The Birthdayの4枚目。とは言っても、シングルやライブ盤、果てはリミックス盤までコンスタントにリリースし続けているので、「まだ4枚目なんだ」という気もする。
The Birthdayの不思議なところは、いろいろと新しいテイストのロックンロールに挑戦しているのに、結果できあがったものはどこまでも「これぞThe Birthday」と言えるような王道的なサウンドに聞こえることだ。例えば「ピアノ」のように極北のロマンチシズムが爆発したような曲でも、「愛でぬりつぶせ」のように明確であっけらかんとしたメッセージを持った曲でも、新鮮さ、違和感、どちらも感じることはない。この四人で鳴らす音は、全てが唯一無二のロックンロールなんだという、確信がこのバンドには漲っている。
このアルバムでも、鳴っているのは相変わらず「かっこいいことだけを目指した」ロックンロールだ。チバの「I Got A Free Stone」という言葉で始まる、泥臭いロックンロール「Free Stone」で幕は開ける。うねるグルーヴが背筋に来る、7分を超える大曲だ。次の「風と麦とyeah!year!」もどこまでも先を目指そうとするようなドライブナンバー。タイトル同様のはじけっぷりが心地よい。
強いて変わってきたところを挙げるとすれば、メロディーラインの鮮やかさが、過去のアルバムと比べると際だっているような気がする。「GILDA」でのがなり割れる叫び、「リトル・リル」でのヒリヒリするような叙情性。どちらも一度聞いたら忘れないようなインパクトがある。
そして、エンディングの「SUPER SUNSHINE」の存在感は過去にはなかったものかもしれない。すでにライブでも終わりに演奏されているこの曲は、間違いなくこれからもハイライトとして演奏され続けることだろう。まさにThe Birthdayの「シャンペン・スーパーノヴァ」。終末に向かって速度が上がっていく時の高揚感は、終わりと同時に新たな始まりを告げるような希望に満ちている。
それこそが、The Birthdayなのだろう。まだまだ立ち止まろうとはしない。シニカルな連中を鼻で笑うように、かっこいいロックンロールだけをプレイする。言葉のもたらすスピード感、笑顔のない佇まい、全てが集約されている。「ディグゼロ」の歌詞の通り、限界を超えて、ゼロの先へ転がり続けていく姿には美しささえ感じる。
おすすめ度★★★★☆(28/02/10)