- Don’t Forget Who You Are/Miles Kane
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元リトル・フレイムス、ザ・ラスト・シャドウ・パペッツのマイルズ・ケインの2nd。
一昨年にリリースされたファーストでは、ノエル・ギャラがー、グリフ・リース、そしてアレックス・ターナーらを迎えて制作された。いわゆるUKロックの王道を行くようなアルバムだったのだけど、個人的にはもう一つ食い込んでくるものがなかった。
このセカンドではまずプロデュースに、あのイアン・ブロウディーを迎えている。イアンはメロディーの持つ輝きをいかに眩く見せるか、その辺の技が実に見事な人だ。そして、共作者としてポール・ウェラー、なんどアンディー・パートリッジの名まで記されている。本当はポール・ウェラーのところで大きなリアクションを見せないといけないんだろうけど、やっぱりアンディでしょ。しかも、3曲も。あと、ユージン・マクギネスの名前も。実はこの新作を聴いたときに、まず頭に浮かんだのが彼だった。
オープニングはイアンとの共作、Taking Over。どす黒いブギーで始まりながら、サビで四つ打ちにきれいにチェンジ。こういうのはどんな形でアイディアが浮かんでくるのだろう?別の曲をつなぎ合わせるのか、流れで浮かんでくるのか?そんな制作の様子に興味をそそられるナンバーである。
全体を通して際立っているのが、メロディーの質の高さ。一度聴いたらすぐに覚えてしまえるほどのキャッチーなサビがどの曲にもある。ライブだったら、どれもシンガロング必至だろう。ポールとの共作曲は、なんだかポールの最新ソロのようなスタイリッシュさがあり、アンディとのそれはあんまりポップ感はなく、むしろタイトなロックンロール・ナンバーに仕上がっている。
そして、サウンド的には頭から終わりまで、もう見事にUK印。ドライブ感やら、リフやら、伝統的なUKrockの遺伝子があちこちにちりばめられている。当然こういうものはすでに量産され、新鮮味があるとは言い難い。しかし、彼の場合はUk Rockへの忠誠心が半端なく、そのリスペクト感が楽曲に漲っている分、時代性を問わない光を放っているように感じる。
普遍的なものへの信頼が揺らがないから、同じヴァイヴを持つ人と共鳴しながら素晴らしい楽曲を作り、正々堂々とプレイする。彼にはそれができるわけで、まだ26歳なのに、その真っ直ぐさはすごく好感が持てる。ジェイク・バグといい、Ukにはまだまだこういう若い人がいて、ちゃんとシーンでも支持されてる。
ちょっと暑苦しいのは苦手っていう人にはダメかもしれないけど、ガツンとした歌物Uk Rockを聴きたい人にはお勧めです。下のリンクにあるものを聴いて、「おっ!」と思ったら、即買いです。
(31/07/13)