2,3日前から降り続いていた雨。僕の住む上川方面はさほどの雨量ではなかったが,道南の方では相当降っているとの情報があった。オフィシャルではヘブンズ・テントサイトの一部が水没しているとのアナウンス。ツイッターで,現地の様子が写真で紹介されていたが,明らかにあちこちに「田んぼ」が発生している。
いやーな予感。この状況では愛用のメレルだって無理。あんまり好きではないけど,長靴がいるかも。大きめのブルー・シートもいるかな。と思い,ホーマックでいけてない長靴(2980円),でっかいブルー・シートを購入。
結局この「なんとなく」な準備が,大当たりとなった。現地は湿地,沼地,泥濘が広がっていた。願わくば,これが「自分のテントのエリアで無ければいいのだが」なんて思っていたら,見事にビンゴで自分のエリアは最悪の水没地帯であった。今後の見通しも立たず,代わりのサイトを増設しているとの情報もあったがあやふや。受付は混乱状態で,半分ケンカが起きている。
そんな中,自分がテントを立てたのは午後4時過ぎ。到着してから4時間以上経ってからだった。
もう疲れた。とりあえず腹ごしらえだ。と,食欲が行動の最優先動機となった。珍しくビールを立て続けに2杯飲んだ。率直に言うと,一日目はライブを観ようという気力が湧いてこなかった。19時過ぎにやっと動きだし,レッド・スターでCharを観る。といっても最後の方。奥田民生が出てきてセッション。Charのギターの扱い,ちょっと別格。もう身体の一部ですね,きっと。
その後は,ボヘミアン・ガーデンで向井秀徳を。Crazy Days Crazy Feeling。アコギが打楽器のように強いアタックでかき鳴らされる。リズム,歌い回し,歌詞などなど,まさに唯一無二の世界。ステージに流れていた空気が止まる。この止まる感じこそが向井のグルーヴ。リフレイン,ブレイクの不規則さがもたらす余韻,これが妙に心地よい。
ずっと観ていたかったが,フジで観られなかったbloodthirsty butchersをなんとしても観るという気持ちがあったので,端から端までの大移動。30分近くかかる。長靴だから歩きにくいし。
着いた頃にはもう始まっていたブッチャーズ。吉村さんはとても機嫌が良く,曲が終わる度に大きな声で「どうもありがとう!」と叫んでいた。また,おねえ言葉でしゃべり,自分のことを「秀子」と言ったり・・・吉村さんってこんな人だったっけ?
2年前は混乱してステージから逃げてしまった,と告白していた。で,今回は自分にとって「リベンジ」だと語っていた。観客から「やってやれー!」との言葉がかかると,力強く「やってやるさ!」と答えていた。このとき,なんだかすごくグッときた。
Oceanでは黒いタコが会場を泳ぐというサプライズもあり,彼らのステージにしては珍しくエンターティナー性がかいま見られたステージだった。そして,Kokoronoからの曲はやはり特別な響きを持っている。吉村さんは「いつまでKokoronoの曲をやるんだろうなぁ?」なんて自問していたが,いつまでもやってほしい,と思う。「7月」にある怒濤のカタルシスは他ではそう味わえないのだ。それはたぶん,吉村さんも分かっているだろう。翌日サイン会があったので,CDを買ってサインをもらい,握手をしてきた(こんなことをしたのは初めてだ)。「いつまでもやり続けてください」と言いたかったが,手のひらから想いを伝えたつもりである。