ティーンエイジ・ファンクラブのノーマンとゴーキーズ・ザイゴティック・マンキのエイロスが結成した新バンドJonnyの初アルバム。共にグラスゴーの音楽シーンの中ではビッグ・ネームであり、希代のメロディーメイカーでもある2人。以前から一緒にツアーを回ったり、アルバムに参加したりと親交を深めてきたようだが、2006年頃から、録音やライブで活動し、いよいよ今回ファーストアルバムをリリースするに至った。
オープニングのWich Is Wichは2分弱のタイトなロックンロール。TFCでもゴーキーズでも見られないほどのシンプルなナンバーだ。なるほど、自分たちのバンドではやりづらい部分を互いに補完するような形で進んでいくのかと思ったら、2曲目Candyflossで疑問符が付いた。これはまさにTFCの新曲だと言われてもわからないような風通しのよい、さわやかなギターロック。
このように、アルバムの方向性やコンセプトは特にないようで、気の合うもの同士、リラックスしながらやりたいものをやっていった結果完成した作品のようである。
もろビートルズなWaiting Around For You、エイロス作の軽快なロックチューンGoldmineなど、ある程度ざっくりしたテイストを残し、遊び心が効いていながらも、1曲1曲の完成度は高い。I'll Make Her My Best Friendではカントリー・フォーク、Cave Danceでは明らかにゴーキーズのテイストだと思われるソフトサイケも披露している。ただ、様々なテイストを試しつつも、最終的にはちゃんとメロディーやハーモニーを生かしたギター・ポップへと帰結させている。エイロスが在籍していたゴーキーズはエキセントリックなポップセンスが魅力であったが、ここでは割と抑えめ。なので非常に聞きやすいし、アルバムのまとまりも感じられる。
個人的にはYou Was Me,Circling The SunのようなTFC直系のオーセンティックなギターポップが、すごく心にしみる。今後続いていくのかどうかわからないが、是非とも続けてほしいと思う。
作品のレビューとは直接関係ないかもしれないが、こんなに素敵で柔らかなギターポップが、今なかなか音楽を楽しめる環境にない人たちにこそ届いてほしいとも思う。
★★★★(05/04/11)