- Mr. M/Lambchop
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今年聴いた回数ではベスト3に入るであろう、Lambchopの実に11作目に当たるアルバム。
Lambchopは米ナッシュビル出身のバンド。
なかなかインパクトのあるジャケット。でも、こういうメンバーがいるわけではないのであしからず。
深く静かに展開する、フォーキーなカントリー・ミュージック。Wilcoの「Sky Blue Sky」あたりに通じる世界観。
決して分厚い音を鳴らすバンドではない。アコースティックギターとピアノ、そしてストリングスが基調となっているサウンド。聴いた感じはかなりシンプルな部類のサウンドであるが、クレジットを見ると意外にも多くの楽器が使われて作り上げられていることがわかる。ギターも1つの楽曲にだいたい2,3の音色をレイヤーしている。
それでいて、完成型は実に風通しの良いものになっている。余計なものが一切ない、ストイックなトラックだ。アンサンブルの美しさも半端ではない。
華やかさも壮大さもないけれど、とにかく聴いて欲しいのは生楽器の芳醇な響き。これがたまらない。実に瑞々しく、聴き手の心に染み渡っていく。「アコギの音って、こんなに良かったのか」と改めて
そして、フロントマンである、カート・ワグナーの歌も本当に素晴らしい。最高の声質で真摯に語りかけてくるような歌。この声で、どことなく悲しげで、やるせない思いを湛えたメロディーを歌われると、胸がぎゅうぎゅうに締め付けられる。
自分たちの内にある音楽に真摯に向き合い、誠実に奏で続けるバンドと出会えたことを、心から喜びたい。こういうチャンスは年にそうそうあるものではないのだ。
曲解説も書いていたんだけど、そんな説明もいらないほど、本当に素晴らしいんです。夏、夕暮れに聴くのが好きだったんだけど、冬になってコーヒー飲みながら聴くのもとても良いです。
★★★★★(26/12/12)