- AM/Arctic Monkeys
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「やったね!ついに」と思わずガッツポーズしたくなる、アクモン5枚目のアルバム。
こういう人はあまり居ないと思うけど、個人的に彼らのアルバムで好きなのは3rdのHumbugと4thのSuck It And See。この2枚だって、僕の中では十分に「とんでもないもの」なのだけど、正直今では新作への「土台作り」であったのかと思ってしまう。
重厚なビートとハンドクラップから始まる、オープニングのDo I Wanna Know?シンプルなリフとアレックスの歌、それ以外は何もいらないといったシンプルな構造だが、背筋がぞくぞくするような色気を醸し出すロックンロールだ。続くぶっきらぼうなR U Mine?は前曲に浸る余韻を与えないほどワイルドでブルージー。ソウルフルなコーラスのOne For The Roadはアーバン・ソウルとブルース・ロックが融合したような、新感覚の曲・・・
No.1 Party Anthem以降の後半の流れもやばい。特に新鮮なのがFireside。パーカッシブで重厚なビートは、どことなくデジタルなテイストを感じさせる。Snap Out Of Itは、ポール・マッカートニーが歌っていてもおかしくないくらいポップで、こういうのもできるのかと感服させられる。余韻を残したアルバムのラストまで、実に素晴らしい。
即効性はなくとも確実に感性にパンチを当てていくメロディーラインはもちろん健在。というか、冴えに冴えまくっている。
全体でとらえると、のっけから落ち着くところが全くなく、聴き手の息つく間を与えないようなロックアルバムになっているように感じる。しかしそれこそが今作の肝で、聴き進めていくとそれだけの幅広いサウンドが、結果的にガッチリはまっていることに気づく。
バンドの体幹がアルバムを重ねていくごとに増強、または成熟していった結果、どんな音楽性をも昇華できるだけの包容力を身につけた印象がある。そういう意味では、やはりこれまでのアルバムは彼らが自分たちの本当の音を求めるための道標に過ぎなかったのかもしれないし、アルバムタイトルがバンド名のイニシャルであることが容易に理解できる。というか、これ以外にない!
何度聞いても新鮮で、ロックの最高の魅力であるダイナミズムに溢れた素晴らしいアルバム。そのとてつもないスケールに、まだ自分の感性がまだ追いついていないと思うこともある。おそらくArcade Fireの新作もそうなんだよなぁ。