検査から実証しようとする試みはスポーツ競技におけるドーピング検査でも同じであり、この実証の過程が極めて重要であるところも全く同じです。

プレー直後の選手は汗をかいており身体が水分を必要としているため、簡単には尿が出ません。そのため、採尿の前に飲料を飲みます。この場合の飲料は、検査機関や大会事務局等が用意しますが、基本的に未開封のペットボトル飲料で、選手自身が未開封であることを確認し、自らの意思で摂取します。

このようにスポーツ界でのドーピング検査においても、医学(科学)を正しく理解し、厳格なルールを作り、適切に運用することで検査の正確性を担保し、得られた結果から様々な処遇を行うことによりスポーツ全体の価値を高め、観客の期待に応えるものとしています。

 

このブログで取り上げている事案は、『科学鑑定の手技をわかりやすく解説します』で解説したとおり、ずさんな科学捜査でした。

DNA増幅に関する検量線は捨ててしまう、結果を鉛筆書き、消しゴムで修正加えて、術後女性の創部から男性のDNAのみが検出されている等々など極めて不可解・杜撰な科学的データをもとに、『せん妄』の専門家の医学的見解を破棄しての「有罪」という不可解な二審の判決が下されています。

 

冒頭で紹介した判決のように「結果に関して科学的な疑義のさしはさまれる余地のある証拠」に関しては推定無罪の原則にのっとり裁判によって否定されるべきであり、これこそ、司法のあるべき姿です。

 

司法判断において科学的根拠の妥当性判断をあまりにも不十分な科学的見識の基に行い、その結果が一人の医師、一つの善良な家族に不幸をもたらしたのであれば、不見識のもとに司法判断を下すプロセスは極めて重大な不備と非難されるべきと考えます。

 

 

 

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