Rolling Blackouts/The Go! Team | Surf’s-Up

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 The Go! Team,4年ぶりの3rd。英国ブライトンで結成されもう10年近くになるというが、リーダーであるイアン・バートンのプロジェクト的存在のバンドである。複数の女性ヴォーカリストがいて、代わる代わるリードヴォーカルを務めるという変わった形式であるが、ベスト・コーストのベサニーやディアフーフのサトミまで参加している。


 ただ、このバンドの不思議なところは、それでいて女性的なエッセンスがあまり目立っていないところだ。聴き手を否応なくアジテートするような高揚感と、巧みなコラージュサウンドによるグルーヴ感、ポップで印象の強いメロディーが濃密な世界を作り上げているからだろう。トラックはイアンが制作しているが、今作でもこれまでのファンを裏切ることなく「これぞThe Go! Team」というチューンが満載となっている。


 ホーンセクションがやたらと威勢の良いビッグチューン、T.O.R.N.A.D.O.でアルバムはスタート。グルーヴィー・ポップのSecretary Songを挟み、ギラギラ光るミラー・ボールが目に浮かぶようなパーティー・チューンApollo Throwdown・・・とのっけから飛ばしまくり。次から次へと繰り出されるビッグサウンドはやかましくもあるが、何でもありの自由奔放さが凝縮されていて、聴いていると実に楽しい。


 前作と比べると、軽快さをもった曲が増えている。Ready To Go Steady、Buy Nothing Dayのようにネオアコの影響を受けたような曲があったり、Super Triangleではアコギの音がフィーチャーされた風通しの良い曲もある。あと、シューゲイザーの薫りを漂わせるRolling Blackoutsも以前には見られなかったタイプの曲である。


 個人的には女性ヴォーカリスト陣には悪いけど、時々挟まれるインストナンバーが好き。Yosemite Theme、Lazy Poltergeistの様な曲に逆にこのバンドの未来を感じたりする。


 アタックの強いパーティ・サウンドは、好き嫌いが別れるところかもしれないが、これだけ雑多な音楽性を比類無きアッパーチューンに昇華させてしまう力は見事。そして、良い意味でのB級センスを感じさせることを忘れていないところもいい。


★★★★(27/2/11)