Love This Giant/David Byrne&St.Vincent | Surf’s-Up

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Love This Giant/David Byrne & St. Vincent



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 デヴィッド・バーンとセント・ヴィンセントのコラボアルバム。


 バーンがブライアン・イーノとコラボしたEverything That Happens Will Happen Todayというアルバムがあるが、ここでは驚くほどにバーンの歌に焦点が当てられていた。そこにあのブライアン・イーノが関わる必要があるのか?という疑問もあったが、バーンの抜けの良いヴォーカルがどうにも新鮮で、結構好きな作品だった。


 それにしても、デヴィッド・バーンとセント・ヴィンセント、音楽的偏差値が異常に高いアルバムになるんじゃないかと思ったんだけど、いい意味でかなり聴きやすいアルバムに仕上がっている。


 まず耳を引くのがほぼ全編にわたって、ブラス楽器が導入されていることだ。サックスやトランペットがシンフォニックというよりはブラスロック寄りな響きをもたらしているので、互いのセンシティブな部分がかなり緩和されているように感じる。


 音の世界観はもろバーン。ではその中でアニー・クラークはどんな立ち振る舞いをしているのか。


 これが実に見事にはまっていると思う。彼女のエキセントリックを帯びたヴォーカル、ギター・プレイが「飛び道具」的な扱い方をされずに、歌の世界観にしっかりと鎮座している。この据わりの良さを「つまらない」と見る人もいるだろうけど、個人的には抑制・制約のある中で彼女の個性が、どのような光を放つのか、それを見られたことに満足している。


 多少のひねくれ感を秘めながらも輪郭のはっきりしたメロディー、土着的なリズム感は、僕なんかは後期Talking Headsを想起してしまう。そんな単純なものではないんでしょうが(笑)


 ★★★★(2/2/13)