Hurley/Weezer | Surf’s-Up

Surf’s-Up

音楽の話を中心に。時にノスタルジックに

Surf’s-Up近頃じゃ「解散運動」なんて、くだらない騒動さえ起こってしまうようになってしまったWeezer。今回メジャーから離れ、エピタフに移籍してから初のアルバムリリースとなる。通算8作目であるが、前作からのスパンは1年足らずと非常に短い。そして今、すでに彼らはニューアルバムのレコーディングに取りかかっているそうである。


 前作から曲を共作するようになったリバースだが、今作でも多くの曲を共作している。そして、その共作メンバーも実に多岐にわたっている(この中にDan Wilsonという名前があるのだが、Semisonicのダンであろうか?)。ライアン・アダムスのようにゴリゴリのロック畑の人から、デズモンド・チャイルド、リンダ・ペリーといったショウビズ界でバリバリ活躍している人たちまでいる。


 激しく熱く「あの日に帰りたい」と叫ぶ、ファーストシングルのMemoriesからアルバムはスタートする。彼ららしい明快なメロディーを持った1曲だ。アルバムはその後もパワーポップのオンパレード。Ruling Me,Brave New Worldのようにドライブ感溢れるナンバーもあれば、Unspoken,Where's My Sex?のようにちょいシリアスに構えたものや、個人的ベストトラックであるTimes FriesのようにTwo Of us系のデモっぽさを残したアコギナンバーもある。根本の楽曲をポップよりにしたり、ロックテイストを濃くしたりと強弱を付けているが、全体的に聴きやすい印象。


 初期ウィーザーにあった青春期のナイーヴさ、焦燥感を原動力としたイノセントな姿勢は正直このアルバムからは感じられない。かといって、ウィーザーが強くなったという気もしないが、デビューから15年経って彼らも相当経験値を上げ、バンド自体が安定しているのだろう。実に手堅くまとめられたアルバムだと思う。昔からのファンの期待と、新しいリスナーの欲求を、ほどよいさじ加減でまとめている。


 決して内容の悪いアルバムではないし、どの曲もこれまでの彼らの水準をキープしている。しかし何となく新鮮味に欠けるというか、弱虫が追い込まれて両腕をグルングルンしていじめっ子に立ち向かっていくような「火事場の馬鹿力」的ポップネスが見られないのは正直残念。あとコールドプレイのカバーは、どうかなぁ。カラオケで歌って満足すれば良いんじゃないかな。大好きなバンドだからこそ、あえて苦言を。


★★★(07/11/10)