Dark Night Of The Soul/Danger Mouse&Sparklehorse | Surf’s-Up

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Danger Mouse&Sparklehorse、そして巨匠David Lynchが中心となって進められてきた超豪華なプロジェクト。途中、空のCD-R入りのジャケットだけがリリースされるなど(つまりはネットでリークされる音源を入れろということなのだろう)、紆余曲折を経ながらやっとリリースされた。この三者だけでも十分豪華だが、更にすごいのは参加したアーティストのラインナップ。紹介すると


1. Revenge (THE FLAMING LIPS)
2. Just War (GRUFF RHYS)
3. Jaykub (JASON LYTLE)
4. Little Girl (JULIAN CASABLANCAS)
5. Angel's Harp (FRANK BLACK)
6. Pain (IGGY POP)
7. Star Eyes(I Can't Catch It) (DAVID LYNCH)
8. Everytime I'm With You (JASON LYTLE)
9. Insane Lullaby (JAMES MERCER)
10. Daddy's Gone (MARK LINKOUS、NINA PERSSON)
11. The Man Who Played God (SUZANNE VEGA)
12. Grim Augury (VIC CHESNUTT)
13. Dark Night Of The Soul (DAVID LYNCH)


 なんとリンチがヴォーカルを取った曲まである。


 そして、もう一つの注目点はSparklehorse名義の作品として、おそらくこれが遺作であるということ。ラフなタッチながら、少しでも力を込めたら壊れそうなくらい繊細さも同居している、天性の美しさを持った彼の作品はおそらく永遠に色褪せることはないだろう。が、彼が自ら命を絶ち、その偉大な才能が失われてしまったことは、ひどく気分を落ち込ませる。Sparklehorseが好きな人なら、このアルバムに対する思いは相当に強いだろうし、マークの息づかいを少しでも感じたいはずだ。


 楽曲はデンジャー・マウスとマーク・リンカスで共作されたものが基本となっている。当然の事ながらクオリティーは高い。暗闇の中から空間を支配するような音が放たれているような、濃密なバックトラックはデンジャー・マウスが得意とするところ。ただ、各曲ともゲストの色がかなり強く出ている。例えばIggy PopやJULIAN CASABLANCASあたりは、ソロの曲なんじゃないかというくらい。当然ゲストヴォーカルを迎えた意図として、多彩な楽曲をできるだけ相性の良い形に仕上げるために、ぴったりな人を当てていったのだろうから、ソロのように聞こえるのは当たり前なのだろう。そういった点からも、どことなくコンピレーション・アルバムのように感じられる。


しかし、それ故に楽曲そのものは素晴らしくても、トータルで見たときにアルバムのコンセプトがややぼやけてしまうようなところも感じられた。アートも含めた中で捉えるべき作品ではないかと思ったので、そこが残念だった。あと、マークの世界観が色濃く反映されているとは言い難いので、Sparklehorseの遺作と捉えると、物足りなさが大いにあると思う。

おすすめ度★★★★(04/09/10)