Rising Sun Rock Festival '10 二日目(ややうろ覚え) | Surf’s-Up

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音楽の話を中心に。時にノスタルジックに

 明け方猛烈な暑さで目が覚める。外は朝から強い日差し。テントは日差しに弱い。


  しかしテントとは不思議なもので,そんな環境でも惰眠を貪ることができる。結局起きたのは9時過ぎ。外はまだ人がまばらで,遅い朝食を楽しんでいる人がいる。


 この雰囲気がけっこう好きである。朝っぱらからビールを飲んでいる人もたくさん。「朝っぱらからかよ」なんて思っていたんだけど,今年は自分もやってみた。朝だってビールはうまいですね。


 1発目は,永ちゃんでも観つつ,Tokyo No1 Soul Setに行こうかと考えていたんだけど,長靴による靴擦れが痛く,モタモタしているうちにあっさり永ちゃんは終わってしまった。


 しばし時間が空いたので,タワレコなど物販系のお店をぶらつく。旭川に無かったbloodthirsty butchersのkokorono完全版があったので購入。すると,サイン会の参加券が付いてきた。しかも,この後すぐ。人生で初めてのサイン会に参加した。ジャケットに吉村さんと田淵さんのサインを頂く。握手も力強かった。他の参加者はいろいろと話をしていたが,自分はこういう時,対等に話をすることができない。ミュージシャンってみんな自分より上だって思ってしまう。


 ちょっと遅れてZAZEN BOYSを観る。honnojiが終わってた。残念。Himitsu Girl Top Secretから観る。初めてこの曲を聴いたときの衝撃は忘れていないが,今となっては「挨拶代わり」に過ぎなかったんだなという思いがある。進化と深化を続け,honnojiやDarumaといった曲たちが生まれており,ライブでも凄まじい高揚感をもたらす。


 この日のセットリストは,まさにベスト・オブ・ザゼンといった内容で,半端無い盛り上がり方であった。メロディーも構成も複雑怪奇のように思われているところもあるが,よくよく聴くと意外とシンプルで直情的なラインを描いている。それ故にライブ演奏では自由度が高く,その時によって独創性がどんな形で発揮されるのかが一つの楽しみ。この日も,容赦ない指揮者向井のタクトに,3人が必死で食らいついていく姿があった。かっこよすぎ。


 その次はもちろん山下達郎。でも本当はpupaという選択肢もあったんだけど,フェスの達郎の方が興味があったので。サンステージには若者が多く集まっている。正直,今回は若い人にたくさん観てほしかった。デビューして35年間のキャリアを誇りながら,未だピークであり続けているということがどれだけすごいことか,このステージを観たら絶対に分かるだろう。


 通常3時間半は行われるライブを1時間少々で,というのはさすがに無理があるが,Sparkleのきらめくようなカッティングで始まり,さよなら夏の日でしっとり終わるという短い中でもツボをしっかり押さえたステージであった。達郎さんはネタバレを嫌いますので,この辺で。


 山下達郎終了後,急いでグリーン・オアシスへ。Moonridersを。ちょうど始まった頃だったが,いきなり「こうもりが飛ぶ頃」で怒濤のサイケ・ブルースを展開していた。渋いところから来たなぁ,という印象。自分が到着してから延々15分くらいやっていたと思う。その後は「Tokyo7」の曲を中心にやっていたが,観客が少ない中でもマイペースで自分たちの演奏をしていた。その余裕がなんともかっこいい。どんな環境においても,ポップでサイケな空間を生み出す6人のマジックがある。自分にとってはバンドマジックという言葉を体現するバンドを挙げろと言われればまず彼らが浮かぶくらいなのだ。最後は意表を突く「マスカットココナツバナナメロン」。自分の心は破裂しそうでした。


 そして,またまたアース・テントへ大移動。ソカバンがテレフォン・ラブを演奏中だった。アースもかなり人が多かったと思う。曽我部恵一の認知度が上がってきたのか,フェスでも確実に集客が増えてきた。これはこれでとてもうれしい。フェスでも全く手抜き無し。予定の時間を過ぎても,スタッフに確認しながらやってくれた。


 さすがに疲れたので少し休み,次は大きなサン・ステージでラスト・ビークルを観ることに。「最後なのに全く最後という気がしない」という声が多いのだが,個人的には彼らの思いの重さが感じ取れるステージだった。「希望の轍」「There She Goes」のようなカバー曲もなんだか切なく聞こえるのだ。ブッチャーズの吉村さんを迎えて演奏された「Summerend」。彼らの曲の中で1,2を争うくらい好きな曲なんだけど、この日の演奏が今までで一番だった。


 そんな感じでありながらも、最後までは観ないで一番奥のボヘミアン・ガーデンまで移動。自分の中ではトリのソウル・フラワー・ユニオンを。自分の中では最強のライブ・バンド。しかし、単独で北海道に来ることはない。だから北海道ではライジングサンでしか味わえないのだ。楽勝で前の方に行けると思ったが、ステージが小さいせいか、結構人が集まっている。


 「風の市へようこそ」の声と共に「風の市」で始まる。始まった途端、大きく揺れる観衆。特に自分の前はもうすごいことになっている。次の「荒れ地にて」で少し収まったものの、その後は「神頼みより安上がり」「月光ファンファーレ」と怒濤のアッパー・チューンで、自分の前方では誰彼構わず踊り、ハイタッチを交わし、肩を組んでいる。自分はその後ろで観ていたが、こういう光景は嫌いではない。何となくの雰囲気ではなくて、その場で出会った人たちを結びつけてしまうような力が彼らの音楽にはある。だからごく自然な光景なのだ。自分がもう少しシャイでなかったら、その輪の中にいるんだろうな。


 その後、途中で機材トラブルなどもあったが(中川敬の使うギターは「2回に1回は壊れる」らしい)、やたら滅法なパワーは最後まで切れることなく、「満月の夕」「海行かば山行かば踊るかばね」という王道の展開で幕を閉じた。毎回そうなんだけど、とにかく終わった後の会場の余韻がすごい。ないと分かっていてもアンコールの声が鳴りやまない。中川のMCでよく「明日使い物にならない大人になるまで楽しんで下さい」というのがあるんだけど、そんな「踊る阿呆」たちにとっては夢のような時間だった。


~すっかりアップするの忘れてました・・・